筋肉痛〜現代の科学が紐解くメカニズム〜

目次

はじめに

久しぶりに運動をしたとき、強度の高い運動をしたときに起こる筋肉痛。

なぜ、どのように筋肉痛が生じるか皆さんはご存知でしょうか?

本記事では、筋肉痛について、筆者がまとめて解説していきます。

筋肉痛についてよく知らないという方から、筋肉痛の最先端の知識が知りたいという方までぜひ本記事を読んでみてください!

筋肉痛の英訳

さて、筋肉痛を英語に訳すと、どのように英語になるでしょうか。

muscle pain では?

と思ったあなた。残念ながら外れです。

私たちが思い浮かべる筋肉痛はDelayed Onset Muscle Sorenessと英訳され、略して英語圏ではDOMSと呼ばれています。

嘘だと思われた方は試しにDOMSとググって見てください。

結構いろんな記事がヒットしていきます。

筋肉痛が起きるとき、私たちの身体では何が起きている?

さて、そんなDOMSですが、実際に私たちの身体の中で生じるとき、筋肉の中ではどのようなことが起きているのでしょうか。

筋肉について、そもそもよく知らない!という方は以下の記事を読んでみてください。

筋肉痛のメカニズムに関して、エンザイムフラックス(enzyme flux)と乳酸説の2つの立場から考えてみましょう。

筋肉痛のメカニズムその1 enzyme efflux

enzyme efflux(エンザイムフラックス)とは、直訳すると酵素の流出です。

名前からも筋肉痛発生のメカニズムとして、酵素が関係している気がしますね。

enzyme effluxの立場では、筋肉痛は運動による筋肉の受けるストレスや負荷によって、酵素の活性が変化することで引き起こされると考えます。

例えば、筋肉のダメージによりクレアチンキナーゼ(CK)の活性が増加し、クレアチンリン酸の分解が促進されることや筋肉の修復プロセスにおいて、カリパインやカリキレインといった酵素がタンパク質の分解や合成を制御し、筋肉の再生に関与することが筋肉痛の発生と関与していると考えられています。

以下の表は、エンザイムフラックスの立場から筋肉痛のメカニズムを説明するために使用される可能性のある酵素の一部を示しています。

酵素機能
クレアチンキナーゼ(CK)クレアチンリン酸の分解に関与し、エネルギー供給を助ける
ラクタート脱水素酵素(LDH)乳酸の生成と分解に関与し、エネルギー代謝を制御する
カリパイン(カテプシンB)細胞内タンパク質の分解とタンパク質合成の調節に関与
カリキレイン(カテプシンL)細胞内タンパク質の分解と筋肉修復に関与

筋肉痛のメカニズムその2 乳酸説

乳酸説の立場では、筋肉痛は乳酸の蓄積によって引き起こされると考えます。

運動中に筋肉はエネルギーを供給するため、無酸素的な代謝経路を利用し、このプロセスによって乳酸が生成され、一部は筋肉内で利用される一方、他の部分は細胞外に排出されることが知られています。

溜まった乳酸はコリ回路と呼ばれる肝臓と筋肉の連携された回路によってエネルギーとして再利用されていきますが、筋肉内に乳酸が溜まったままの状態はpHの低下を引き起こし、筋肉の痛みを感じる原因となると考えられる場合があります。

とりわけ今の30代以上の方々はスポーツの現場で

「ウォーミングアップとクールダウンをちゃんとしないと乳酸が溜まって筋肉疲労が起きるぞ」

なんて言われた経験があるのではないかと思います。

しかしながら、乳酸が疲労の原因物質であるか否かという言説もとりわけ近年では懐疑的な主張の方が強く、おそらく関連して乳酸が筋肉痛の原因物質であるという話もあまり聞かないような気がします。

ただ、筋肉痛の原因の一つとしては乳酸は今でも考えられる要因ではあるため、本記事でも原因の一つとしてピックアップさせていただいています。

※以下の記事では乳酸がそもそも良いものなのか悪いものなのか説明しています。よかったら見てみてください。

以上の説明は、エンザイムフラックスの立場と乳酸説の立場から、筋肉痛のメカニズムを説明するために使用される可能性のある酵素の一部を示しています。ただし、筋肉痛のメカニズムについてはまだ完全に解明されていないため、これらの立場はあくまで一部の視点であることを改めてご留意ください。

筋肉痛のメカニズムに関しての学術論文

筋肉痛はただ、運動トレーニングの一分野で個人の興味関心にとどまるものではありません。

しっかりと研究機関・研究者によって学術レベルで研究が行われています。

以下は、筋肉痛のメカニズムに関する有名な学術論文の一部です。

  1. Armstrong, R. B. (1984). Mechanisms of exercise-induced delayed onset muscular soreness: a brief review. Medicine and Science in Sports and Exercise, 16(6), 529-538.
  2. Clarkson, P. M., & Sayers, S. P. (1999). Etiology of exercise-induced muscle damage. Canadian Journal of Applied Physiology, 24(3), 234-248.
  3. Cheung, K., Hume, P. A., & Maxwell, L. (2003). Delayed onset muscle soreness: treatment strategies and performance factors. Sports Medicine, 33(2), 145-164.
  4. Nosaka, K., & Clarkson, P. M. (1996). Changes in indicators of inflammation after eccentric exercise of the elbow flexors. Medicine and Science in Sports and Exercise, 28(8), 953-961.
  5. Paulsen, G., Mikkelsen, U. R., Raastad, T., & Peake, J. M. (2012). Leucocytes, cytokines and satellite cells: what role do they play in muscle damage and regeneration following eccentric exercise? Exercise Immunology Review, 18, 42-97.

これらの論文は、筋肉痛のメカニズムに関する重要な研究を提供しています。さらに、筋肉痛に関連するトピックや最新の研究については、PubMedやGoogle Scholarなどの学術データベースで関連論文を検索することをおすすめします。

終わりに

皆さんいかがでしたでしょうか。

筋肉痛になった経験が無い人はいないでしょうが、意外にも筋肉痛のメカニズムは明らかになっていません。

もし興味が湧いた方がいらっしゃいましたらここに掲載した学術論文を参考にご自身でも理解を深めてみることをおすすめします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。

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