今更聞けない半導体の基本:ゼロから学ぶ仕組みとコンピュータ発展への貢献

目次

1. はじめに

私たちの現代社会は、スマートフォン、パソコン、インターネット通信といった情報技術から、自動車、家電製品、さらには銀行ATMや電車の運行システムのような社会インフラに至るまで、目に見えないところで「半導体」という技術に深く支えられています 1。しかし、「半導体とは何か?」と改めて問われると、その重要性とは裏腹に、意外と説明が難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、「今更聞けない」と感じている方々に向けて、半導体の基本的な仕組み、つまり物質としての性質から、それがどのようにしてコンピュータをはじめとする様々な技術の目覚ましい発展に貢献してきたのかまでを、国内外の文献や資料 5 などを参考にしながら、できる限りわかりやすく解説していきます。専門的な知識がない方でもご理解いただけるよう、基本的な概念から一つひとつ丁寧に説明を進めてまいりますので、どうぞご安心ください。

まず、最も基本的な定義から始めましょう。半導体とは、電気を非常によく通す「導体」(例えば銅や鉄などの金属)と、電気をほとんど通さない「絶縁体」(例えばゴムやガラス)の、ちょうど中間の電気的な性質を持つ物質や材料のことを指します 5。この「中間的」であり、かつ特定の条件下でその性質を「制御」できるという点が、半導体が現代のエレクトロニクスにおいて、なくてはならない非常に重要な役割を果たす理由なのです。

2. 半導体の「キホン」:物質としての性質

半導体がなぜ特別なのかを理解するためには、まず物質が電気をどのように通すのか、その基本的な性質から見ていく必要があります。

2.1 導体、絶縁体、そして半導体

物質が電気を通すかどうかは、その物質の内部で原子から離れて自由に動き回ることができる電子、すなわち「自由電子」の数に大きく関係しています 7

  • 導体 (Conductor): 鉄、銅、アルミニウム、金などの金属が代表例です 5。これらの物質は内部に自由電子を豊富に持っており、電圧がかかるとこれらの電子が一斉に移動することで、容易に電流が流れます 6。つまり、電気を非常によく通す物質です。
  • 絶縁体 (Insulator): ゴム、ガラス、セラミックス、油などがこれにあたります 5。これらの物質では、電子は原子に強く束縛されており、自由に動き回れる自由電子がほとんど存在しません。そのため、電圧をかけても電流はほとんど流れません。つまり、電気をほとんど通さない物質です。
  • 半導体 (Semiconductor): シリコン(ケイ素)やゲルマニウムなどが代表的な材料です 8。これらの物質は、導体と絶縁体の中間的な性質を持っています 5。通常の状態(例えば低温時)では自由電子が少なく、絶縁体に近い性質を示し、電気をほとんど通しません 8。しかし、温度を上げたり、特定の不純物を微量に加えたり、あるいは電圧のかけ方を変えたりといった「条件」を与えることで、電気を通しやすい状態(導体に近い状態)に変化させることができます 5

この「条件次第で電気の流れやすさを制御できる」という性質こそが、半導体の最も重要な特徴です 7。導体は常に電気を通し、絶縁体は常に通しません。これだけでは、電流を意図的にオンにしたりオフにしたり、流れを増幅したりといった複雑な制御はできません。半導体を用いることで初めて、電気信号の流れを自在にコントロールし、デジタル信号の「0」と「1」を作り出したり、微弱な信号を増幅したりといった、現代の電子回路に不可欠な基本動作を実現できるのです 2。単に中間的な性質を持つだけでなく、その性質を外部からコントロールできる点が、半導体を特別な存在にしています。

表1: 導体・半導体・絶縁体の比較

特性導体 (Conductor)半導体 (Semiconductor)絶縁体 (Insulator)
電気の通しやすさ非常に通しやすい (抵抗率が低い)条件によって通しやすさが変わる (中間の抵抗率)ほとんど通さない (抵抗率が高い)
自由電子の数多い少ない (条件により増減)ほとんどない
代表例鉄、銅、アルミニウム、金、銀 7シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs) 16ゴム、ガラス、セラミックス、油 7
バンドギャップほぼ無い小さい大きい

(注:バンドギャップとは、電子が存在できないエネルギー領域のことで、これが小さいほど電子はエネルギーを得て移動しやすくなります 8。)

2.2 なぜシリコン(Si)が主役なのか

半導体として利用できる材料はいくつか存在しますが 6、現在の半導体産業において圧倒的な主役となっているのは「シリコン(Si)」、すなわちケイ素です 6。なぜシリコンがこれほどまでに広く使われているのでしょうか。それにはいくつかの重要な理由があります。

  1. 資源が豊富で安価であること: シリコンは、地球の地殻(表面を覆う岩盤)中に酸素に次いで2番目に多く存在する元素です 16。私たちの足元にある土や砂、石の主成分がシリコン(多くは酸素と結合した二酸化ケイ素の形)であり 16、資源が極めて豊富で、枯渇の心配がほとんどありません 17。そのため、材料コストを低く抑えることができ、半導体の大量生産に適しています 17
  2. 高純度化しやすいこと: 半導体デバイスを作るためには、不純物を極限まで取り除いた超高純度の材料が必要です。例えば、集積回路(IC)に使われるシリコンは「イレブン・ナイン」と呼ばれる99.999999999%もの純度が要求されます 17。シリコンは、化学的な精製プロセスによってこのような超高純度な状態(単結晶)を作り出す技術が確立されています 16
  3. 加工しやすいこと: シリコンは硬くてもろい性質を持っていますが、精密な加工技術が開発されており、薄い円盤状の「ウェーハ」にスライスしたり、その表面に微細な回路パターンを形成したりするのに適しています 16。単結晶を作りやすいことも加工上有利な点です 16
  4. 安定した良質な酸化膜を形成できること: シリコンは酸素と非常に反応しやすく、高温で熱処理(酸化)するだけで、表面に非常に安定で電気的な絶縁性に優れた「二酸化ケイ素(SiO2)」の膜を容易に形成できます 16。この酸化膜は、トランジスタ内部で電流の通り道を制御するための絶縁層(ゲート絶縁膜)などとして不可欠であり、シリコンが持つ大きな利点の一つです 17
  5. 適切な電気的特性と温度耐性: シリコンは、電子機器が通常動作する温度範囲で安定した半導体特性を示し、性能の劣化が少ないという特徴があります 12。かつて初期に使われたゲルマニウムは、約80℃で壊れやすいという熱的な弱点がありましたが、シリコンは約180℃まで耐えることができます 18

これらの特性、特に「豊富さ」「加工のしやすさ」「安定した酸化膜」といった、いわば「扱いやすさ」が揃っていたことが、シリコンを半導体材料の主役に押し上げた決定的な要因でした。後述する「ムーアの法則」22 が示すような、半導体の集積密度が指数関数的に向上し、同時にコストが劇的に低下するという驚異的な進歩は、まさにシリコンという優れた材料があってこそ可能になったと言えます。もしシリコンのように、安価で、加工しやすく、信頼性の高いデバイス構造を作りやすい材料が見つかっていなければ、コンピュータの小型化・高性能化・低価格化はこれほど急速には進まず、私たちの社会は今とは全く異なる姿になっていたかもしれません。シリコンの物理的・化学的な特性が、半導体産業の経済的な発展法則とも言えるムーアの法則を、物理的な側面から力強く支えてきたのです 17

2.3 半導体の性質を操る「ドーピング」

純粋なシリコン(真性半導体と呼ばれます)は、自由電子が非常に少なく、電気をほとんど通さない絶縁体に近い物質です 6。このままでは電子部品として活用できません。そこで、半導体の電気的な性質を意図的に制御するために行われるのが「ドーピング」という操作です 6

ドーピングとは、高純度の半導体結晶(例えばシリコン)の中に、ごく微量の特定の「不純物」原子を添加するプロセスを指します。添加する不純物の種類によって、半導体の電気的な性質を劇的に変えることができます。

  • N型半導体 (N-type Semiconductor) の作り方:
    シリコンは原子の一番外側(価電子殻)に4つの電子(価電子)を持っています。このシリコン結晶に、例えばリン(P)やヒ素(As)といった、価電子を5つ持つ元素(5価元素)を不純物として微量添加します 6。
    添加されたリン原子は、周囲の4つのシリコン原子と結合するために4つの価電子を使いますが、1つの電子が結合に関与せず余ってしまいます 6。この余った電子は、結晶内を比較的自由に動き回れる「自由電子」となり、電気伝導の主な担い手(多数キャリア)となります 6。
    このように、負(Negative)の電荷を持つ自由電子が過剰になった半導体を「N型半導体」と呼びます 6。不純物(この場合はリン)は電子を提供するので「ドナー」と呼ばれます 6。
  • P型半導体 (P-type Semiconductor) の作り方:
    シリコン(価電子4つ)に、今度は例えばホウ素(B)やアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)といった、価電子を3つしか持たない元素(3価元素)を不純物として微量添加します 6。
    添加されたホウ素原子は、周囲のシリコン原子と結合する際に、電子が1つ足りない状態になります。この電子の抜けた穴を「正孔(せいこう)」または「ホール」と呼びます 6。
    この正孔は、隣の原子から電子が移動してきて埋められると、電子が元々あった場所に新たな正孔ができます。これが繰り返されることで、正孔があたかも結晶内を移動しているかのように見えます 6。正孔は電子が不足している状態なので、相対的に正(Positive)の電荷を持っているかのように振る舞います。
    このように、正孔が電気伝導の主な担い手(多数キャリア)となった半導体を「P型半導体」と呼びます 6。不純物(この場合はホウ素)は電子を受け入れる(正孔を作る)ので「アクセプター」と呼ばれます 6。

ドーピングという操作は、見方を変えれば、完全で安定した純粋な半導体結晶 6 に、意図的に「欠陥」を作り出す行為と言えます。N型の場合は電子が過剰という「欠陥」、P型の場合は電子が不足(正孔)という「欠陥」です 6。しかし、この制御された「不完全さ」こそが、半導体に電気を流す能力(導電性)を与え、さらにその流れを制御可能にするための鍵なのです 16。完璧な物質ではなく、意図的に作り出した「欠陥」を利用して有用な機能を生み出す、これが半導体技術の巧みさの一つと言えるでしょう。

3. 半導体デバイスの心臓部:PN接合と基本素子

ドーピングによってN型とP型という2種類の半導体を作り出せるようになりました。これらを組み合わせることで、電子回路の基本的な機能を実現する様々な「半導体素子(デバイス)」が作られます。その最も基本的な構造が「PN接合」です。

3.1 N型とP型の出会い:「PN接合」

P型半導体とN型半導体をぴったりと接合させると(実際には、一つのシリコン結晶内で隣り合う領域にそれぞれP型とN型のドーピングを行うことで形成されます 37)、その境界面で非常に重要な現象が起こります。このP型とN型の接合部分を「PN接合」と呼びます 30

接合が形成されると、濃度差によって、N型領域に豊富にある自由電子がP型領域へ、P型領域に豊富にある正孔がN型領域へと、互いに拡散しようとします 36。接合面付近で出会った電子と正孔は結合し、互いに消滅します(この現象を再結合と呼びます)。

この電子と正孔(これらをまとめて「キャリア」と呼びます)が再結合によっていなくなってしまった領域が、接合面付近に形成されます。このキャリアが存在しない層を「空乏層(くうぼうそう)」と呼びます 34。空乏層の中では、電子を放出してプラスに帯電したドナーイオン(N型側)と、電子を受け取ってマイナスに帯電したアクセプターイオン(P型側)が固定された状態で残ります 36。これらの固定されたイオンによって、N型側からP型側に向かう内部電界が発生します。この電界は、電子や正孔がさらに拡散して空乏層を越えようとする動きを妨げる「壁」のように働きます。これを「電位障壁」と呼びます 36

興味深いのは、この空乏層と電位障壁は、外部から電圧をかけなくても、P型とN型を接合しただけで自律的に形成され、安定な状態になるという点です。キャリアの拡散が始まると空乏層が広がり、電位障壁が高くなります。電位障壁が高くなるとキャリアの拡散が抑制され、やがて拡散と障壁による阻止が釣り合ったところで安定します 36。あたかも、接合部分に自然に小さな「内部バッテリー」が形成され、それ以上のキャリアの自由な移動を妨げているような状態と考えることができます。このPN接合が持つ性質が、ダイオードやトランジスタといった半導体素子の動作原理の基礎となります。

3.2 電気の流れを一方向に:「ダイオード」

PN接合の最も基本的な応用が「ダイオード」です。ダイオードは、PN接合が持つ「電圧のかけ方によって電流の流れやすさが大きく変わる」性質、すなわち「整流作用」を利用した半導体素子です 8。基本的には、P型半導体側の端子「アノード(A)」とN型半導体側の端子「カソード(K)」という2つの端子を持っています 40

  • 順方向バイアス: アノード(P型側)にプラス、カソード(N型側)にマイナスの電圧をかける接続方法です。この外部からかけた電圧は、PN接合内部に自然にできている電位障壁を打ち消す方向に働きます 39。これにより、N型の電子はP型へ、P型の正孔はN型へと流れ込みやすくなり、空乏層を越えて移動します。結果として、アノードからカソードの方向に電流が流れます 30。シリコンダイオードの場合、一般的に約0.7V程度の電圧(順方向電圧)を超えると、電流が流れ始めます 37
  • 逆方向バイアス: アノード(P型側)にマイナス、カソード(N型側)にプラスの電圧をかける、順方向とは逆の接続方法です。この場合、外部電圧は内部の電位障壁をさらに高くするように働きます 37。空乏層は広がり、電子も正孔も接合面から遠ざかるため、キャリアの移動が妨げられ、電流はほとんど流れません 35。このように、ダイオードは電流をほぼ一方向にしか流さない性質を持っています。ただし、非常に高い逆方向電圧(降伏電圧またはブレークダウン電圧)をかけると、絶縁破壊が起きて急激に電流が流れる現象がありますが、通常のダイオードではこの状態になると素子が劣化・破壊してしまうため、意図的に利用する場合(ツェナーダイオードなど)を除き、避けるように使われます 35

この「一方向にしか電流を流さない」という整流作用は、様々な応用を生み出しています。家庭用のコンセントに来る交流電流を、電子機器で使われる直流電流に変換する「整流回路」18 は最も代表的な例です。他にも、ラジオの電波から音声信号を取り出す「検波」、電圧を一定に保つための「定電圧回路」、電流を流すと光を発する「LED(発光ダイオード)」4、光が当たると電気を発生する「フォトダイオード」や「太陽電池」2 など、ダイオードとその派生技術は私たちの身の回りで広く活躍しています。

ダイオードは、電流を「通す」か「通さない」かを電圧の向きで制御できる、最も基本的な電子的な「スイッチ」あるいは「バルブ(弁)」と見なすことができます。デジタル回路は「0」と「1」、すなわち「オフ」と「オン」の状態で情報を処理しますが、ダイオードのこの基本的なオン/オフ制御能力は、より複雑な論理回路やスイッチング動作を実現するための foundational な要素であり、デジタルコンピューティングの世界を支える重要な部品の一つなのです 8

3.3 電流を増幅・スイッチング:「トランジスタ」

半導体素子の中で、ダイオードと並んで、あるいはそれ以上に重要な役割を果たしているのが「トランジスタ」です。トランジスタ(Transistor)という名前は、「伝達(transfer)」と「抵抗(resistor)」を組み合わせた造語です 8。その名の通り、トランジスタは、入力端子に加えた小さな電気信号(電圧や電流)を利用して、別の端子間を流れる大きな電流を制御することができる半導体素子です。この制御によって、信号を大きくする「増幅作用」と、電流の流れをオン・オフする「スイッチング作用」という、二つの重要な機能を実現します 8。現代のあらゆる電子機器、特にコンピュータの頭脳であるCPU(中央処理装置)3 やメモリは、膨大な数のトランジスタが集積されることによって成り立っています。

トランジスタにはいくつかの種類がありますが、基本的な構造として「バイポーラトランジスタ」と「電界効果トランジスタ(FET)」があります。

  • バイポーラトランジスタ: N型とP型の半導体を「NPN」または「PNP」というサンドイッチ構造に接合したものです 41。3つの端子を持ち、それぞれ「エミッタ(E)」「ベース(B)」「コレクタ(C)」と呼ばれます 41。NPN型トランジスタを例にとると、ベース(P型)とエミッタ(N型)の間に小さな順方向電流(ベース電流)を流すと、エミッタからベース領域に大量の電子が注入されます 41。ベース領域は非常に薄く作られているため 41、注入された電子の大部分はベースを通り抜け、コレクタ(N型)に加えられたプラス電圧に引き寄せられてコレクタに到達します。これにより、小さなベース電流によって、その何十倍、何百倍もの大きなコレクタ電流(エミッタ-コレクタ間電流)を流すことができます。これが「増幅作用」です 8。また、ベース電流を流すか流さないかで、コレクタ電流をオン・オフさせることができるため、「スイッチング作用」も実現できます 8
  • 電界効果トランジスタ (FET: Field-Effect Transistor): 電圧によって生じる電界を利用して、半導体内の電流の流れる経路(チャネル)の幅を制御し、電流の流れをコントロールするタイプのトランジスタです。特に「MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor FET、モス・エフイーティー)」と呼ばれる構造のものが、消費電力が少なく、高密度に集積しやすいという利点から、現在のCPUやメモリなどのLSI(大規模集積回路)で最も広く使われています 8。最初のMOSトランジスタは1960年にベル研究所で作られました 8

トランジスタの発明は、エレクトロニクスに革命をもたらしました。それ以前の増幅・スイッチング素子であった「真空管」は、ガラス管の中に電極を封じたもので、サイズが大きく、消費電力が多く、発熱し、物理的な衝撃に弱く、寿命も短いという多くの欠点を持っていました 44。トランジスタは、半導体という固体材料で作られているため、これらの欠点をすべて克服し、小型・軽量・低消費電力・高信頼性・長寿命・安価という、圧倒的な利点を実現しました 44

トランジスタが持つ「増幅」機能は、ラジオの微弱な電波をスピーカーを鳴らせるほどの音声信号に変えるなど、弱い信号を扱えるようにし、通信技術や計測技術を飛躍的に進歩させました。そして「スイッチング」機能は、高速で電流のオン・オフ(すなわちデジタル信号の0と1)を切り替えることを可能にし、これが電子計算機の性能を劇的に向上させる基礎となりました 2。トランジスタは、情報の「量」を増やす増幅器であり、情報の「流れ」を制御する電子的な蛇口(バルブ)として機能します。真空管では到底実現できなかった規模(数百万~数億個以上)と速度での情報処理を可能にし、現代のコンピュータ社会の扉を開いた、まさに画期的な発明だったのです。

4. コンピュータを進化させた半導体の歴史

4.1 巨大な計算機から手のひらサイズへ

現代の私たちが当たり前のように使っているスマートフォンやノートパソコンは、驚くほど小型でありながら、数十年前の巨大なコンピュータを遥かに凌ぐ性能を持っています。この驚異的な進化は、まさに半導体技術の進歩と共にありました。コンピュータの歴史は、その心臓部である計算素子が、真空管からトランジスタへ、そして集積回路(IC)、大規模集積回路(LSI)へと進化してきた歴史そのものと言えます。

4.2 真空管からトランジスタへ:革命の始まり

電子式コンピュータの黎明期を飾ったのは「真空管」でした。1946年に公開された世界初の汎用電子計算機の一つとされる「ENIAC」は、約18,000本もの真空管を使用して構築されており、その大きさは一部屋を埋め尽くすほどで、総重量は約30トンにも達しました 46。真空管は、白熱電球のようにフィラメントを加熱して電子を放出させ、電極間の電圧でその流れを制御する仕組みですが、サイズが大きい、消費電力が膨大で大量の熱を発する、物理的に壊れやすく寿命が短い、といった多くの実用上の課題を抱えていました 44

この状況を一変させたのが、1947年末から1948年にかけて、米国のAT&Tベル研究所 47 において、ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテン、そしてウィリアム・ショックレーの3人によって発明された「トランジスタ」でした 8。彼らはこの功績により、1956年にノーベル物理学賞を受賞しています 44

トランジスタは、半導体という固体物質の内部で電子の動きを制御するため、真空管に比べて桁違いに小さく、軽く、消費電力が少なく、動作に必要な電圧も低く、そして衝撃に強く信頼性が高いという、画期的な利点を持っていました 44

このトランジスタの登場により、1950年代後半から1960年代にかけて、コンピュータは「第2世代」と呼ばれるトランジスタ式へと移行しました 52。これにより、コンピュータの小型化、高速化、そして信頼性の向上が一気に進みました。また、1955年には日本で世界初のトランジスタラジオが発売される 46 など、コンピュータ以外の分野でもエレクトロニクス製品の小型化・携帯化が可能になりました。

トランジスタ革命は、単に技術的な優位性をもたらしただけではありませんでした。真空管コンピュータは、その巨大さ、高コスト、頻繁な故障のために、運用できるのは一部の政府機関や大企業、大学などに限られていました 46。トランジスタは、その小型・省電力性に加え、固体素子であるがゆえの高い信頼性と、大量生産による低コスト化を実現しました 45。これにより、コンピュータはより「実用的」で「経済的に導入可能」な機械へと変貌を遂げました。この経済性と信頼性のパラダイムシフトこそが、コンピュータが特殊な計算機から、より広範な分野で利用される汎用的な情報処理ツールへと発展し、後のパーソナルコンピュータ時代へと繋がる道筋をつけたのです。

4.3 チップ上に機能を集積:「集積回路(IC)」の誕生

トランジスタによる革命の次に訪れた大きな技術的飛躍が、「集積回路(Integrated Circuit, IC)」の発明です。これは、個々のトランジスタや、抵抗、コンデンサといった複数の電子部品とその配線を、一つの小さな半導体基板(チップ)の上にまとめて作り込んでしまう技術です 44

1958年から1959年にかけて、米国テキサス・インスツルメンツ(TI)社のジャック・キルビー 46 と、フェアチャイルドセミコンダクター社のロバート・ノイス 57 が、ほぼ同時期にそれぞれ独立してICの基本概念を発明しました。キルビーはこの功績により2000年にノーベル物理学賞を受賞しました 57(ノイスはノーベル賞が生存者にしか与えられないため、受賞前に亡くなっていました 60)。

ICの登場は、エレクトロニクス製品の製造方法に根本的な変化をもたらしました。トランジスタ時代は、個別の部品をプリント基板にはんだ付けして回路を組み立てていましたが 53、ICでは、後述するフォトリソグラフィなどの技術を用いて、シリコンウェーハ上に微細な回路パターン全体を一括して「印刷」するように作り込みます 55。これにより、部品点数と配線が劇的に削減され、電子回路はさらに小型・軽量・低コストになり、信頼性も飛躍的に向上しました。

この「回路を印刷する」という製造パラダイムへの転換は、半導体の集積度をさらに高める道を開きました。1チップあたりの素子数が数千から数万個以上の「LSI(Large Scale Integration, 大規模集積回路)」、さらには数百万個以上の「VLSI(Very Large Scale Integration)」へと発展し、現代の複雑なマイクロプロセッサやメモリチップの製造を可能にしたのです。ICの登場により、コンピュータは1960年代後半から「第3世代」へと進化しました 52

4.4 世界を変えた「Intel 4004」:マイクロプロセッサの登場

集積回路(IC)技術の急速な進歩は、ついにコンピュータの最も重要な構成要素であるCPU(中央処理装置)の全ての機能を、一つのシリコンチップ上に集積することを可能にしました。これが「マイクロプロセッサ」の誕生です。

1971年11月15日、米国のインテル(Intel)社が発表した「Intel 4004」は、世界初の商用マイクロプロセッサとして広く知られています 63。興味深いことに、この画期的なチップは、日本の計算機メーカーであるビジコン社が、自社の高性能電卓用にインテルに開発を依頼したLSIチップセットが元になっています 63。当初は電卓専用のカスタムチップとして設計が進められましたが、インテルの技術者(テッド・ホフ、フェデリコ・ファジン、嶋正利ら)のアイデアにより、特定の計算だけでなく様々な処理に応用できる汎用的なプログラム制御方式のチップとして設計が変更されました 63

Intel 4004は、わずか指の爪ほどの大きさのチップでありながら、約2,300個のトランジスタを集積し、1946年に作られた部屋全体を占めるほどの巨大なコンピュータENIACに匹敵する計算能力を持っていました 64。インテルは、このチップの汎用性に気づき、ビジコン社との交渉の末、電卓以外にも販売する権利を獲得しました 67

マイクロプロセッサの登場は、コンピュータの歴史における決定的な転換点でした。それまで、CPU機能は多数のICを組み合わせた複雑な回路基板で構成されており、コンピュータシステムの中核ではあっても、単体の「部品」として扱えるものではありませんでした。Intel 4004は、CPU機能をワンチップに収めたことで、CPUを他の電子部品(抵抗やコンデンサなど)と同様に、カタログから選んで購入し、様々な電子機器に「組み込む」ことができる汎用部品へと変えたのです 63

この「計算能力の部品化・民主化」とも言える変化は、コンピュータの応用範囲を劇的に広げました。それまでコンピュータとは縁遠かった分野の技術者や企業が、比較的容易に「知能」や「計算能力」を自社の製品やシステムに組み込むことが可能になったのです。これが、パーソナルコンピュータ(PC)の誕生を促し、さらには家電製品、産業機器、自動車など、あらゆるものがコンピュータ化される現代社会の基礎を築きました。

4.5 進歩のペースを予測する「ムーアの法則」

半導体技術の進歩のペースを象徴する言葉として、「ムーアの法則」が非常に有名です。これは、1965年に、後にインテル社の共同創業者となるゴードン・ムーア氏が、米国のエレクトロニクス専門誌に寄稿した論文の中で提唱した経験則です 22

ムーア氏は、それまでの半導体チップ上のトランジスタ数が毎年約2倍のペースで増えていることを観測し、この傾向が今後も続くと予測しました。後に、このペースは「1年半から2年(18ヶ月~24ヶ月)で2倍になる」と修正されましたが 22、これが一般に「ムーアの法則」として知られるようになりました。

この法則が意味するのは、単にチップ上のトランジスタの数が増える(=集積度が上がる)ということだけではありません。トランジスタをより小さく、より高密度に集積できるようになることで、結果的に半導体チップの処理性能が向上し、同時に、チップあたりの製造コストが低下することも含意していました 24。つまり、「より高性能なものが、より安価になる」という、驚異的な進歩のサイクルを示唆していたのです。

ムーアの法則は、発表当初は過去のトレンドに基づく一つの予測に過ぎませんでしたが 22、やがて半導体業界全体にとって、達成すべき技術開発の目標、あるいは競争に勝ち残るためのロードマップのような存在へと変化していきました 23。インテルをはじめとする多くの半導体メーカーや製造装置メーカーは、この「2年で2倍」というペースを実現するために巨額の研究開発投資を行い、微細化技術(特にリソグラフィ技術 23)の革新を競い合いました。その結果、法則は単なる観測結果ではなく、業界全体の努力によって維持され、実現され続ける「自己実現的予言」のような側面を持つようになりました。

このムーアの法則に牽引される形で、半導体技術は約半世紀にわたって驚異的なペースで進歩を続け 23、コンピュータの性能を飛躍的に向上させ、価格を劇的に引き下げてきました。これが、パーソナルコンピュータ、インターネット、スマートフォンといった技術革新を次々と可能にし、私たちの生活や社会を根底から変える原動力となったのです 24

近年、トランジスタの微細化が原子レベルに近づき、物理的な限界や製造コストの増大から、ムーアの法則が提唱された当初のペースを維持することは困難になってきています 23。しかし、半導体技術の進歩そのものが止まったわけではなく、新しい材料や構造、チップレットのような新しいアーキテクチャによって、性能向上は今なお続いています。ムーアの法則は、半導体技術の驚異的な進歩の歴史を象徴する言葉として、依然として重要な意味を持っています。

4.6 情報を記憶する半導体:DRAMとNANDフラッシュの進化

コンピュータシステムは、計算や制御を行う頭脳としてのCPU(論理 LSI)だけでなく、処理するデータやプログラムを記憶しておくための「メモリ(記憶 LSI)」も不可欠な要素です。半導体技術は、このメモリの分野でも劇的な進化をもたらしてきました。主要な半導体メモリには、DRAMとNANDフラッシュメモリがあります。

  • DRAM (Dynamic Random Access Memory):
    DRAMは、コンピュータの「主記憶装置(メインメモリ)」として、CPUが直接アクセスしてプログラムを実行したり、データを一時的に保持したりするために広く使われています。コンデンサに電荷を蓄えることで情報を記憶しますが、電荷は時間と共に失われるため、定期的に再書き込み(リフレッシュ)動作が必要です。また、電源を切ると記憶内容が消えてしまう「揮発性メモリ」です。
    DRAMは、1966年にIBMのロバート・デナード氏によって発明され 70、1970年代にはそれまで主流だった磁気コアメモリを置き換え始めました 71。微細化による高集積化が比較的容易だったため、かつては半導体製造プロセスの技術開発を牽引する「プロセスドライバ」としての役割を担っていました 72。米国のマイクロン・テクノロジー社は、1981年に最初の製品である64KビットDRAMを出荷し、メモリ市場での地位を確立しました 70。DRAMの大容量化と高速化は、CPUがより多くのデータを扱えるようにし、複雑なソフトウェアの実行を可能にする上で、CPUの性能向上と並んで重要な役割を果たしてきました。
  • NANDフラッシュメモリ (NAND Flash Memory):
    NANDフラッシュメモリは、電源を切っても記憶内容が消えない「不揮発性メモリ」の代表格です。データを長期間保存するストレージ用途に適しており、デジタルカメラのメモリカード、USBメモリ、そして近年ではハードディスクドライブ(HDD)に代わる高速ストレージとしてパソコンやサーバーに搭載されるSSD(ソリッドステートドライブ)、スマートフォンの内蔵ストレージなどに広く使われています 74。
    NANDフラッシュメモリは、1987年に当時東芝(現在のキオクシア)に所属していた舛岡富士雄氏によって発明されました 74。DRAMに比べて構造がシンプルで高集積化しやすく、大容量化とビットあたりのコスト低減が進みました。2000年代に入ると、DRAMに代わって半導体の微細化技術をリードする存在となり 72、デジタル機器の記憶容量を飛躍的に増大させました 74。
    しかし、平面的な微細化も限界に近づいたため、近年ではメモリセルを垂直方向に何層も積み重ねる「3次元積層技術(3D NAND)」が主流となり、さらなる大容量化を実現しています 72。NANDフラッシュメモリ、特にSSDの普及は、パソコンの起動時間やアプリケーションの応答速度を劇的に改善し、ユーザー体験を大きく向上させました。

このように、コンピュータの性能向上は、CPU(論理)の進化だけでなく、DRAMやNANDフラッシュメモリ(記憶)の進化によっても支えられてきました。CPUの処理速度がいくら速くなっても、メモリからのデータ供給が追いつかなければ、システム全体の性能は発揮できません(これをボトルネックと呼びます)。逆に、メモリの大容量化・高速化が、より高性能なCPUへの要求を生み出す側面もあります。論理と記憶というコンピュータの基本要素が、半導体技術という共通の基盤の上で、互いに影響を与え合いながら進化を続けてきたこと(共進化)が、今日の高性能なコンピュータシステムを実現したのです 71

表2: 半導体とコンピュータの進化における主要な出来事

年代出来事関連人物/企業意義参照
1947-1948年トランジスタ発明ベル研究所 (バーディーン, ブラッテン, ショックレー)真空管を代替し、コンピュータの小型化・省電力化・高信頼化を実現 (第2世代へ)46
1958-1959年集積回路 (IC) 発明キルビー (TI), ノイス (フェアチャイルド)複数部品をワンチップ化し、さらなる小型化・低コスト化・高信頼化 (第3世代へ)46
1965年ムーアの法則提唱ゴードン・ムーア (インテル)半導体の指数関数的な性能向上とコスト低下のペースを示し、業界の目標となる46
1971年世界初の商用マイクロプロセッサ (Intel 4004) 発表インテル (ビジコン社の依頼が発端)CPUのワンチップ化により、コンピュータの応用範囲を拡大、PC時代の幕開け63
1987年NANDフラッシュメモリ発明東芝 (現キオクシア) (舛岡富士雄)大容量不揮発性メモリを実現し、デジタルデータの保存・携帯性を革新 (SSDなど)74

5. 半導体はどうやって作られる? 製造プロセス超入門

これほどまでに社会に不可欠となった半導体チップ(IC)は、一体どのようにして作られているのでしょうか。その製造プロセスは極めて複雑で精密ですが、ここではその概要を簡単にご紹介します。

5.1 シリコンウェーハからチップへ:製造フロー概観

半導体チップは、原料となる高純度のシリコン(ケイ素)の塊(インゴット)から薄くスライスされ、表面が鏡のように磨かれた円盤状の基板、「シリコンウェーハ」の上に作り込まれます 75。このウェーハ一枚の上に、同じ回路パターンを持つ多数のチップが同時に形成されます。

半導体の製造工程は、大きく「前工程(まえこうてい)」と「後工程(あとこうてい)」の二つに分けられます。

  • 前工程 (Front-End Process): シリコンウェーハの表面に、設計された回路パターン通りに、トランジスタ、配線、絶縁膜などを形成していく工程です 75。酸化膜を作る、感光材を塗る、光でパターンを焼き付ける、不要な部分を削る、不純物を注入する、といった様々な微細加工ステップを、何層にもわたって繰り返し行います。非常に清浄な環境(クリーンルーム)で、精密な製造装置を用いて行われます。
  • 後工程 (Back-End Process): 前工程でウェーハ上に完成した回路(チップ、またはダイと呼ばれます)を、一つ一つのチップに切り離し(ダイシング)、外部の電子回路と電気的に接続できるようにリードフレームや基板に取り付け、配線を行い(ボンディング)、そしてチップを外部の環境(湿気、衝撃、光など)から保護するために樹脂などで封止(モールディング、パッケージング)する工程です 75。最後に、完成した製品が仕様通りの性能を持っているかどうかの検査(最終テスト)が行われます。

前工程のプロセスを見ると、酸化膜や窒化膜の形成(成膜)、フォトレジストの塗布、露光、現像、エッチング(削り取り)、イオン注入(ドーピング)、洗浄といった基本的な工程が、まるでミルフィーユのように層を積み重ねながら、何度も何度も繰り返されていることがわかります 75。現代の高性能な半導体チップでは、この繰り返しは数百から千ステップ以上にも及びます。各ステップでは、マイクロメートル(μm、100万分の1メートル)やナノメートル(nm、10億分の1メートル)という、目に見えないほどの微細な寸法精度と、原子レベルでの清浄度が要求されます。半導体製造の本質は、いくつかの基本となる精密加工技術を、極めて高度な品質管理の下で、膨大な回数、寸分の狂いなく正確に繰り返すことにあると言えるでしょう。この繰り返しの精度と効率が、最終的な製品の性能、信頼性、そしてコストを決定づけるのです。

5.2 微細な回路を描く技術:「リソグラフィ」

半導体製造の前工程において、まさに心臓部とも言える最も重要な技術が「フォトリソグラフィ(Photolithography)」です 62。これは、写真の原理を応用して、設計された微細な回路パターンをシリコンウェーハ上に正確に転写(焼き付け)する技術です。

フォトリソグラフィの基本的なプロセスは、以下のステップで構成されます。

  1. フォトレジスト塗布 (Resist Coating): まず、シリコンウェーハの表面に、「フォトレジスト」と呼ばれる光に反応する特殊な感光性の液体材料を、スピンコーターという装置を使って極めて薄く均一に塗布します 62
  2. 露光 (Exposure): 次に、回路パターンが精密に描かれたガラス製の原版「フォトマスク(またはレチクル)」を用意します。このフォトマスクを通して、ウェーハ上のフォトレジストに強力な光(主に紫外線)を照射します 62。マスクのパターンに応じて、フォトレジストの特定の部分だけが光に晒されます。光が当たった部分(または当たらなかった部分、レジストの種類によります)は化学的な性質が変化します。最先端の半導体製造では、より微細なパターンを形成するために、波長が非常に短い「EUV(Extreme Ultraviolet, 極端紫外線)」と呼ばれる特殊な光が使われています 23
  3. 現像 (Development): 露光後のウェーハを現像液に浸す(またはスプレーする)と、光によって化学変化した部分(または変化しなかった部分)のフォトレジストだけが溶けて除去されます 62。これにより、フォトマスクの回路パターンがフォトレジストのパターンとしてウェーハ上に転写されます。
  4. エッチング (Etching): 現像によって形成されたフォトレジストのパターンを保護膜(マスク)として利用し、ウェーハ表面の不要な部分(例えば酸化膜など)を、薬品(ウェットエッチング)や反応性のガス(ドライエッチング)を使って選択的に削り取ります 62
  5. レジスト除去 (Resist Removal / Stripping): エッチングが終わると、マスクとしての役割を終えたフォトレジストは不要になるため、専用の薬品やプラズマ(アッシング)によって完全に取り除かれます 75

この「塗布→露光→現像→エッチング→除去」という一連のフォトリソグラフィ工程を、異なるマスクパターンを用いて何度も繰り返すことで、シリコンウェーハ上にトランジスタや配線などからなる複雑な三次元の回路構造が作り上げられていきます。

ムーアの法則が長年にわたって維持されてきた背景には、このフォトリソグラフィ技術、特に露光技術の絶え間ない進歩がありました。回路パターンをより細かく描く能力は、露光に使う光の「波長」に大きく左右されます。一般に、波長が短い光ほど、より微細なパターンを解像することができます 23。半導体業界は、露光光源を水銀ランプ(g線、i線)から、より波長の短いエキシマレーザー(KrF、ArF)、さらにレンズとウェーハの間に液体(純水)を満たして実効的な波長を短くする液浸ArF技術、そして究極とも言えるEUVへと、たゆまぬ努力によって短波長化を進めてきました 23。このリソグラフィ技術の進歩こそが、トランジスタの微細化を物理的に可能にし、ムーアの法則に沿った集積度の向上を実現してきた核心的な原動力なのです 23

5.3 チップを守り、繋ぐ:「後工程(パッケージング)」の重要性

前工程を経てシリコンウェーハ上に作り込まれた半導体チップ(ダイ)は、いわば「裸の」状態です。このままでは非常にデリケートで、外部からの物理的な衝撃、湿気、ホコリ、あるいは光などによって容易に損傷したり、性能が劣化したりしてしまいます。また、チップ内部の微細な電極を、外部の電子回路基板(プリント基板など)に接続することもできません。

そこで重要になるのが「後工程」であり、その中心的なプロセスが「パッケージング」です 78。後工程では、まずウェーハ上に形成された多数のチップを、ダイヤモンド製のブレードなどで一つ一つ正確に切り離します(ダイシング)75。次に、切り出された個々のチップを、リードフレームと呼ばれる金属製の枠や、パッケージ基板と呼ばれる小さな基板の上に接着剤などで固定します(ダイボンディング、またはマウンティング)76。その後、チップ上の微細な電極パッドと、リードフレームやパッケージ基板の外部接続端子とを、非常に細い金線や銅線で繋ぎ合わせます(ワイヤーボンディング)76。あるいは、チップを裏返して電極の突起(バンプ)で直接基板に接続するフリップチップ技術なども用いられます 79。最後に、チップ全体を外部環境から保護するために、エポキシ樹脂などの封止材で覆い固めます(モールディング)76。こうして、私たちが普段目にする黒い樹脂で覆われた「半導体部品」の形になります。

パッケージングの役割は、単にチップを物理的に保護することだけではありません。チップ内部の回路と外部の回路とを電気的に確実に接続するための「インターフェース」としての機能、そしてチップが動作時に発生する熱を効率的に外部へ逃がす「放熱」機能も非常に重要です 78

かつて半導体の性能は、主に前工程における微細化(ムーアの法則)によって向上してきました 23。しかし、その微細化が物理的・経済的な限界に近づきつつある現在 23、後工程、特にパッケージング技術が、さらなる性能向上を実現するための新たな鍵として、その重要性を急速に増しています 78。後述するチップレット技術のように、複数の異なるチップを一つのパッケージ内に高密度に実装し、それらを高速・低遅延で接続する「先進パッケージング技術」(例えば、チップを並べて配置する2.5D実装や、垂直に積み重ねる3D実装、シリコン貫通電極(TSV)、ファンアウト・ウェーハレベル・パッケージ(FOWLP)など 83)が、チップ単体の性能限界を補い、システム全体の性能を飛躍的に高める可能性を秘めているからです 83。このように、後工程・パッケージング技術は、単なる「組み立て・保護」工程から、半導体の付加価値を創出し、性能を決定づける「戦略的工程」へと、その位置づけを変えつつあるのです。

6. 現代社会を支える半導体:広がる応用分野

半導体技術の進歩は、私たちの生活を豊かにし、社会のあり方を大きく変えてきました。ここでは、現代社会における半導体の多様な応用分野と、注目される最新技術動向について見ていきましょう。

6.1 家電から社会インフラまで:日常の中の半導体

半導体は、もはや私たちの日常生活のあらゆる場面に浸透しています。パソコンやスマートフォン 2 はもちろんのこと、家庭にある様々な電化製品も半導体なしには成り立ちません。例えば、エアコンが快適な室温を保てるのは半導体でできた温度センサーのおかげであり、炊飯器がおいしいご飯を炊き上げるのも半導体によるきめ細かな火力制御があるからです 2。テレビの高画質な映像表示、洗濯機の効率的なモーター制御、冷蔵庫の省エネ運転、そして近年普及したLED電球の長寿命・省電力化 2 など、枚挙にいとまがありません。

さらに、個人の持ち物を超えて、社会全体の仕組みを支えるインフラストラクチャーにおいても、半導体は中枢的な役割を担っています。銀行のATMが正確にお金を引き出せるのも、電車が安全かつ定刻通りに運行できるのも、私たちが世界中の情報に瞬時にアクセスできるインターネット通信網も、すべて半導体技術によって制御・管理されています 1。また、医療分野では、高度な診断装置や患者を見守るネットワークシステム 1 に、自動車分野では、エンジンの効率化や排ガスの浄化、エアバッグや自動ブレーキといった安全システムの制御、カーナビゲーションやエンターテインメントシステムなどに、数多くの半導体が使われています 1。近年注目されるIoT(モノのインターネット)の進展により、あらゆるモノがネットワークに繋がり、データをやり取りするようになる中で、半導体の役割はますます拡大していくと考えられます 3

このように、半導体は現代社会の隅々にまで行き渡り、その利便性、効率性、安全性を根底から支えています。しかし、半導体チップそのものが最終製品として店頭に並ぶことは稀であり、機器やシステムの中に組み込まれているため、普段はその存在や重要性を意識する機会は少ないかもしれません 3。まさに現代社会の「空気」のような存在と言えるでしょう。しかし、ひとたび半導体の供給が滞ると(いわゆる半導体不足)、自動車産業をはじめとする多くの産業で生産がストップし、社会経済活動に甚大な影響が及ぶことからも 87、その普遍性と基盤的な重要性が逆説的に示されています。

6.2 省エネの鍵を握る:パワー半導体

私たちの社会は膨大な量の電力を消費していますが、その電力を効率的に利用し、エネルギー損失を減らす上で極めて重要な役割を果たしているのが「パワー半導体」です。パワー半導体は、電力の変換(例えば、交流を直流に、あるいは直流を交流に変換したり、電圧を上げたり下げたりする)や、電力の供給を制御(スイッチング)するために特別に設計された半導体デバイスです。

モーターを効率よく駆動させたり、発電所から送られてくる電気を家庭や工場で使える形に変換したり、太陽光発電や風力発電で作られた電気を電力網に繋いだりする際に、パワー半導体は不可欠です。電力変換時のエネルギー損失を低減することで、機器の省エネルギー化や、ひいては地球温暖化対策(カーボンニュートラル達成)にも大きく貢献する技術として、近年ますます注目度が高まっています 88

従来、パワー半導体の材料としては、主にシリコン(Si)が使われてきました。しかし、より高い性能(低損失、高効率、高温動作、高耐圧など)を求めて、シリコンに代わる新しい半導体材料を用いたパワー半導体の開発と実用化が進んでいます。その代表格が「SiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)」と「GaN(ガリウムナイトライド、窒化ガリウム)」です。

  • SiC (炭化ケイ素):
    SiCは、シリコンに比べて、電気を通しにくくする能力(バンドギャップ)や、高い電圧に耐える能力(絶縁破壊電界強度)が約3倍~10倍高く、熱伝導率も高いという優れた物理的特性を持っています 90。これにより、シリコン製デバイスよりも電力損失(特にオン抵抗やスイッチング損失)を大幅に低減でき、より高温での動作が可能になります 90。また、高い電圧や大きな電流を扱う用途に適しています。
    これらの特性を活かし、SiCパワー半導体は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のモーターを駆動するインバーターや車載充電器、太陽光発電システムのパワーコンディショナー、産業用ロボットや工作機械のモーター制御、鉄道車両の電力変換装置など、特に高電圧・大電流が求められる分野での採用が急速に進んでいます 88。SiC化により、これらの機器の小型・軽量化と高効率化(省エネ化)が実現されています 92。
  • GaN (窒化ガリウム):
    GaNもSiCと同様に、シリコンよりもバンドギャップや絶縁破壊電界強度が高いワイドバンドギャップ半導体ですが、特に電子の移動速度が速いという特徴があります 89。これにより、SiCよりもさらに高速なスイッチング動作が可能となり、電力変換時の損失を一層低減できる可能性があります 88。
    GaNパワー半導体は、その高速スイッチング性能を活かして、スイッチング周波数を高くすることができ、それに伴ってコイルやコンデンサといった周辺部品を小型化できるため、電源システムの小型・軽量化に大きく貢献します 89。また、発熱が少ないため、冷却機構を簡素化できる利点もあります 89。
    現在、GaNは、スマートフォンやノートパソコン用の小型・高効率なACアダプターや急速充電器 88、データセンターで使われるサーバー用電源 89、5G(第5世代移動通信システム)の基地局で使われる高周波パワーアンプ 89 など、比較的中低電圧で、高速動作や小型化が求められる分野での利用が拡大しています。

理論的な性能ポテンシャルを示す指標(バリガ性能指数)では、GaNはSiCをも上回るとされていますが 88、現状ではSiCとGaNは、それぞれの材料特性の強みを活かせる応用分野で「棲み分け」が進んでいる状況です 88。SiCは高耐圧・大電流・高温動作が求められるパワーエレクトロニクスの領域で、GaNは高速スイッチング・高周波特性・小型化が求められる通信・電源の領域で、それぞれ主戦場を見出しています 90。ただし、両材料ともに技術開発が急速に進んでおり、将来的にはGaNが高耐圧領域に進出してきたり、SiCがさらにコストダウンしたりすることで、この棲み分けの構図が変化していく可能性も指摘されています 88

表3: 主なパワー半導体材料の比較

特性Si (シリコン)SiC (炭化ケイ素)GaN (窒化ガリウム)
バンドギャップ標準広い (Siの約3倍) 91広い (Siの約3倍強) 92
絶縁破壊電界強度標準高い (Siの約10倍)高い (Siの約10倍) 90
オン抵抗標準低い (理論上Siの数百分の一) 92さらに低い可能性
スイッチング速度標準速いさらに速い 90
熱伝導率標準高い (Siの約3倍) 92高い 90
動作温度標準 (~150℃)高い (200℃以上可能) 92高い
主な応用分野従来の電力変換EV, 太陽光発電, 産業機器, 鉄道 90ACアダプタ, データセンター電源, 5G通信 89
メリット低コスト, 実績豊富高効率, 高耐圧, 高温動作, 小型化可能超高速スイッチング, 高効率, さらなる小型化可能
課題性能限界コストが高い 91, 大口径ウェハ製造コスト, 縦型デバイス製造, 信頼性評価

6.3 さらなる性能向上へ:チップレット技術

ムーアの法則に従った従来の微細化による性能向上のペースが鈍化しつつある中で 23、半導体の性能をさらに引き上げるための新しいアプローチとして、「チップレット(Chiplet)」技術が大きな注目を集めています。

チップレットとは、従来であれば一つの大きなシリコンチップ(モノリシックIC)上にまとめて設計・製造していた様々な機能を、あらかじめ機能ごとに小さな独立したチップ(これがチップレット、またはダイと呼ばれます)として製造しておき、それらを後工程で一つのパッケージ基板上に高密度に並べて接続し、あたかも一つの高性能チップのように動作させる技術です 83。レゴブロックのように、必要な機能を持つチップレットを組み合わせて目的の半導体製品を作り上げるイメージです。

このチップレット技術には、いくつかの大きなメリットがあります。

  • 歩留まり(良品率)の向上: 半導体製造では、ウェーハ上に微細な欠陥がランダムに発生し、それがチップの不良を引き起こします。チップの面積が大きいほど、欠陥を含む確率が高くなり、歩留まりが低下します 85。チップレットは個々のチップ面積が小さいため、欠陥の影響を受けにくく、ウェーハ全体としての良品チップの数を増やすことができます 85
  • コスト削減と最適なプロセス選択: 一つの大きなチップに全ての機能を集積する場合、最も高性能な(そして最も高価な)最先端の製造プロセスを全体に使わなければならないことがあります。チップレットなら、例えばCPUコアのような性能が重要な部分だけを最先端プロセスで作り、メモリインターフェースや入出力(I/O)のような部分は、コストが安く信頼性の高い少し前の世代のプロセスで作る、といった「適材適所」の使い分け(ヘテロジニアスインテグレーション)が可能です 85。これにより、全体のコストを最適化できます。
  • 開発期間の短縮と設計の柔軟性: 一度開発・検証されたチップレットは、異なる製品で再利用することができます。これにより、新しい製品を開発する際の設計や検証にかかる時間とコストを削減できます 86。また、様々な機能を持つチップレットを組み合わせることで、市場の要求に合わせて多様な製品ラインナップを迅速に開発することが可能になります 85

一方で、チップレット技術には克服すべき課題も存在します。

  • 実装・パッケージング技術の高度化: 複数のチップレットを一つのパッケージ内で、非常に短い距離で、しかも大量の信号線を高速かつ低遅延で接続する必要があります。これには、シリコンインターポーザーや高密度な有機基板、TSV(シリコン貫通電極)といった高度な接続技術と、それらを精密に組み立てるパッケージング技術が不可欠であり、技術的なハードルとコストが上昇する可能性があります 83
  • 設計・検証の複雑化: 個々のチップレットの設計・検証に加え、チップレット間の相互接続や連携動作を含めたシステム全体の設計・検証が必要となり、従来のモノリシックICよりも複雑さが増します 85
  • 熱管理と消費電力: 複数のチップを高密度に実装するため、発生する熱を効率的に除去する熱管理がより重要になります 83。また、チップレット間の通信にも電力を消費するため、システム全体の消費電力が増加する可能性も考慮する必要があります 86

チップレット技術は、従来の「できるだけ多くの機能を一枚のシリコンに詰め込む(集積)」というモノリシックな設計・製造思想から、「最適な機能を持つ部品(チップレット)を効率的に組み立ててシステムを構成する(統合)」という、よりモジュール的なアプローチへの転換を意味します 23。これは、前工程での微細化による性能向上(More Moore)に加えて、後工程でのパッケージング・統合技術による性能向上(More than Moore)を追求する近年のトレンドを象徴する技術であり、半導体産業のサプライチェーンやエコシステム(設計、製造、パッケージング、テスト間の連携)にも変化をもたらしつつあります。AMD社のCPUなどで既に採用されており、今後さらに多くの高性能半導体で利用が広がると予想されます 83

6.4 AI時代を支える頭脳:AI半導体の動向

現代社会のもう一つの大きな潮流が、AI(人工知能)技術の急速な発展と普及です。特に、ChatGPTに代表される生成AI(Generative AI)の登場は、社会に大きなインパクトを与え、その基盤となる計算能力への要求を爆発的に高めました 96。このAIの高度な計算処理、特に大量のデータを並列に処理する必要がある「機械学習(特にディープラーニング)」の「学習(Training)」フェーズや、学習済みモデルを使って新しいデータに対する予測や判断を行う「推論(Inference)」フェーズを、高速かつ効率的に実行するために特化した半導体が「AI半導体」と呼ばれ、今、最も注目されている分野の一つです 96

  • 現状とGPUの役割: 現在、AIの計算、特に学習フェーズにおいては、GPU(Graphics Processing Unit)が広く利用されています。GPUは元々、コンピュータグラフィックスの描画処理のために開発された半導体ですが、多数の計算コアを持ち、単純な計算を並列に実行する能力が極めて高いことから、ディープラーニングのような大量の行列演算を伴う処理に適していることが見出されました 100。米国のNVIDIA(エヌビディア)社は、早くからAI分野でのGPU活用に注力し、現在この市場で圧倒的なシェアを占めています 97
  • 専用AIチップへの移行: GPUは汎用的な並列計算には強いものの、必ずしもAIの特定のアルゴリズム(特にニューラルネットワークの計算)に完全に最適化されているわけではありません。そのため、より電力効率よく、より高速にAI処理を実行するために、AIの計算方式に特化した専用の半導体チップ(AIアクセラレータ)の開発が活発に進められています 99。例えば、Googleが開発したTPU(Tensor Processing Unit)や、多くの企業が開発しているNPU(Neural Processing Unit)などがこれにあたります。これらの専用チップは、特定のAIタスクにおいてGPUを凌ぐ性能や電力効率を発揮することが期待されており、将来的にはAIワークロードの多くがGPUからこれらの専用チップへと移行していくと予測されています 100
  • 応用範囲と産業への影響: AI半導体は、クラウド上の大規模データセンターで巨大なAIモデルを学習・運用するためだけでなく、スマートフォン、パソコン、自動車、ロボット、スマート家電など、様々なデバイス上でAI機能を実現する「エッジAI」99 においても重要性が増しています。AI半導体の性能や電力効率が、AIサービスの応答速度、精度、そして利用可能なデバイスの範囲を大きく左右します。 AI半導体への需要の急増は、半導体産業全体にも大きな影響を与えています。高性能なAI半導体の製造には、最先端の微細化プロセス技術や、チップレットのような先進パッケージング技術が不可欠であり、これらの技術を持つ特定の企業(例えば、製造受託のTSMC 97 や、設計のNVIDIA)への依存度を高めています。また、AI半導体が経済安全保障上の戦略物資と見なされるようになり、米中間の技術覇権争いや、各国政府による自国での半導体生産能力強化の動き(工場誘致合戦など 97)を加速させる要因ともなっています 96

AI技術の進化と、それを支えるAI半導体の進化は、互いに強く影響し合いながら進んでいます。より複雑で高性能なAIモデル(例えば、より大規模な言語モデルや、より高度な画像認識モデル)が開発されると、それらを現実的な時間とコストで計算できる、より強力なAI半導体が必要になります 96。逆に、AI半導体の性能が向上し、より高速で電力効率の良い計算が可能になると、これまで計算量の制約から実用的でなかった新しいAIアルゴリズムの研究開発や実用化が進みます 99。このソフトウェア(AIアルゴリズム)とハードウェア(AI半導体)が相互に進化を加速させ合う「共進化」のサイクルが、現在のAIブームを強力に推進しており、この傾向は今後も続くと考えられます。

7. まとめ

本記事では、「今更聞けない」と感じている方々に向けて、半導体の基本的な概念からその応用、そして私たちの社会との関わりについて解説してきました。

まず、半導体が電気を通しやすい「導体」と通しにくい「絶縁体」の中間の性質を持ち、温度や不純物の添加(ドーピング)、電圧のかけ方といった条件によってその電気伝導性を巧みに「制御」できるユニークな物質であることを説明しました。特に、シリコン(Si)がその豊富な存在量、加工のしやすさ、安定した酸化膜形成能力といった優れた特性から、現代の半導体材料の主役となっている理由を見てきました。

次に、N型とP型という二種類の半導体を組み合わせた「PN接合」が、ダイオード(整流作用)やトランジスタ(増幅・スイッチング作用)といった基本的な半導体素子の動作原理の根幹をなしていることを解説しました。

そして、これらの半導体素子の発明と、それらを一つのチップ上に高密度に集積する技術(IC、LSI)の発展が、巨大な真空管コンピュータから、トランジスタコンピュータ、ICコンピュータ、そしてマイクロプロセッサ(Intel 4004)の登場へと繋がり、ムーアの法則に象徴される驚異的な小型化・高性能化・低価格化をもたらし、コンピュータ革命と現代の情報化社会を実現してきた歴史的な道のりをたどりました。DRAMやNANDフラッシュといった半導体メモリの進化も、このプロセスに不可欠でした。

さらに、半導体がシリコンウェーハからチップになるまでの製造プロセス(前工程と後工程)の概要、特に微細な回路パターンを形成するフォトリソグラフィ技術と、チップを保護し接続するパッケージング技術の重要性についても触れました。

最後に、半導体が家電製品から社会インフラまで、私たちの生活のあらゆる場面で活躍している現状を確認し、省エネルギー化の鍵を握るパワー半導体(SiC, GaN)、ムーアの法則の先を見据えたチップレット技術、そしてAI時代を支えるAI半導体といった、注目される最新の技術動向についてもご紹介しました。

半導体は、その電気の流れを自在に制御できるという根源的な性質によって、情報を処理し、記憶し、伝達するための基盤技術となりました。その技術は、物理的な限界という課題に直面しながらも、新しい材料、新しい構造、新しい設計思想によって、今なお進化を続けています。AI、IoT、自動運転、再生可能エネルギー、次世代通信といった、これからの社会を形作るであろう様々な技術革新の中心には、間違いなく半導体が存在します。その役割は、今後ますます重要になっていくことでしょう。

この記事が、奥深く、そして私たちの未来に不可欠な半導体の世界を理解するための一助となれば幸いです。

参考文献・資料 (一部)

(本記事を作成するにあたり、以下のウェブサイトや資料、および記事中で引用した文献・資料を参考にしました。)

  • 半導体の基本原理・定義:
  • 東京エレクトロン nanotec museum (5)
  • 株式会社エクシール ブログ (7)
  • 日立ハイテク 半導体を知る (9)
  • 在庫管理システム「在庫速報.jp」コンテンツ (10)
  • 電気設備の知識と技術 (11)
  • RS Components JP (17)
  • SUMCO よくあるご質問 (16)
  • Semicon Hub (19)
  • 株式会社アグス メディア (18)
  • Wikipedia (不純物半導体 32)
  • オリックス・レンテック Rentec Insight (29)
  • Semiジャーナル (27)
  • 東芝デバイス&ストレージ株式会社 e-learning (37)
  • ファクトリー・キャンプ (34)
  • イプロスマーケティング ものづくり向け BtoB マーケティング (33)
  • 松定プレシジョン コラム (40)
  • 電気技術者試験センター (36)
  • 在庫管理システム「在庫速報.jp」コンテンツ (41)
  • Braveridgeブログ (43)
  • ルネサス エレクトロニクス エンジニアスクール (38)
  • 山形大学 広瀬研究室 資料 (39)
  • Electronics Tutorials (6)
  • Tutorials Point (Basic Electronics 12, Semiconductor Devices 14)
  • Martin Currie Insights (13)
  • CircuitBread Tutorials (30)
  • All About Circuits (YouTube) (31)
  • RS Components UK (15)
  • 半導体とコンピュータの歴史:
  • 株式会社YSK マガジン (44)
  • クラスター株式会社 技術ブログ (52)
  • Vintage Sound ブログ (54)
  • Zenn (45)
  • Wikipedia (トランジスタ・コンピュータ 53, ベル研究所 47, ジャック・キルビー 58, ロバート・ノイス 61, Intel 4004 67)
  • 野村證券 証券用語解説集 (22)
  • OneMarketing メディア (25)
  • 株式会社識学 マネジメント・組織論ブログ (26)
  • Semicon Blog (23)
  • 株式会社シナプス マーケティング用語集 (24)
  • 東京エレクトロン nanotec museum (46)
  • JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会 (42)
  • note (yaandyu0423 69, omoi0kane 56)
  • CCTech Blog (55)
  • PC Watch (笠原一輝 102, 福田昭 60)
  • GIGAZINE (73)
  • キオクシア株式会社 研究開発 (74)
  • Micron Technology Blog (70)
  • 株式会社アドテック 技術情報 (71)
  • 半導体歴史館 (50)
  • ソニー株式会社 Sony History (48)
  • 武井のページ (49)
  • セミコンポータル 服部毅のエンジニア論壇 (51)
  • 佐野正博のホームページ (57)
  • 牧本資料室 (59)
  • 4Gamer.net (64)
  • 半導体製造プロセス:
  • 一般社団法人 日本半導体製造装置協会 (SEAJ) (75)
  • デクセリアルズ株式会社 Tech Times (103)
  • SEMIジャパン (77)
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引用文献

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  90. 次世代パワー半導体「GaN」とは?特性、応用分野、SiCとの違いを徹底解説, 5月 4, 2025にアクセス、 https://agus.co.jp/?p=8021
  91. 次世代パワー半導体とは?SiCとGaNが台頭、高耐電圧・低損失の理由も解説, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.sbbit.jp/article/st/140404
  92. SiC・GaN パワー半導体の 技術動向と応用展開, 5月 4, 2025にアクセス、 https://pubdata.nikkan.co.jp/uploads/magazine_introduce/pdf_61e4d52d8641f-1.pdf
  93. チップレット – 用語集 – D2C・DXファマ, 5月 4, 2025にアクセス、 https://fama.startrise.jp/glossary/chiplet
  94. チップレットのメリットとデメリットにはどんなものがある?それぞれ詳しく解説, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.pwsj.co.jp/blog/17
  95. 【大原雄介の半導体業界こぼれ話】「チップレット」技術における、コストと価値の関係 – PC Watch, 5月 4, 2025にアクセス、 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/tidbit/1666287.html
  96. 半導体にAIを活用していく、変わる半導体製造技術 – オルテディア, 5月 4, 2025にアクセス、 https://orutedia.com/ai-ceramic/
  97. グローバルAI半導体企業の動向 – 城西国際大学, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.jiu.ac.jp/files/user/books/pdf/%E3%80%90%E7%B5%8C%E5%96%B6%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%AD%A6%E9%83%A8%EF%BC%94%E3%80%91%E5%90%89%E5%B2%A1%E7%BE%8E%E6%84%9B_2024%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%B4%80%E8%A6%81.pdf
  98. AI半導体とは?AI処理の進化を支える技術と激化する市場, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.exposure-equipment.com/news/ai-sc.html
  99. AI半導体市場の現状と将来性:急成長の理由と主要技術(前編)_MIC BLOG – note, 5月 4, 2025にアクセス、 https://note.com/mic_official/n/nebf6fab3645a
  100. 半導体業界の 最新動向 – GLG, 5月 4, 2025にアクセス、 https://assets.glginsights.com/wp-content/uploads/2024/09/GLG-Semiconductor-eBook-JP.pdf
  101. FinFETからGAAそしてCFETへ、最先端半導体のトランジスタ技術の進化 | サイエンス リポート | TELESCOPE magazine | 東京エレクトロン, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.tel.co.jp/museum/magazine/report/202407_02/
  102. この10年のIntel CPU進化の歴史をベンチマークとともに振り返る – PC Watch, 5月 4, 2025にアクセス、 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1262523.html
  103. 光半導体の製造 その工程と品質管理 – TECH TIMES – デクセリアルズ, 5月 4, 2025にアクセス、 https://techtimes.dexerials.jp/photonics/semiconductor_process/
  104. 【特別講座】Society5.0時代に必須とされる半導体製造の基礎~社会人として学び直しの第一歩~ | 一般社団法人 東京電機大学校友会, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.tduaa.or.jp/support/alumni_special-lecture202503/
  105. 半導体超加工・集積化技術研究所 – 大阪公立大学, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.omu.ac.jp/orp/org/crc/semicon_tech/
  106. 公開講座「半導体基礎講座」|宮崎大学 学び・学生支援機構 共創人材育成部門, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.miyazaki-u.ac.jp/manabi/drhrd/extension/2023-2/semiconductor.html
  107. <新規> 半導体基礎講座・デバイス試作実習 – カーロボAI連携大学院, 5月 4, 2025にアクセス、 https://jgs.kyutech.ac.jp/course/syllabus/training/entry-2469.html
  108. 半導体を基礎から学べる社会人のための半導体基礎講座 – YouTube, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=HbZUGIXDWW8
  109. 2024年秋季半導体基礎講座 オンライン・通信講座 ハイブリッドセミナー, 5月 4, 2025にアクセス、 https://global-net.co.jp/archives/9963
  110. 【半導体を勉強するためのおすすめ本】半導体入門・デバイス・プロセス・歴史, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.semiconductor-industry.com/recommended-books/
  111. 増補版 はじめての半導体デバイス – 近代科学社, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.kindaikagaku.co.jp/book_list/detail/9784764906440/
  112. 教養としての「半導体」 – 日本実業出版社, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.njg.co.jp/book/9784534060976/
  113. 半導体戦争―世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防 – 紀伊國屋書店, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784478115466
  114. 書籍検索 – 検索結果|森北出版株式会社, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.morikita.co.jp/books/genre/808
  115. 電子デバイス工学(第2版・新装版)|森北出版株式会社, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.morikita.co.jp/books/mid/070563
  116. 半導体工学 (電気・電子系教科書シリーズ 10) | 渡辺 英夫 |本 | 通販 | Amazon, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.amazon.co.jp/%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93%E5%B7%A5%E5%AD%A6-%E9%9B%BB%E6%B0%97%E3%83%BB%E9%9B%BB%E5%AD%90%E7%B3%BB%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E8%8B%B1%E5%A4%AB/dp/4339011908
  117. 電気・電子系 教科書シリーズ 10 半導体工学 – コロナ社, 5月 4, 2025にアクセス、 https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339011906/
  118. おすすめの半導体教科書 – 海外で研究者や大学教授になる方法, 5月 4, 2025にアクセス、 http://life-of-regret.blogspot.com/2016/02/blog-post.html
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