さよなら中性脂肪 -健康診断におびえないための心得-

中性脂肪(トリグリセリド)とは、グリセロールに3つの脂肪酸が結合した構造を持つ脂質の一種です。食品に含まれる油脂(肉や魚の脂、食用油など)の主成分であり、体内では脂肪細胞に蓄えられている体脂肪の大部分を占める物質でもあります (中性脂肪(TG・トリグリセリド)が高い場合のリスクと改善方法について解説 – 健康情報コラム)。栄養表示で「脂質」と書かれているものの多くは中性脂肪です。また、中性脂肪は私たちが活動するための重要なエネルギー源で、生命維持になくてはならないものです (中性脂肪(TG・トリグリセリド)が高い場合のリスクと改善方法について解説 – 健康情報コラム)。食事由来の中性脂肪や肝臓で合成された中性脂肪は血液によって全身に運ばれ、必要に応じて臓器や筋肉で燃焼されてエネルギーになります。一方、余った中性脂肪は脂肪組織に蓄積されて皮下脂肪や内臓脂肪になるため、摂り過ぎには注意が必要です。

健康診断では血液中の中性脂肪値(空腹時トリグリセリド値)が測定されます。基準値はおおむね30~149 mg/dL未満で、150 mg/dL以上だと「高中性脂肪(高トリグリセリド血症)」と判断されます (中性脂肪と皮下脂肪の違い|特徴や落ちにくさ・減少方法などを解説)。中性脂肪値が高い状態が続くと、いわゆる**脂質異常症(高脂血症)**の一種となり、動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞など心血管疾患のリスク要因になるため注意が必要です (Optimal Cut-off Points of Triglycerides for Cardiovascular Disease …) (中性脂肪(TG・トリグリセリド)が高い場合のリスクと改善方法について解説 – 健康情報コラム)。特に中性脂肪が500 mg/dLを超えるような場合、急性膵炎を引き起こすこともあり危険です ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。一方で中性脂肪値は日々の生活習慣に大きく左右されるため、改善の余地が大きい項目です。高めと言われた人も落ち込む必要はありません。適切な対策を取れば、比較的短期間で数値を下げられることが多いからです。

では具体的に中性脂肪を減らすためのアプローチを見ていきましょう。ポイントは食事運動・**サプリメント(必要なら薬)**の三本柱です。

目次

1. 食事の心得 – 「減らすべきもの」と「摂りたいもの」

中性脂肪値を下げるには、まず日々の食生活を見直すことが肝心です。キーワードは**「余分なエネルギーと脂肪分・糖分をカット」し、「代謝を助ける栄養を摂取」**することです。

2. 運動の心得 – 脂肪を効率よく消費する

中性脂肪値を下げるもう一つの柱が運動です。運動によってエネルギー(カロリー)を消費することで、体は蓄積した脂肪を燃料として動員します。血液中の中性脂肪(直近の食事で吸収された脂肪)も、運動時に筋肉でエネルギー源として取り込まれて消費されます。つまり運動は**「血液中の余分な脂肪」と「体に蓄えられた脂肪」の両方を減らす**効果があるのです ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。

特に有酸素運動は中性脂肪低下に効果的です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスなど、少し息がはずむ程度の運動を毎日30分程度行う習慣をつけましょう ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。できれば1日あたり30分以上を週5日、合計150分以上/週の中等度強度の運動が推奨されます ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。この程度の運動量で血中中性脂肪が約20~30%低下する可能性があるといいます ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。ポイントは継続することです。「週末にまとめて2時間走る」より「毎日30分歩く」方が中性脂肪管理には有効です。

忙しい人でも、例えば「エレベーターではなく階段を使う」「通勤で一駅分歩く」「家事で体を動かす」など日常生活の中で体を動かす工夫をするだけでも違います。少しの運動でも全くしないより確実に効果があります ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。できる範囲で構いませんので、「息が弾む程度の運動」を日々積み重ねてみてください。

加えて、筋力トレーニングも取り入れると理想的です。筋トレは直接中性脂肪を大きく減らすわけではありませんが、筋肉量が増えると基礎代謝が向上し、太りにくく痩せやすい身体になります (効果的に脂肪を燃焼させる方法|タニタマガジン | タニタ)。中性脂肪値の高い方は内臓脂肪も多めである場合が多く、筋トレによって内臓脂肪燃焼が促進される効果も期待できます。腕立て伏せやスクワットなど自宅でできる自重トレーニングを週2回ほど行ってみましょう。筋肉がついてくると同じ運動でも消費エネルギーが増え、中性脂肪の減少に拍車がかかります。

さらに運動のタイミングとしては、食後少ししてから身体を動かすのがお勧めです。食後高くなった中性脂肪(食後高トリグリセリド血症)は動脈硬化のリスクですが、食後30分~1時間後に軽く散歩や体操をすると血中中性脂肪の上昇を抑えることができます。会社のお昼休みに少し歩く習慣や、夕食後に後片付けついでに体を動かすなど、こまめな運動で血脂肪を消費してしまいましょう。

3. サプリメント・薬 – 中性脂肪対策の助っ人

基本は食事と運動ですが、どうしても改善しない場合やさらに効果を高めたい場合、サプリメントや医薬品の力を借りる選択肢もあります。ただしまず強調したいのは、サプリや薬は**「生活習慣の土台あっての補助」**だということです ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。それを踏まえた上で、有用な成分をいくつか紹介します。

  • 魚油(EPA/DHA)サプリメント: 最もエビデンスがあるのはこれです。EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸は中性脂肪を低下させる作用があり、実際に純度の高いEPA製剤(イコサペント酸エチル)は高脂血症治療薬として用いられています (Taming high triglycerides – Harvard Health)。研究では、1日あたりEPA+DHAを2~4g摂取すると血中中性脂肪が20~30%低下するとの報告があります (Taming high triglycerides – Harvard Health)。市販の魚油サプリでもある程度効果が期待できますが、効き目を実感するには含有量の多い製品を選ぶ必要があります。魚をあまり食べない方や中性脂肪値が高めの方は、魚油サプリの活用を検討してもよいでしょう。なお、魚油には血液をサラサラにする作用もあるため、抗凝固薬を飲んでいる場合は医師に相談してください。
  • 食物繊維系サプリ: 難消化性デキストリンやサイリウム(オオバコ)などの食物繊維サプリは、食事と一緒に摂ると脂肪や糖の吸収を抑えてくれます。中性脂肪値が高い人の中には食後高血糖・高脂血もある場合が多く、食物繊維を補うことでそれらを改善できます。ただし摂り過ぎるとお腹が張ったり他の栄養吸収に影響する可能性があるので用法用量は守りましょう。
  • ナイアシン(ビタミンB3): ナイアシンは高脂血症治療に用いられてきた成分で、中性脂肪やコレステロールの合成を抑える作用があります。ただし高用量では**顔のほてり(ナイアシンフラッシュ)**など副作用が出やすいため、サプリでむやみに大量摂取するのは危険です。病院で処方される「ニコチン酸製剤」は医師管理下で用いられます。
  • 漢方・ハーブ: 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)など肥満症向け漢方薬が中性脂肪や体重を減らす効果を示す場合があります。また、紅麹(レッドイースト)やEPA含有の機能性表示食品など、中性脂肪を下げる効果を謳ったサプリも複数市販されています。それらを利用する場合は、用法を守りつつ、効果が感じられなければ他に頼りすぎないことが肝心です。
  • フィブラート系薬: これは医師が処方する中性脂肪低下薬です。フィブラートは肝臓での脂質代謝を調整し、中性脂肪を大きく下げてくれます。特に空腹時300~500 mg/dLを超えるような高トリグリセリド血症では、膵炎予防のために投与が検討されます ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。数値が高く自主的な取り組みだけでは難しい場合、専門医に相談してみましょう。最近では上記EPA製剤や、高度肥満にはGLP-1作動薬など新しい選択肢も出てきています。

4. 生活習慣の改善を継続するコツ

中性脂肪を下げるための食事・運動・サプリのポイントを述べてきましたが、何より大切なのはそれを継続することです。最初はやる気があっても、数値がすぐに改善しないと挫折しがちです。そこで、継続のコツをいくつか:

  • 目標を具体的に設定: 「3ヶ月で中性脂肪を150未満にする」「体重を5kg減らす」など具体的な数値目標を立てましょう。健康診断の日程をゴールに設定するのも有効です。目標が明確だと行動に張り合いが出ます。
  • 記録をつける: 毎日の食事内容や運動量、体重などを記録しましょう。アプリや手帳に書くだけでもOKです。記録を振り返ることで達成感も得られ、「こんなに頑張ったのだから数値もきっと下がるはず」と自信に繋がります。
  • 定期的に検査する: 家庭用のコレステロール測定器などで中性脂肪を測れるものもありますが難しければ2~3ヶ月おきに病院で血液検査を受けましょう。数値の変化はモチベーションになります。多くの場合、3ヶ月真剣に取り組めば中性脂肪はかなり改善するはずです ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。
  • 一人で抱え込まない: 家族や友人に目標を宣言したり、一緒にダイエットに取り組んだりすると励みになります。栄養士やトレーナーに相談するのも良いでしょう。周囲の協力があると続けやすくなります。

最後に、「健康診断におびえないために」とありますが、まさに日頃の積み重ねが健診結果に現れるものです。中性脂肪に関して言えば、適度な食事と適度な運動というシンプルな習慣でほとんどコントロール可能です ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。裏を返せば、高中性脂肪は生活習慣の乱れを示すサインとも言えます。今回述べた心得を実践すれば、「さよなら中性脂肪!」も夢ではありません。実際、体重を5~10%落とし食習慣を改善すれば、血中中性脂肪値は劇的に改善するケースが多いのです ( Healthy Diet, Physical Activity are First Line of Treatment for High Triglycerides | CardioSmart – American College of Cardiology )。

中性脂肪が正常範囲に収まれば、動脈硬化の進行抑制や膵炎リスク低減など健康メリットは計り知れません。健診結果に怯えることなく胸を張れるよう、できることから生活習慣を見直していきましょう。大切なのは継続とバランスです。無理のない範囲でコツコツと、そして楽しみながら取り組むことで、いつの間にか中性脂肪と上手に付き合える身体になっているはずです。今日からぜひ実践してみてください。あなたの健康診断が怖くなくなる日も、きっと近いでしょう。健康な未来に向けて、さよなら中性脂肪!

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