miRNA(マイクロRNA)の今とこれから

目次

はじめに

miRNA(マイクロRNA)について、皆さんは耳にされたことがあるでしょうか。

miRNAは核酸分子の一種で、mRNAやDNAといったセントラルドグマに含まれる有名なものではなく、ここ20年〜30年ほどで発見された比較的新しい物質です。

生命科学を学ばれていない方なら耳にされたことが無いことは当然ですが、一方、研究業界ではガンを抑制する働きが報告されているなど、なにかと注目されている物質でもあります。

本記事では、miRNAとはどのようなものか、というところから現代の研究されている領域について解説させていただきます。

ぜひ最後まで読み進めてみてください。

miRNAとは?

miRNA(マイクロRNA)とは、主に遺伝子発現を抑制する効果を持つ21~25塩基程度の一本鎖RNAです。

DNA、RNAと同じ核酸の一種で、ヒトには現在、2500種類以上あると言われています。

RNAと比べると塩基数が極端に短く、従来は不要な細胞成分だと言われていましたが、近年、ヒトの生理機能に深く関わっていることが分かってきました。

miRNAの発見、研究の歴史

miRNAが初めて発見されたのは1993年と、比較的最近の出来事です。

発見したのは当時ハーバード大学にいたヴィクター・アンブロス博士で、このときはmiRNAではなくsmall RNA (small RNA, 小分子RNA) として論文の題名に記載されていました。

1993年の論文は以下のものです。
この論文中では、lin-4と呼ばれるsmall RNA (後のmicro RNA)が線虫から発見されています。ちなみにwikipediaによると、「このときはmiRNAではなくstRNA (small temporal RNA, 小分子RNA) と呼ばれていた。」と記載がありますが、執筆者が該当論文を読んでもsmall temporal RNAという表現は見つけられませんでした。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8252621/

2001年に発行されたScienceの論文でマイクロという学名が提唱されると、それ以降miRNAの研究は急速に進展し、新たな種類のmiRNAが多く発見されるとともに、イネなどの植物、ショウジョウバエ、マウス、など、種別を問わず様々な生き物に存在することが明らかになりました。

2002年、初めてmiRNAとがんの関わりについての報告がなされ、その後2010年にはマウスの実験より、ある特定のmiRNAががん細胞を消滅させることがわかり、がんの新たな治療薬の開発手法のひとつとして注目されます。

miRNAは細胞の中だけでなく、血液、尿、涙、汗や唾液などの体液にも含まれており、miRNAは近年、がんの超早期発見、iPS細胞の生産性アップに役立つと注目されているのです。

mmiRNAの実用化の一例

研究の促進のため、企業やベンチャーも後押ししています。

ひとつが、iPS細胞の実用化で課題の1つとなっているのが、未分化細胞の選別に手間がかかることです。京大発のベンチャーaceRNA Technologiesの画期的な細胞選別試薬によって、機械を使うことなく、試薬だけで細胞選別ができるようになりました。

また、東レはmiRNA測定を利用したがんの早期発見のために、高感度マイクロアレイシステムである3D-Geneを提供しています。

3D-Geneは血液中のmiRNAの微小な変化をとらえることが可能であり、早期がんマーカー候補を取得して高精度ながん診断への活用が期待されています。

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まとめ

このように、miRNAは、がんの予防及び早期発見において大きな期待がかけられています。

もちろんがん以外の分野でもmiRNAは研究されており、臨床応用のみならず基礎研究分野でも生命の根底を理解するための知見がmiRNAの働きを解明することには期待されています。

クリック博士が提唱したセントラルドグマの重要性は現在も変わりませんが、DNA-RNA-蛋白質の流れを形作る他の登場人物たちがスポットライトを浴びる時間は年々長くなっているような気がします。

それではまた別の記事でお会いしましょう。

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