ビタミンの効果と活性酸素

 ヒトは酸素を利用して生命維持を行います。しかし、その時に生じる活性酸素により酸化ストレスが生じ、老化やがん、生活習慣病などの疾患を引き起こします。そのため、活性酸素による酸化を抑えること、すなわち抗酸化が健康維持のために重要になります。抗酸化作用を持つ代表的なものがビタミンです。

今回は、ビタミンの働きと活性酸素の関連について解説しました。

目次

活性酸素とは

 活性酸素は主に、一重項酸素、超酸化物スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカルの4つを指します。活性酸素の約9割はミトコンドリアで生じると言われており、電子伝達系という経路で副産物として生成されます。

 電子伝達系は、酸化還元反応を介して、エネルギーとして働くATPを産生するプロセスを指します。ミトコンドリアの内膜に存在するタンパク構造を介し、最終的に電子受容体として酸素が働き、電子が酸素に結合しATPが合成されます。この際に、一部不完全な酸化反応が生じることで活性酸素が形成されてしまいます。

ビタミンとは

 ビタミンは、人体の機能を正常に保つために必要な有機化合物を指します。生体維持に必要な量は少ないものの、体内で合成できないため、食事などから摂取することが必要になります。全部で13種類存在し、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類に大別されます。

 水溶性ビタミンには、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンが存在します。その名の通り水に溶ける性質を持っており、速やかに尿中に排出されます。

 一方で、脂溶性ビタミンには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類が存在します。脂質と共に摂取すると、胆汁酸の働きによりミセルという構造が作られ、水に溶けやすい状態になって小腸で吸収されていきます。こちらは尿中に排出されないため、欠乏症だけでなく過剰症も引き起こすことが特徴です。

 この中で抗酸化作用を持つと言われているのが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの3つです。それぞれの働きは異なるものですが、抗酸化の働きにどのように関与しているのでしょうか。

抗酸化効果を持つビタミン

 ビタミンAはレチノール、レチナール、レチノイン酸という3つの化合物も総称を指し、レバーや卵、乳製品、緑黄色野菜に含まれます。動物性食品からは主にレチノールの形で摂取しますが、緑黄色野菜からは主にβ-カロテンの形で取り込み、体内で一部が吸収されビタミンAに変換されます。このβ-カロテンが抗酸化作用を持つと言われており、吸収されなかったβ-カロテンは脂肪組織に蓄えられます。蓄えられたβ-カロテンは、活性酸素である一重項酸素を失活させる働きを持ち、一重項酸素を、活性を持たない三重項酸素に変換することで酸化作用を抑えます。

 ビタミンCはアスコルビン酸ともいい、野菜や果物に多く含まれます。美容に良いイメージがありますが、これはビタミンCがコラーゲンを合成するのに必要不可欠であるためです。ビタミンCは、コラーゲン生合成の反応を触媒する酵素の働きを助ける補酵素として働きます。コラーゲンは血管の弾力性の維持や傷の修復を行う働きを持つため、ビタミンCが不足すると血管が脆くなり、壊血病を引き起こすことが知られています。摂取すると血液などの体液に溶け込み、活性酸素に自身の電子を渡すことで無害化を行います。これにより酸化作用が抑えられます。また、ビタミンCは電子伝達系の一部で機能するNADPHオキシダーゼという酵素にも電子を供与し、その働きを不活性化することでも酸化作用を抑制します。

 ビタミンEは4種類のトコフェロールと、4種類のトコトリエノールという化合物の総称を指し、ナッツ類や野菜に含まれます。こちらも強い抗酸化作用を持ち、脂溶性ビタミンのため、ビタミンAと同様に小腸から吸収され、さまざまな臓器や脂肪組織、筋肉の細胞膜へ運ばれ、そこで蓄えられます。貯蔵されたビタミンEは、細胞膜中の過酸化脂質の増加を防ぎます。過酸化脂質とは、体内の脂質が活性酸素によって酸化されたものを指し、動脈硬化やがんなどを引き起こします。過酸化脂質ができると、その周辺にある脂質も酸化されていきますが、ビタミンEはその間に入り込み、代わりに酸化される性質を持ちます。これにより過酸化脂質の増加が食い止められ、酸化を抑えることができます。

 なお、代わりに酸化されたビタミンEはその効力を失いますが、ビタミンCの働きにより再び活性化されることが知られています。そのため、ビタミンCとビタミンEを一緒に摂取することで、より持続的な抗酸化効果が得られることになります。

まとめ

 以上がビタミンと活性酸素との関連です。一見、それぞれ独立した仕組みでの抗酸化作用を持っているように見えますが、複雑に関わり合っている部分もある点が興味深いですね。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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