Docker導入方法を一挙解説!Mac・Windows対応、初学者向け完全ガイド【2025年最新版】

目次

はじめに (Introduction)

Dockerへようこそ!本記事の目的と対象読者 (Welcome to Docker! Purpose and Target Audience of this Article)

本記事は、Dockerを初めて学ぶ方々を対象に、Dockerの基礎から導入、基本的な使い方、さらには最新動向や将来展望までを網羅的に解説することを目的としています。開発者、インフラエンジニア、学生など、Dockerに興味を持つすべての方に役立つ情報を提供します。このガイドを通じて、Dockerの強力な機能を理解し、実際の開発や運用に活かすための一歩を踏み出しましょう。

Dockerとは何か?なぜ今、注目されているのか? (What is Docker? Why is it Gaining Attention Now?)

Dockerは、アプリケーションを「コンテナ」と呼ばれる軽量な環境にパッケージ化し、どんな環境でも迅速かつ確実に実行できるようにするプラットフォームです 1。開発環境と本番環境の差異を最小限に抑え、「自分のマシンでは動いたのに、サーバー上では動かない…」といった典型的な問題を解決するのに役立ちます。

近年、マイクロサービスアーキテクチャの普及や、迅速なアプリケーション開発・デプロイ(CI/CD)のニーズの高まりとともに、Dockerの重要性はますます増しています 3。Dockerを利用することで、開発者はアプリケーションとその依存関係をコンテナにまとめ、開発、テスト、本番環境へと一貫した形で展開できます。実際に、Dockerユーザーは平均して非Dockerユーザーよりも7倍も頻繁にソフトウェアをシップ(リリース)しているというデータもあります 3

Dockerの普及は、単に技術的な効率性(軽量な仮想化)によるものだけではありません。それは、DevOps文化やアジャイル開発手法の広範な採用と深く結びついています。Dockerが実現する分離されたサービスの迅速なビルド、テスト、デプロイ能力 3 は、現代のソフトウェア開発における中核的な要素である継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI/CD)の原則を直接的にサポートします。これらの開発手法は、開発サイクルの短縮とデプロイ頻度の向上を目指すものであり、Dockerの登場は技術的な変革だけでなく、より速く、より反復的なプロセスへと向かうソフトウェア開発における文化的シフトを反映していると言えます。したがって、Dockerを学ぶことは、これらの現代的な開発パラダイムを理解することにも繋がります。現代のクラウドネイティブな開発プラクティスや原則を理解する上でも、Dockerの知識は入り口となるでしょう。

この記事を読むことで得られること (What You Will Gain from Reading This Article)

この記事を読み進めることで、読者は以下の知識やスキルを習得できます。

  • Dockerの基本的な仕組みと、それがもたらすメリット・デメリットの深い理解。
  • macOSおよびWindowsオペレーティングシステムへのDocker Desktopの具体的なインストール手順の習得。
  • Dockerイメージの検索、取得、そしてコンテナの起動・管理といった、Dockerの基本的な操作方法のマスター。
  • Dockerエコシステムの最新トレンドや、コンテナ技術が今後どのように進化していくかについての洞察。

第1章: Dockerの基礎を学ぼう (Let’s Learn the Basics of Docker)

1.1. Dockerとは?~コンテナ技術をわかりやすく解説~ (What is Docker? A Clear Explanation of Container Technology)

Dockerは、「コンテナ型仮想化」という技術を利用して、アプリケーションを実行環境ごとパッケージ化し、それを配布・実行するためのオープンソースプラットフォームです 1。ここで言う「コンテナ」とは、アプリケーションとその実行に必要なライブラリ、設定ファイルなどを一つにまとめたもので、いわば軽量な仮想環境です。

コンテナ技術は、OSレベルの仮想化であり、ホストOS(Dockerが動作しているコンピュータのOS)のカーネルを複数のコンテナで共有します。これにより、従来の仮想マシン(VM)が各々独立したゲストOSを持つ必要があるのに対し、コンテナはゲストOSを持つ必要がなく、その分だけ軽量かつ高速に動作します 1。この特性により、1台の物理サーバーや開発マシン上で、より多くのアプリケーションを効率的に、かつ互いに影響を与えることなく動かすことが可能になります 1。Dockerは、Docker社によって開発が進められており、アプリケーションのビルド、テスト、そして本番環境へのデプロイといった一連のプロセスを迅速に行うことを強力に支援します 1

1.2. Dockerと従来の仮想マシン(VM)との違い (Differences Between Docker and Traditional Virtual Machines (VMs))

Dockerコンテナと従来の仮想マシン(VM)は、どちらもアプリケーションを実行するための隔離された環境を提供しますが、その仕組みと特性には大きな違いがあります。

  • ゲストOSの有無: 最大の違いはゲストOSの存在です。VMは、ハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウェアの上で、各々が独立したゲストOS(WindowsやLinuxなど)を起動します。一方、DockerコンテナはホストOSのカーネルを共有するため、コンテナ内にゲストOSを持つ必要がありません 1
  • リソース消費: ゲストOSが不要な分、Dockerコンテナはメモリ、CPU、ディスク容量といったシステムリソースの消費がVMに比べて格段に少なくなります 4。これにより、同じハードウェア上でもより多くのコンテナを稼働させることが可能です。
  • 起動時間: Dockerコンテナは、OSの起動プロセスを伴わないため、数秒という非常に短い時間で起動できます。対照的に、VMはゲストOSを完全に起動する必要があるため、起動までに数分程度の時間を要することが一般的です 4
  • 分離レベルとセキュリティ: VMは、ゲストOSを含めてハードウェアレベルで環境を仮想化するため、各VM間は強力に分離されています。これにより、あるVMで発生した問題が他のVMに影響を与えにくく、セキュリティの観点からは堅牢です 6。一方、DockerコンテナはホストOSのカーネルを共有するため、プロセスレベルでの分離となります。このため、VMほどの強力な分離は提供されず、カーネルの脆弱性がコンテナに影響を及ぼす可能性が理論上は存在します 7。ただし、コンテナ同士は互いに隔離されており、Docker自体もセキュリティ機能の強化を継続的に行っています。
  • ポータビリティ: Dockerコンテナは、ライブラリや依存関係をすべて含んでパッケージ化されるため、環境による差異が少なく、開発マシンからテスト環境、本番環境へと容易に移行できます 6。VMもポータビリティはありますが、イメージサイズが大きくなりがちです。
  • メンテナンス工数: VMはゲストOSごとにパッチ適用やアップデートが必要ですが、コンテナはホストOSのメンテナンスが中心となり、アプリケーションレイヤーの管理に集中できます 5

これらの違いを理解するために、以下の比較表を参照してください。

Key Table 1: Dockerコンテナと仮想マシンの比較 (Comparison of Docker Containers and Virtual Machines)

特徴 (Feature)Dockerコンテナ (Docker Container)仮想マシン (Virtual Machine)
ゲストOSの起動 (Guest OS Boot)不要 (ホストOSのカーネルを共有) 5必要 (各VMが独立したゲストOSを起動) 5
使用容量 (Resource Usage)小さい (アプリケーションと必要最低限のライブラリのみ) 5大きい (ゲストOS全体の容量を含む) 5
起動速度 (Startup Speed)速い (数秒) 4遅い (数分かかる場合あり) 4
分離レベル (Isolation Level)プロセスレベル (カーネル共有のためVMより低い) 6OSレベル (強力な分離) 6
セキュリティ (Security)VMより注意が必要な側面あり (カーネル共有) 7高い (OSレベルでの分離) 6
ポータビリティ (Portability)高い (環境依存性が低い) 6やや低い (イメージサイズが大きい)
メンテナンス工数 (Maintenance Effort)小さい (ホストOS中心) 5大きい (ゲストOSごとのメンテナンスが必要) 5

DockerとVMの選択は、常にどちらか一方というわけではなく、多くの場合、特定のユースケースやセキュリティ要件に依存します。Dockerはアプリケーションのデプロイにおける速度と効率性を提供しますが、異なるOSカーネルが必要な場合や、より高度なセキュリティ境界が求められるシナリオでは、VMが依然として適切な選択肢となります。例えば、ホストOSとは異なるOSでアプリケーションを実行する必要がある場合や、非常に機密性の高い、信頼できないワークロードを扱う場合には、VMが好まれたり、DockerをVM内で実行する(例えば、セキュリティ強化のため)といった使い方がされたりします。これは、Dockerが革新的である一方で、VMを完全に時代遅れにするものではなく、むしろ仮想化ランドスケープにおいて異なる、時には補完的な役割を果たすことを意味しています。

1.3. Dockerを支える主要コンポーネント (Key Components Supporting Docker)

Dockerの仕組みを深く理解し、効果的に活用するためには、いくつかの主要な構成要素の役割とそれらの間の関係性を把握することが不可欠です。これらのコンポーネントが連携することで、Dockerの強力な機能が実現されています。

1.3.1. Dockerイメージ (Docker Image)

Dockerイメージとは、コンテナを起動するために必要な全ての情報を含む、読み取り専用のテンプレートです 10。具体的には、アプリケーションのコード、ランタイム環境、ライブラリ、環境変数、実行に必要なコマンドなどがパッケージ化されています。よく「コンテナの設計図」やオブジェクト指向プログラミングにおける「クラス」に例えられます 12

イメージは複数のレイヤーから構成されており、各レイヤーはDockerfile内の命令に対応しています。変更があった場合は、その差分だけが新しいレイヤーとして追加されるため、効率的なストレージ管理と高速なビルドが可能です 11

1.3.2. Dockerコンテナ (Docker Container)

Dockerコンテナは、Dockerイメージを元に作成され、実際にアプリケーションが動作する実行環境そのものです 1。イメージが静的なテンプレート(クラス)であるのに対し、コンテナはそのイメージの実行可能なインスタンスと考えることができます 12。コンテナが起動されると、イメージの読み取り専用レイヤーの上に、書き込み可能なレイヤーが追加され、アプリケーションの実行中に生じる変更(ファイルの作成や変更など)はこのレイヤーに保存されます。

コンテナは軽量でポータブルであり、ホストシステムや他のコンテナから隔離された状態でプロセスを実行します 10

1.3.3. Dockerfile (Dockerfile)

Dockerfileは、Dockerイメージを自動的に作成するための手順を記述したテキストファイルです 4。このファイルには、ベースとなるイメージの指定(FROM命令)、必要なソフトウェアのインストール(RUN命令)、アプリケーションコードのコピー(COPYまたはADD命令)、環境変数の設定(ENV命令)、コンテナ起動時に実行されるコマンドの指定(CMDまたはENTRYPOINT命令)など、イメージを構築するための一連の指示が記述されます 11

Dockerfileを使用することで、イメージ作成プロセスをコード化し、再現性と自動化を高めることができます。これは、インフラストラクチャの構成をコードで管理する「Infrastructure as Code (IaC)」の考え方を反映しています 1

1.3.4. Docker Hub (Docker Registry)

Docker Hubは、Dockerイメージを保存し、共有するためのクラウドベースの公式レジストリサービスです 10。開発者は、自身で作成したDockerイメージをDocker Hubにアップロード(プッシュ)して公開したり、他の開発者や組織とプライベートに共有したりできます。また、Docker Hubには、OS(Ubuntu、Alpineなど)、プログラミング言語のランタイム(Python、Node.jsなど)、データベース(MySQL、PostgreSQLなど)といった、多くの公式イメージやコミュニティによって作成されたイメージが豊富に用意されており、これらをダウンロード(プル)してすぐに利用することができます 14

GitHubがソースコードのバージョン管理と共有のためのリポジトリであるように、Docker HubはDockerイメージのためのリポジトリとして機能します 13。企業やチームでの利用を想定したプライベートリポジトリ機能も提供されており、アクセス制御を行いながら安全にイメージを管理できます 16

これらのDockerfile、Dockerイメージ、Dockerコンテナ、そしてDocker Hubの関係は、Dockerの核となるワークフローを形成しています。開発者はまずDockerfileにイメージの構築手順を記述します 11。次に、docker buildコマンドがこのDockerfileを処理し、静的な階層構造を持つDockerイメージを作成します。そして、docker runコマンドがこのDockerイメージを元に、実際にアプリケーションが動作するDockerコンテナ(ライブインスタンス)を起動します 10。作成したカスタムDockerイメージは、docker pushコマンドでDocker Hubのようなレジストリにアップロードして共有したり、逆にdocker pullコマンドでDocker Hubから既存のイメージを取得して利用したりすることができます 14。この一連の流れと各コンポーネントの役割を理解することが、Dockerを効果的に使いこなすための鍵となります。Dockerfileの変更はイメージに影響し、そのイメージから実行されるコンテナにも影響が及びます。また、Docker Hubで利用可能なイメージの豊富さは、既製のコンポーネントを提供することで開発を大幅に加速させます。

1.4. Docker導入のメリットとデメリット (Advantages and Disadvantages of Introducing Docker)

Dockerの導入は多くの利点をもたらしますが、一方で考慮すべき点も存在します。

メリット (Advantages):

  • 環境構築の容易さと迅速性: 開発環境のセットアップが劇的に簡単になり、数コマンドで必要な環境を再現できます。これにより、新しい開発者がプロジェクトに参加する際のオンボーディング時間が短縮され、チームメンバー間で完全に同じ開発環境を共有することが容易になります 7。結果として、「私のマシンでは動くのに、あなたのマシンでは動かない」といった環境差異に起因する問題が大幅に削減されます。
  • 軽量性と高速性: 従来の仮想マシン(VM)と比較して、DockerコンテナはゲストOSを持たないため、起動が非常に速く(数秒レベル)、メモリやディスク容量の消費も大幅に少ないです 4。これにより、開発者はリソースの制約をあまり気にすることなく、多くのサービスを同時に動かしたり、迅速なイテレーションを行ったりできます。
  • ポータビリティ: 「一度ビルドすれば、どこでも実行できる(Build once, run anywhere)」という思想を実現します。Dockerイメージとしてパッケージ化されたアプリケーションは、開発者のローカルマシン、テストサーバー、本番のクラウド環境など、Dockerが動作する場所であればどこでも同じように動作します 3
  • リソース効率の向上とコスト削減: 軽量であるため、1台の物理サーバーやVM上でより多くのコンテナを稼働させることができます 1。これにより、サーバーリソースを最大限に活用でき、インフラコストの削減につながる可能性があります 3
  • バージョン管理と再現性: Dockerイメージはバージョン管理が可能で、特定のバージョンのアプリケーション環境を正確に再現できます 8。これにより、バグの特定やロールバックが容易になります。
  • 活発なエコシステムとコミュニティ: Docker Hubには膨大な数の公式イメージやコミュニティイメージが公開されており、これらを活用することで開発を加速できます 3。また、広範なドキュメント、チュートリアル、フォーラムが存在し、学習や問題解決の助けとなります。

デメリット (Disadvantages):

  • 学習コスト: Dockerには、イメージ、コンテナ、Dockerfile、ボリューム、ネットワークといった独自の概念や多数のコマンドが存在します。これらを理解し、効果的に使いこなすためには、ある程度の学習時間と実践が必要です 7。特にDockerfileの作成や、複雑なアプリケーション構成の管理には知識と経験が求められます。
  • OS依存性: DockerコンテナはホストOSのカーネルを共有するという特性上、LinuxコンテナはLinuxカーネル上で、WindowsコンテナはWindowsカーネル上でしかネイティブには動作しません 7。例えば、Windows上でLinuxコンテナを実行するには、WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)のような仕組みでLinuxカーネル環境を用意する必要があります。これは、Dockerの軽量性と高速性を実現するための根本的な設計に起因するトレードオフです。この「デメリット」は、Dockerの核心的なアーキテクチャ(ホストカーネルの共有)の直接的な結果であり、欠陥というよりは設計上の選択とその影響を理解することが重要です。この点を把握することで、なぜWindows版のDocker DesktopがWSL2を利用してLinuxカーネルを提供するのか、その必要性が明確になります。
  • セキュリティ: VMが提供するOSレベルの完全な分離と比較すると、コンテナはカーネルを共有するため、分離レベルは相対的に低くなります。ホストOSのカーネルに脆弱性があった場合、それがコンテナに影響を及ぼすリスクが考えられます 8。ただし、Docker自体もrootlessモードのサポート、Docker Scoutによる脆弱性スキャン、Hardened Imagesの提供など、セキュリティ機能の強化を継続的に進めています。
  • 永続データの管理: コンテナは基本的にステートレス(状態を持たない)なものとして設計されています。コンテナを削除すると、コンテナ内の書き込み可能レイヤーに加えられた変更は失われます。データベースのようなステートフルなアプリケーションでデータを永続化するためには、Dockerボリュームやバインドマウントといった仕組みを理解し、適切に利用する必要があります。
  • GUIの不足 (CLI中心): Dockerの基本操作はコマンドラインインターフェース(CLI)が中心となります 8。GUIに慣れているユーザーにとっては、最初は敷居が高く感じられるかもしれません。ただし、Docker Desktopは直感的なGUIを提供しており、コンテナやイメージの管理、設定変更などを容易に行えるようになっています。

これらのメリットとデメリットをまとめた表を以下に示します。

Key Table 2: Dockerのメリット・デメリット一覧 (List of Docker’s Pros and Cons)

項目 (Item)メリット (Advantage)デメリット (Disadvantage)
環境構築 (Environment Setup)容易かつ迅速、環境共有が簡単 7Docker独自の概念・コマンドの学習が必要 7
パフォーマンス (Performance)軽量で起動が高速、リソース消費が少ない 4ネイティブ実行に比べわずかなオーバーヘッドの可能性
ポータビリティ (Portability)開発から本番まで一貫した動作 3ホストOSカーネルへの依存 (LinuxコンテナはLinuxカーネル上で動作) 7
リソース効率 (Resource Efficiency)1サーバーで多アプリケーション実行可能、コスト削減 1
学習コスト (Learning Curve)Dockerfile作成や複雑な構成の管理に知識が必要 20
OS互換性 (OS Compatibility)Linux、Windows、macOSで利用可能 (Docker Desktop経由)異なるOSカーネルが必要なアプリは単一ホストで実行不可 8
セキュリティ (Security)コンテナ間の分離、エコシステムによるセキュリティツール (Scout等)VMほどの強力な分離は提供されず、カーネル共有のリスク 6
データ管理 (Data Management)ボリューム等で永続化可能コンテナは基本的にステートレス、永続化の仕組み理解が必要
操作性 (Usability)Docker DesktopによるGUIサポート基本操作はCLI中心 8

Dockerを導入する際には、これらの利点と考慮点を総合的に評価し、自身のプロジェクトやチームのニーズに合致するかどうかを判断することが重要です。

第2章: Dockerインストール前の準備 (Preparations Before Installing Docker)

Docker Desktopをインストールして快適に利用を開始するためには、いくつかの事前の準備と確認が必要です。お使いのオペレーティングシステム(OS)がシステム要件を満たしているか、Docker Desktopとは何か、そしてライセンス体系について理解しておくことが重要です。

2.1. お使いのOSでのシステム要件を確認 (Checking System Requirements for Your OS)

Docker Desktopをスムーズに動作させるためには、お使いのコンピュータが以下のシステム要件を満たしているかを確認してください。

2.1.1. macOSの場合 (For macOS)

  • OSバージョン: Docker Desktopは、macOSの現行メジャーリリースと、その2つ前までのメジャーリリースをサポートします 21。具体的なバージョンとしては、例えばmacOS Monterey (バージョン12) 以降が目安となります 23
  • RAM (メモリ): 最低でも4GBのRAMが必要ですが、より快適なパフォーマンスのためには8GB以上が推奨されます 21
  • ディスク空き容量: Docker Desktopのインストール自体と、コンテナイメージやコンテナが使用する領域として、最低4GBの空き容量が必要です 23
  • Intel Macの場合: 2010年以降に製造されたモデルで、Intelのメモリ管理ユニット(MMU)仮想化(Extended Page Tables (EPT) および Unrestricted Mode を含む)をハードウェアがサポートしている必要があります 22。このサポート状況は、ターミナルで sysctl kern.hv_support コマンドを実行し、kern.hv_support: 1 と表示されることで確認できます 22
  • Apple Silicon Mac (M1/M2/M3チップ搭載Mac) の場合: Rosetta 2のインストールが推奨されます 21。Rosetta 2は、Intelチップ向けにビルドされたアプリケーションをApple Silicon搭載Macで実行するための変換レイヤーです。Docker Desktop自体はApple Siliconにネイティブ対応していますが、一部のx86-64アーキテクチャベースのDockerイメージや関連ツールを実行する際に、Rosetta 2が必要となることがあります。必須ではありませんが、最高の体験を得るためにはインストールしておくと良いでしょう 24

2.1.2. Windowsの場合 (WSL 2とHyper-V) (For Windows – WSL 2 and Hyper-V)

  • OSバージョン: Windows 10の64-bit版(Pro, Enterprise, Educationエディションの場合はバージョン22H2、ビルド19045以降。Homeエディションの場合もバージョン22H2、ビルド19045以降)またはWindows 11の64-bit版(Home, Pro, Enterprise, Educationエディションの場合はバージョン22H2以降)が必要です 25。重要な点として、DockerはMicrosoftが公式にサポートを提供しているサービス期間内のWindowsバージョンのみをサポート対象としています 25。Windows Serverエディション(例: Windows Server 2019, 2022)はDocker Desktopのサポート対象外です 25
  • RAM (メモリ): 最低4GBのRAMが必要です 25
  • プロセッサ: Second Level Address Translation (SLAT) をサポートする64-bitプロセッサが必要です 25
  • BIOS/UEFI設定: ハードウェア仮想化支援機能(Intel VT-xやAMD-Vなど)がBIOS/UEFIレベルで有効になっていることが必須です 26
  • WSL 2バックエンド利用時:
  • Windows Subsystem for Linux 2 (WSL 2) のバージョン1.1.3.0以降が必要です 25
  • WSL 2機能をWindows上で有効にする必要があります 25
  • Hyper-Vバックエンド利用時 (Windows Pro/Enterprise/Educationエディションのみ):
  • Hyper-VおよびContainersのWindows機能が有効になっている必要があります 25

2.2. Docker Desktopとは? (What is Docker Desktop?)

Docker Desktopは、macOSおよびWindowsオペレーティングシステム上で、Dockerコンテナのビルド、実行、管理を簡単に行うためのアプリケーションです 4。Dockerの強力な機能を、より直感的で使いやすい形で提供することを目的としています。

Docker Desktopには、以下の主要なコンポーネントが含まれています 22:

  • Docker Engine: コンテナを作成し実行するコアランタイム。
  • Docker CLI client: コマンドラインからDockerを操作するためのクライアントツール。
  • Docker Compose: 複数のコンテナで構成されるアプリケーションを定義し、実行するためのツール。
  • Kubernetes (オプション): ローカルでKubernetesクラスタを実行し、コンテナオーケストレーションを試すための機能。
  • Credential Helper: Docker Hubなどのレジストリへの認証情報を安全に管理するためのヘルパー。

Docker Desktopはグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を提供しており、コマンドライン操作に不慣れなユーザーでも、イメージの検索、コンテナの起動・停止、ボリュームやネットワークの管理などを視覚的に行うことができます。これにより、Dockerの学習や導入のハードルを下げ、より多くの開発者がコンテナ技術の恩恵を受けられるようにしています。

2.3. Dockerのライセンスとサブスクリプション (Docker Licensing and Subscriptions)

Docker Desktopの利用にあたっては、ライセンス体系を理解しておくことが重要です。

Docker Desktopは、以下の条件に該当する場合には無料で利用できます 21:

  • 小規模企業: 従業員数が250人未満 かつ 年間収益が1000万米ドル未満の企業。
  • 個人利用: 個人の学習や開発目的での利用。
  • 教育: 教育機関や学生による教育目的での利用。
  • 非営利のオープンソースプロジェクト: 公開されている非営利のオープンソースプロジェクトでの利用。

上記以外の、従業員数250人以上または年間収益1000万米ドル以上の大規模企業や、政府機関が商用目的でDocker Desktopを利用する場合には、有料のサブスクリプション(Docker Pro, Docker Team, Docker Businessなど)が必要となります 21

これらの有料プランでは、無料プランに比べて以下のような追加機能や特典が提供されます 28:

  • Docker Hubからのイメージプル(ダウンロード)レート制限の緩和または撤廃。
  • より多くのプライベートリポジトリの利用枠。
  • Docker Build Cloud(クラウドベースの高速ビルドサービス)の利用枠。
  • Docker Scout(脆弱性スキャン・分析ツール)の高度な機能。
  • チーム管理機能やセキュリティ機能の強化(Docker Businessの場合)。

Dockerは、個人開発者から大企業まで、さまざまなユーザーグループに対応するために、提供するサービスを段階的に分けています。これは、Docker製品の成熟と、特に企業環境における広範な採用を収益化し、プラットフォームの継続的な開発とサポートを確保するための戦略を反映しています。異なるティア(Personal, Pro, Team, Business)は、イメージのプルレート、ビルド時間、高度なセキュリティ・管理ツールなど、機能、サポート、リソースクォータのレベルが異なります 28。この階層的なアプローチにより、Dockerは多様なニーズに応えつつ、商用利用から収益を得ることが可能になっています。これはまた、特にビジネスユーザーにとっては、自社の要件と予算に合ったプランを慎重に評価する必要があることを意味します。

利用を開始する前に、自身の利用形態が無料ライセンスの範囲内であるか、または適切な有料サブスクリプションが必要であるかを確認してください。

第3章: 【OS別】Docker Desktopインストール完全ガイド (Complete Docker Desktop Installation Guide by OS)

この章では、macOSとWindowsのそれぞれについて、Docker Desktopの具体的なインストール手順を詳しく解説します。お使いのOSに合わせて、手順に従ってインストールを進めてください。

3.1. macOSへのDocker Desktopインストール手順 (Docker Desktop Installation Steps for macOS)

3.1.1. インストーラーのダウンロードと実行 (Downloading and Running the Installer)

  1. インストーラーのダウンロード: まず、Dockerの公式サイト(https://www.docker.com/products/docker-desktop/)にアクセスし、お使いのMacに合ったDocker Desktop for Macのインストーラー(.dmgファイル)をダウンロードします 23。Intelチップ搭載Mac用とApple Silicon搭載Mac用の2種類があるので、間違えないように選択してください。
  2. インストール: ダウンロードしたDocker.dmgファイルをダブルクリックして開きます。インストーラーウィンドウが表示されたら、Dockerのアイコンを「Applications」フォルダにドラッグアンドドロップします 23。これにより、Docker Desktopが /Applications/Docker.app にインストールされます 21
  3. Docker Desktopの起動: 「Applications」フォルダ内にある Docker.app をダブルクリックして起動します 23
  4. 利用規約への同意: 初回起動時には、Docker Subscription Service Agreement(利用規約)が表示されます。内容を確認し、「Accept」をクリックして同意します 21。規約に同意しない場合、Docker Desktopは実行できません。
  5. 設定の選択: インストールウィンドウで、推奨設定を使用するか、詳細設定を行うかを選択するよう求められる場合があります 21。通常は推奨設定で問題ありませんが、必要に応じて詳細設定を選択し、Docker CLIツールのインストール場所などをカスタマイズできます。
  6. 特権ヘルパーのインストール: Docker Desktopが正常に機能するためには、いくつかのシステムコンポーネントをインストールする必要があります。この際に、Macの管理者パスワードの入力が求められることがありますので、指示に従って入力してください 30

3.1.2. Apple Silicon (M1/M2/M3)搭載Macでの注意点:Rosetta 2の役割と設定 (Notes for Apple Silicon Macs: Role and Setup of Rosetta 2)

Apple Silicon (M1, M2, M3など) を搭載したMacでDocker Desktopを利用する際には、Rosetta 2の存在が重要になる場合があります。

  • Rosetta 2とは: Rosetta 2は、Apple Silicon搭載Mac上で、Intel (x86-64) プロセッサ向けにビルドされたアプリケーションやバイナリを実行するための翻訳レイヤーです 31
  • Docker DesktopとRosetta 2: Docker Desktop自体はApple Siliconにネイティブ対応していますが、世の中にはまだ多くのx86-64アーキテクチャベースのDockerイメージが存在します。これらのイメージを実行する際や、一部のx86-64ベースのコマンドラインツールを利用する際に、Rosetta 2がバックグラウンドで動作し、互換性を提供します 21
  • Rosetta 2のインストール: 通常、Rosetta 2が必要なアプリケーションを初めて起動しようとすると、macOSが自動的にRosetta 2のインストールを促すプロンプトを表示します 31。指示に従ってインストールしてください。もし手動でインストールしたい場合は、ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します 21:
    Bash
    softwareupdate –install-rosetta
  • Rosetta for Linux (GA): Docker Desktopバージョン4.25以降では、「Rosetta for Linux」という機能が一般提供(GA)されています 24。これは、Apple Silicon搭載Mac上で、Linux向けのx86-64 (Intel) バイナリをほぼネイティブに近いパフォーマンスで実行できるようにするものです。この機能は、特にx86-64アーキテクチャでビルドされたLinuxコンテナイメージを実行する際の性能を大幅に向上させます。Docker Desktopの「Settings」 > 「General」メニューから有効化できます。macOS 13.0 (Ventura) 以降が必要で、macOS 14.1 (Sonoma) 以降ではデフォルトで有効になっています 24

3.1.3. インストール後の動作確認 (Post-installation Verification)

Docker Desktopのインストールが完了したら、正しく動作するかを確認しましょう。

  1. Dockerバージョンの確認: ターミナルアプリケーションを開き、以下のコマンドを入力して実行します。
    Bash
    docker –version
    Dockerのバージョン情報(例: Docker version 25.0.3, build 4debfcb)が表示されれば、Docker CLIが正しくインストールされています 23
  2. テストコンテナの実行: 次に、簡単なテストイメージを実行してみます。以下のコマンドをターミナルで実行してください。
    Bash
    docker run hello-world
    このコマンドを実行すると、Dockerはまずローカルにhello-worldイメージがあるかを確認し、なければDocker Hubから自動的にダウンロードします。その後、そのイメージからコンテナを起動し、画面に「Hello from Docker!」といったメッセージと、Dockerが正しく動作していることを示す説明文が表示されます 23。これが表示されれば、Docker Desktopは正常に動作しています。

3.2. WindowsへのDocker Desktopインストール手順 (Docker Desktop Installation Steps for Windows)

3.2.1. インストーラーのダウンロードと実行 (Downloading and Running the Installer)

  1. インストーラーのダウンロード: Dockerの公式サイト(https://www.docker.com/products/docker-desktop/)にアクセスし、Docker Desktop for Windowsのインストーラー(Docker Desktop Installer.exe)をダウンロードします 26
  2. インストーラーの実行: ダウンロードしたDocker Desktop Installer.exeファイルをダブルクリックして実行します。ユーザーアカウント制御(UAC)のプロンプトが表示された場合は、「はい」をクリックして許可します。
  3. 設定とインストール: インストーラーの指示に従って設定を進めます。通常、インストール中にWSL 2コンポーネントのインストールやHyper-V機能の有効化に関するオプションが表示されます(後述)26。デフォルトでは、Docker Desktopは C:\Program Files\Docker\Docker にインストールされます 25
  4. インストールの完了と再起動: インストールが完了すると、通常はWindowsの再起動が求められます。指示に従って再起動してください。

3.2.2. WSL 2バックエンドの推奨と設定 (Recommendation and Setup for WSL 2 Backend)

Docker Desktop for Windowsを実行するためのバックエンドとして、WSL 2 (Windows Subsystem for Linux 2) の利用が強く推奨されています 27

  • WSL 2とは: WSL 2は、Windows上で完全なLinuxカーネルを実行できるようにする技術です。これにより、Windows上でLinuxコンテナをネイティブに近いパフォーマンスで動作させることが可能になります。
  • WSL 2のメリット: Hyper-Vバックエンドと比較して、起動が速く、リソース消費が少なく、ファイルシステムのパフォーマンスも向上します。
  • 設定:
  1. Docker Desktopのインストール中に、「Use WSL 2 instead of Hyper-V」のオプションが表示されたら、これを選択(チェックを入れる)します 25
  2. WSL 2がシステムにインストールされていない場合、Docker Desktopインストーラーが自動的に必要なコンポーネント(Linuxカーネル更新プログラムパッケージなど)のインストールを試みます 27
  3. 手動でWSL 2を有効化したり、カーネルを更新したりする必要がある場合は、Microsoftの公式ドキュメントに従ってください。通常、PowerShell(管理者として実行)で以下のコマンドを実行します。
  • WSL機能を有効化:
    PowerShell
    dism.exe /online /enable-feature /featurename:Microsoft-Windows-Subsystem-Linux /all /norestart
    dism.exe /online /enable-feature /featurename:VirtualMachinePlatform /all /norestart
  • PCを再起動します。
  • 最新のLinuxカーネル更新プログラムパッケージをMicrosoftのサイトからダウンロードしてインストールします 27
  • WSL 2をデフォルトバージョンとして設定:
    PowerShell
    wsl –set-default-version 2
    27
  • Docker Desktopの設定画面(Settings > General)でも、「Use the WSL 2 based engine」が選択されていることを確認できます。

3.2.3. Hyper-Vの有効化について (About Enabling Hyper-V)

WSL 2バックエンドを選択しない場合(例えば、従来のHyper-Vバックエンドを使用したい、またはWindowsコンテナを主に利用する場合)、Hyper-Vバックエンドを使用します。これは主にWindows 10/11 Pro, Enterprise, Educationエディションで利用可能です。

  • 必要な機能: Hyper-Vバックエンドを利用するには、「Hyper-V」プラットフォームと「Containers」のWindows機能が有効になっている必要があります 25
  • 有効化の方法:
  1. コントロールパネルの「プログラム」 > 「Windowsの機能の有効化または無効化」を開きます。
  2. リストから「Hyper-V」(およびその下の「Hyper-V プラットフォーム」など)と「コンテナー」にチェックを入れ、「OK」をクリックします。
  3. 変更を適用するためにPCの再起動が必要になる場合があります。
  • または、管理者としてPowerShellを開き、以下のコマンドでHyper-Vを有効化することも可能です 27:
    PowerShell
    Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Hyper-V -All
    または
    PowerShell
    dism.exe /Online /Enable-Feature /FeatureName:Microsoft-Hyper-V /All

3.2.4. Windows Homeエディションでの特別な注意点 (Special Notes for Windows Home Edition)

Windows 10/11 Homeエディションでは、伝統的にHyper-V機能が提供されていませんでした。しかし、WSL 2の登場により、HomeエディションでもDocker Desktopを快適に利用できるようになりました。

  • WSL 2が必須: Windows HomeエディションでDocker Desktopを実行するには、WSL 2バックエンドを使用する必要があります 25。WSL 2はHomeエディションでも利用可能です。
  • Linuxコンテナのみ: Windows Homeエディションでは、Linuxコンテナのみを実行できます。Windowsコンテナを実行したい場合は、Windows Pro以上のエディションが必要です 25
  • 過去の方法(非推奨): 以前は、Windows Homeユーザー向けに「Docker Toolbox」というVirtualBoxベースのツールが提供されていましたが、これは古い方法です 7。また、一部の非公式な情報源 32 では、HomeエディションでHyper-V関連の機能を無理やり有効化し、レジストリを変更してインストーラーを「騙す」ような手順が紹介されていることもありますが、これらは複雑でシステムを不安定にする可能性があるため、WSL 2が公式にサポートされている現在では全く推奨されません。公式にはWSL 2を使用してください 25

3.2.5. インストール後の動作確認 (Post-installation Verification)

WindowsへのDocker Desktopインストール後も、macOSと同様に動作確認を行います。

  1. Dockerバージョンの確認: コマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、以下のコマンドを実行します。
    Bash
    docker –version
    Dockerのバージョン情報が表示されればOKです 26
  2. テストコンテナの実行: 以下のコマンドを実行します。
    Bash
    docker run hello-world
    macOSの場合と同様に、Docker Hubからhello-worldイメージがダウンロード(ローカルにない場合)され、コンテナが実行されて確認メッセージが表示されれば、インストールは成功です 27

3.3. インストール時の一般的な問題と解決策 (Common Installation Issues and Solutions)

3.3.1. macOSでのトラブルシューティング (Troubleshooting on macOS)

  • アクセス権限の問題: Docker Desktopの起動時や特定の操作時に、システムリソースへのアクセス権限を求めるプロンプトが表示されることがあります。この場合は、Macの管理者パスワードを入力して許可してください 30
  • リソース不足: Docker Desktopは比較的多くのメモリ(RAM)やディスクスペースを消費します。システム要件(最低4GB RAM、推奨8GB以上、十分なディスク空き容量)を満たしていない場合、動作が不安定になったり、起動に失敗したりすることがあります 21。システム要件を再確認し、不要なアプリケーションを終了したり、ディスクスペースを確保したりしてください。
  • 古いDocker Desktopバージョンの問題: macOSを新しいバージョンにアップグレードした場合、古いバージョンのDocker Desktopとの互換性の問題が発生することがあります。常に最新版のDocker Desktopを利用することを心がけてください 22
  • Docker.appが起動しない: インストールが不完全であるか、ファイルが破損している可能性があります。一度Docker Desktopをアンインストールし、公式サイトから最新版を再ダウンロードしてインストールし直してみてください。

3.3.2. Windowsでのトラブルシューティング(仮想化設定、WSL2カーネル更新等) (Troubleshooting on Windows – Virtualization settings, WSL2 kernel updates, etc.)

  • 仮想化支援機能が無効: Docker Desktop (WSL 2バックエンド、Hyper-Vバックエンド共に) を利用するためには、PCのBIOS/UEFI設定でCPUの仮想化支援機能(Intel VT-x や AMD-V など)が有効になっている必要があります 26。PC起動時に特定のキー(Del, F2, F10など、メーカーや機種により異なる)を押してBIOS/UEFI設定画面に入り、仮想化関連の項目を「Enabled」にしてください。
  • WSL 2カーネルの未更新/不完全なインストール: 「WSL 2 installation is incomplete」や「WSL 2 kernel update required」といったエラーメッセージが表示される場合は、WSL 2のLinuxカーネルが古いか、正しくインストールされていません 27。Microsoftの公式サイトから最新の「Linuxカーネル更新プログラムパッケージ」をダウンロードしてインストールし、PCを再起動してください 27。その後、PowerShellで wsl –update や wsl –status を実行して状態を確認することも有効です。
  • Hyper-V関連のエラー: Hyper-Vバックエンドを使用している場合や、WSL 2が内部的に利用する仮想マシンプラットフォームコンポーネントに問題がある場合、Hyper-V関連のエラーが発生することがあります。「Windowsの機能の有効化または無効化」で、Hyper-Vや仮想マシンプラットフォーム、Windowsハイパーバイザープラットフォームなどの関連機能が正しく有効になっているか確認してください 27。一度無効化して再起動し、再度有効化してみるのも一つの手です。
  • ファイアウォール/アンチウイルスソフトの干渉: 一部のファイアウォールやアンチウイルスソフトウェアが、Docker Desktopのネットワーク通信や仮想化コンポーネントの動作をブロックすることがあります 27。問題が疑われる場合は、一時的にこれらのセキュリティソフトを無効にしてDocker Desktopが起動・動作するかを確認し、もし干渉しているようであれば、Docker Desktop関連のプロセスやフォルダを除外設定に追加してください。
  • 必要なWindows機能が無効: 「Containers」機能や「Virtual Machine Platform」機能などが無効になっていると、Docker Desktopは正しく動作しません。これらも「Windowsの機能の有効化または無効化」から有効にできます。

3.3.3. Hyper-Vと他の仮想化ソフト(VirtualBox等)との競合と回避策 (Conflicts with Hyper-V and Other Virtualization Software (e.g., VirtualBox) and Workarounds)

Windows環境でDocker Desktopを利用する際に、多くのユーザーが直面する可能性のある問題の一つが、Hyper-Vと他の仮想化ソフトウェア(Oracle VirtualBoxやVMware Workstation Playerなど)との競合です。この競合は、Windows上でDocker DesktopがHyper-V(またはWSL 2のバックエンドとしてHyper-Vプラットフォームコンポーネント)を利用する一方で、VirtualBoxなどが独自のハイパーバイザーとして動作しようとするために発生します。

  • 競合の原因: Hyper-VはType 1ハイパーバイザー(OSと同時に、あるいはOSの基盤として動作)であり、VirtualBoxやVMware Workstation Playerは通常Type 2ハイパーバイザー(ホストOS上でアプリケーションとして動作)です。これらの異なるタイプのハイパーバイザーが、CPUに搭載されているハードウェア仮想化支援機能(Intel VT-xやAMD-Vなど)への排他的なアクセスを試みるため、競合が発生します 33。結果として、Hyper-Vが有効になっているとVirtualBoxでVMが起動できなくなったり、システムが不安定になったり(ブルースクリーンが発生するなど)することがあります 35。この問題は、特にDockerと、例えばVirtualBoxベースの古いVagrant環境などを併用したい開発者にとって、大きなワークフローの障害となる可能性があります。これは、MacやLinuxユーザーと比較して、WindowsユーザーがDocker Desktopを導入する上で特有のハードルと言えるかもしれません。
  • 回避策1: Hyper-Vの一時的な無効化/有効化:
    最も基本的な回避策は、利用したい仮想化ソフトウェアに合わせてHyper-Vの状態を切り替えることです。VirtualBoxなど他の仮想化ソフトを使用したい場合はHyper-Vを無効にし、Docker Desktopを使用したい場合はHyper-Vを有効にします。ただし、この切り替えにはOSの再起動が伴うため、頻繁に切り替える必要がある場合は手間がかかります 37。
  • Hyper-Vを無効にするコマンド (管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellで実行後、再起動):
    Bash
    bcdedit /set hypervisorlaunchtype off
  • Hyper-Vを有効にするコマンド (管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellで実行後、再起動):
    Bash
    bcdedit /set hypervisorlaunchtype auto
    37
  • 回避策2: Windowsの起動オプションの作成:
    上記コマンドを利用して、Hyper-Vが有効な状態と無効な状態の2つの起動エントリをWindowsのブートローダーに作成し、PC起動時にどちらのモードで起動するかを選択できるようにする方法です 37。これにより、再起動は必要ですが、コマンドを都度入力する手間は省けます。
  • 回避策3: VirtualBox 6.x以降のHyper-Vフォールバック機能:
    VirtualBoxバージョン6.0以降では、Windowsホスト上でHyper-Vが有効な場合でも動作するためのフォールバックメカニズムが導入されました 35。これにより、VirtualBoxはWindows Hypervisor Platform (WHPX) APIを利用してVMを実行しようとします。ただし、このモードではパフォーマンスがネイティブ実行時よりも低下する(「タートルモード」と呼ばれることもあります)可能性があり、すべての環境で完全に問題なく動作するとは限りません 35。場合によっては、VirtualBoxのグローバル設定で VBoxManage setextradata global “VBoxInternal/NEM/UseRing0Runloop” 0 のようなコマンドを実行して設定変更が必要なことも報告されています 38。
  • WSL 2の利用と最新仮想化ソフトウェア:
    Docker DesktopがWSL 2バックエンドで動作する場合、WSL 2はHyper-Vの全機能ではなく、そのサブセットである仮想マシンプラットフォームを利用します。これにより、Hyper-Vが完全に有効な状態とは異なり、最新バージョンのVirtualBoxやVMware Workstationとの共存性が以前よりは向上している場合があります。常に、Docker Desktopと他の仮想化ソフトウェアの両方を最新バージョンに保つことが推奨されます。
  • 根本的な解決の難しさ:
    Hyper-Vと他のType 2ハイパーバイザーとの完全なシームレスな同時利用は、アーキテクチャ上の制約から依然として難しい課題です 34。開発者は、自身のワークフローや利用するツールに応じて、上記のような回避策を検討するか、利用する仮想化プラットフォームを統一する(例えば、VirtualBoxで管理していたVMをHyper-Vに移行する 34)などの対応が必要になる場合があります。

第4章: Dockerの基本的な使い方をマスターしよう (Let’s Master Basic Docker Usage)

Docker Desktopのインストールが無事に完了したら、いよいよDockerの基本的な操作を学んでいきましょう。ここからの操作は、主にターミナル(macOSの場合)またはコマンドプロンプト/PowerShell(Windowsの場合)といったコマンドラインインターフェース(CLI)を通じて行います。Docker DesktopのGUIからも一部の操作は可能ですが、CLIを覚えることでより柔軟かつ効率的にDockerを扱えるようになります。

4.1. Dockerイメージの操作:検索、取得、管理 (Manipulating Docker Images: Searching, Pulling, Managing)

Dockerコンテナを実行するためには、まずその元となるDockerイメージが必要です。Docker Hubなどのイメージレジストリからイメージを探し、ローカルマシンにダウンロード(プル)し、管理する方法を見ていきましょう。

4.1.1. Docker Hubでイメージを探す (docker search) (Finding Images on Docker Hub)

Docker Hubには、公式イメージやコミュニティによって作成された膨大な数のDockerイメージが公開されています。docker searchコマンドを使うと、これらのイメージをキーワードで検索できます。

例えば、人気のウェブサーバーであるnginxのイメージを探したい場合は、以下のようにコマンドを実行します。

Bash

docker search nginx

実行すると、名前にnginxを含むイメージのリストが表示されます。リストには、イメージ名、簡単な説明、星の数(STARS、人気度の指標)、公式イメージかどうか(OFFICIAL [OK]と表示されるか)、自動ビルドされたイメージかどうかなどの情報が含まれます 4。公式イメージは信頼性が高く、多くのケースで推奨されます。

4.1.2. イメージをローカルにダウンロードする (docker pull) (Downloading Images Locally)

使いたいイメージが見つかったら、docker pullコマンドでローカルマシンにダウンロードします。イメージ名は通常 <リポジトリ名>:<タグ> の形式で指定します。タグはイメージのバージョンを指定するもので、省略した場合は一般的にlatestタグ(最新版)が指定されたものとみなされます。

例えば、最新版のubuntuイメージをダウンロードする場合は、以下のいずれかのコマンドを実行します。

Bash

docker pull ubuntu

または

Bash

docker pull ubuntu:latest

特定のバージョン(例えばUbuntu 22.04)をダウンロードしたい場合は、タグでバージョンを指定します。

Bash

docker pull ubuntu:22.04

コマンドを実行すると、イメージの各レイヤーが順次ダウンロードされる様子が表示されます 10

4.1.3. ローカルイメージの一覧表示と削除 (docker images, docker rmi) (Listing and Removing Local Images)

ローカルマシンにダウンロードしたイメージを確認したり、不要になったイメージを削除したりする方法です。

  • ローカルイメージの一覧表示: docker images または docker image ls コマンドを実行すると、現在ローカルに保存されているDockerイメージの一覧が表示されます 4。一覧には、リポジトリ名、タグ、イメージID、作成日、サイズなどの情報が含まれます。
  • ローカルイメージの削除: 不要になったイメージを削除するには、docker rmi <イメージ名またはイメージID> または docker image rm <イメージ名またはイメージID> コマンドを使用します 4
    Bash
    docker rmi ubuntu:latest

    もし削除しようとしているイメージが、いずれかのコンテナ(停止中のものも含む)によって使用されている場合は、エラーが表示されて削除できません。その場合は、まず関連するコンテナを削除するか、-f (force) オプションを付けて強制的に削除する必要があります(ただし、強制削除は慎重に行ってください)。

4.2. Dockerコンテナの操作:起動、確認、停止、削除 (Manipulating Docker Containers: Running, Checking, Stopping, Removing)

Dockerイメージを準備できたら、次はそのイメージからコンテナを起動し、実際にアプリケーションを実行してみましょう。

4.2.1. イメージからコンテナを起動する (docker run) (Running a Container from an Image)

docker runコマンドは、指定したイメージから新しいコンテナを作成し、起動します。このコマンドは非常に多機能で、様々なオプションを指定することでコンテナの動作を細かく制御できます。

  • 基本的な実行(hello-world): Dockerのインストール確認でも使用したhello-worldイメージを実行してみましょう。
    Bash
    docker run hello-world

    これは、イメージがローカルになければ自動的にプルし、コンテナを起動して簡単なメッセージを表示後、コンテナは終了します 23
  • インタラクティブなシェルの起動: ubuntuイメージを使って、コンテナ内でBashシェルをインタラクティブに操作したい場合は、-itオプションを使用します。
    Bash
    docker run -it ubuntu bash

    -i (interactive) はコンテナの標準入力を開いたままにし、-t (tty) は仮想端末を割り当てます。これにより、コンテナのシェルプロンプトが表示され、コマンドを入力できるようになります。シェルを終了するとコンテナも停止します。
  • よく使われるオプション:
  • -d (detached): コンテナをバックグラウンドで実行します。コンテナIDが出力され、ターミナルは解放されます。
  • -p <ホスト側ポート>:<コンテナ側ポート> (port mapping): ホストマシンのポートをコンテナのポートにマッピング(転送)します。例えば、-p 8080:80とすると、ホストの8080番ポートへのアクセスがコンテナの80番ポートに転送されます。ウェブサーバーなどを公開する際に必須です。
  • -v <ホスト側パス>:<コンテナ側パス> (volume mounting): ホストマシンのディレクトリやファイルをコンテナ内のディレクトリやファイルにマウントします。これにより、データの永続化やホスト・コンテナ間でのファイル共有が可能になります。
  • –name <コンテナ名>: コンテナに任意の名前を付けます。指定しない場合はランダムな名前が割り当てられます。
  • –rm: コンテナが終了した際に自動的にコンテナを削除します。一時的なタスクを実行する際に便利です。

docker runコマンドは、単にhello-worldを実行するだけでなく、これらのオプションを組み合わせることで、永続的なアプリケーションの実行や対話的な操作が可能になります。例えば、バックグラウンドでnginxウェブサーバーを起動し、ホストの80番ポートにマッピングするには以下のようにします。

Bash

docker run -d -p 80:80 –name my-nginx nginx

これらの基本的なオプションを理解することは、Dockerを実用的に使いこなすための第一歩です。

4.2.2. 実行中のコンテナを確認する (docker ps) (Checking Running Containers)

現在どのコンテナが実行されているかを確認するには、docker psコマンドを使用します 10

Bash

docker ps

このコマンドは、実行中のコンテナのID、元になったイメージ名、起動コマンド、作成時刻、ステータス、公開ポート、コンテナ名などを一覧表示します。

停止中のコンテナも含めて、過去に作成された全てのコンテナを表示したい場合は、-a (all) オプションを追加します。

Bash

docker ps -a

4.2.3. コンテナを停止・再開・削除する (docker stop, docker start, docker rm) (Stopping, Restarting, Removing Containers)

コンテナのライフサイクルを管理するためのコマンドです。

  • コンテナの停止 (docker stop): 実行中のコンテナを停止するには、docker stop <コンテナ名またはコンテナID> を使用します 10
    Bash
    docker stop my-nginx

    このコマンドは、コンテナ内のメインプロセスに停止シグナル(SIGTERM)を送信し、猶予期間(デフォルト10秒)後に強制停止(SIGKILL)します。
  • コンテナの再開 (docker start): 停止しているコンテナを再開するには、docker start <コンテナ名またはコンテナID> を使用します。
    Bash
    docker start my-nginx
  • コンテナの削除 (docker rm): 不要になったコンテナを削除するには、docker rm <コンテナ名またはコンテナID> を使用します。コンテナは停止している状態でなければ削除できません。実行中のコンテナを強制的に削除したい場合は、-fオプションを使用できます。
    Bash
    docker rm my-nginx

    docker ps -aで表示される不要なコンテナをまとめて削除する便利なコマンドもあります(例: docker container prune)。

4.3. Dockerfileで自作イメージをビルドする (docker build) (Building Custom Images with Dockerfile)

既存のイメージを利用するだけでなく、Dockerfileという設計図を使って独自のカスタムイメージを作成することができます。

  1. Dockerfileの作成: プロジェクトのルートディレクトリなどに、Dockerfileという名前のテキストファイルを作成します。このファイルに、イメージを構築するための指示を記述していきます。
  • FROM <ベースイメージ>: どのイメージを元にするかを指定します (例: FROM ubuntu:22.04)。
  • WORKDIR /app: コンテナ内での作業ディレクトリを指定します。
  • COPY <ホスト側パス> <コンテナ側パス>: ホストマシンのファイルやディレクトリをコンテナ内にコピーします (例: COPY.. でカレントディレクトリの内容をコンテナの作業ディレクトリにコピー)。
  • RUN <コマンド>: イメージ構築中にコンテナ内で実行するコマンドを指定します (例: RUN apt-get update && apt-get install -y python3)。
  • ENV <キー>=<値>: 環境変数を設定します。
  • EXPOSE <ポート番号>: コンテナがリッスンするポートを指定します(実際にポートを公開するにはdocker run時に-pオプションが必要)。
  • CMD [“実行ファイル”, “引数1”, “引数2”] または ENTRYPOINT [“実行ファイル”, “引数1”, “引数2”]: コンテナ起動時にデフォルトで実行されるコマンドを指定します。 11
  1. イメージのビルド (docker build): Dockerfileがあるディレクトリで、以下のコマンドを実行してイメージをビルドします。
    Bash
    docker build -t my-custom-app.
  • -t my-custom-app は、作成するイメージに my-custom-app という名前(とデフォルトでlatestタグ)を付けます。<リポジトリ名>:<タグ>の形式で指定できます。
  • 最後の . は、Dockerfileが存在する場所(ビルドコンテキスト)をカレントディレクトリとして指定しています 11

ビルドが成功すると、docker imagesコマンドで作成されたカスタムイメージを確認できます。

4.4. 作成したイメージをDocker Hubに公開する (docker push) (Publishing Created Images to Docker Hub)

作成したカスタムイメージをDocker Hubなどのレジストリにアップロード(プッシュ)することで、他の人と共有したり、別の環境で利用したりできるようになります。

  1. Docker Hubへのログイン: まず、Docker HubのアカウントでCLIからログインします。
    Bash
    docker login

    ユーザー名とパスワード(またはアクセストークン)の入力が求められます。
  2. イメージへのタグ付け: Docker Hubにプッシュするためには、イメージ名が <Docker Hubユーザー名>/<リポジトリ名>:<タグ> の形式になっている必要があります。docker tagコマンドで既存のイメージに新しい名前(タグ)を付けます。
    Bash
    docker tag my-custom-app your-dockerhub-username/my-custom-app:1.0

    ここでは、ローカルのmy-custom-appイメージに、your-dockerhub-username/my-custom-app:1.0という名前を付けています。
  3. イメージのプッシュ (docker push): タグ付けしたイメージをDocker Hubにプッシュします。
    Bash
    docker push your-dockerhub-username/my-custom-app:1.0

    14
    プッシュが完了すると、Docker Hubのあなたのリポジトリでイメージが公開(またはプライベート設定の場合は共有)されます。

Dockerfile -> docker build -> docker run -> (optional) docker push という一連のワークフローは、Dockerを使った開発サイクルの基本です。この流れをマスターすることが、Dockerのポテンシャルを最大限に引き出し、再現可能で一貫性のあるアプリケーション環境を作成・配布するための鍵となります。Dockerfileが設計図となり、docker buildで不変のイメージが作られ、docker runでそのイメージから実行可能なコンテナが生まれ、そしてdocker pushでその成果物を共有する。このサイクルを理解することで、個々のコマンドがより大きな開発・デプロイ戦略の中でどのように位置づけられるかが見えてきます。

第5章: Dockerの現在地:最新動向とエコシステム (Docker Today: Latest Trends and Ecosystem)

Dockerは、単なるコンテナランタイムとしての地位を確立して以来、そのエコシステムを絶えず拡大し、開発者の生産性向上、セキュリティ強化、そしてより複雑なアプリケーションアーキテクチャへの対応を目的とした新機能やツールを次々とリリースしています。この章では、現在のDockerを取り巻く主要な動向と、進化し続けるエコシステムについて概観します。

5.1. Docker Engineの進化と新機能 (Evolution and New Features of Docker Engine – e.g., v25.0)

Docker Engineは、Dockerプラットフォームの心臓部であり、コンテナの作成と管理を担うコアコンポーネントです。継続的なアップデートにより、機能強化と安定性の向上が図られています。

例えば、Docker Engine v25.0のような近年のリリースでは、以下のような注目すべき機能が追加されています 40:

  • OpenTelemetryトレーシングのサポート: 分散トレーシングのための標準であるOpenTelemetryに対応しました。これにより、Docker Engine自体の内部動作や、コンテナ化されたアプリケーションのパフォーマンスに関する詳細なテレメトリデータを収集・分析しやすくなり、システムの可観測性が向上します。問題発生時の原因究明やボトルネックの特定がより効率的に行えるようになります。
  • CDI (Container Device Interface) デバイスのサポート: Linux環境において、GPUやFPGA、アクセラレーターといった特殊なハードウェアデバイスをコンテナから標準的な方法で利用するためのCDI仕様がサポートされました。これにより、AI/MLワークロードや高性能コンピューティングなどで、コンテナのポータビリティを維持しつつ、ハードウェアリソースを柔軟かつ効率的に活用できます。
  • ヘルスチェック機能の改善: コンテナの起動初期段階(start period)におけるヘルスチェックの挙動が改善され、アプリケーションが完全に準備が整うまでの時間をより適切に考慮できるようになりました。これにより、起動に時間のかかるアプリケーションが不必要に異常と判断されるのを防ぎます。
  • JSON形式でのログ出力オプション: dockerd(Dockerデーモン)のログ出力形式として、従来のテキスト形式に加えてJSON形式を選択できるようになりました (–log-format=json)。構造化されたJSONログは、ログ収集・分析システム(Elastic Stack、Splunkなど)との連携を容易にし、ログデータの機械処理を効率化します。

これらの機能強化は、開発者や運用担当者がDocker環境をより高度に制御し、最適化し、安定して運用するための基盤を提供します 40

5.2. Docker Compose V2の登場と開発ワークフローの変化 (Advent of Docker Compose V2 and Changes in Development Workflow)

Docker Composeは、複数のコンテナで構成されるアプリケーション(例: ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、データベースから成るシステム)を、単一の設定ファイル(docker-compose.yml)で定義し、一括で起動・管理するためのツールです。開発環境の構築やテスト、小規模な本番環境での利用に広く使われています。

近年、Docker ComposeはV1からV2へとメジャーバージョンアップを果たし、いくつかの重要な変更と機能強化が行われました。

  • コマンド体系の変更 (Docker CLIへの統合): 最も目に見える変更点は、コマンドの実行方法です。従来のdocker-compose <サブコマンド>という形式から、docker compose <サブコマンド>(ハイフンなし)という形式に変わりました 41。これは、ComposeがDocker CLIのプラグインとして完全に統合されたことを意味し、Docker本体のコマンドとの一貫性が向上しました。
  • コンテナ名の命名規則の変更: Compose V1では、生成されるコンテナ名が プロジェクト名_サービス名_番号 のようにアンダースコアで区切られていましたが、Compose V2では プロジェクト名-サービス名-番号 のようにハイフン区切りに変更されました 41。これは、アンダースコアがDNSホスト名として有効でない場合があるため、ネットワーク内でのサービスディスカバリの互換性を高めるための変更です。
  • BuildKitとの連携強化によるビルドパフォーマンス向上: Compose V2は、Dockerの次世代ビルドエンジンであるBuildKitをデフォルトで活用するようになり、イメージビルドの並列化やキャッシュ効率の向上などにより、ビルドパフォーマンスが大幅に改善されています 42
  • 機能強化:
  • buildセクションでの–sshフラグのサポート: ビルドプロセス中にプライベートリポジトリへのアクセスなどでSSH認証情報を安全に利用できるようになりました 42
  • platforms指定によるマルチアーキテクチャビルド対応: 単一のComposeファイルから複数のCPUアーキテクチャ(例: amd64, arm64)向けのイメージを容易にビルドできるようになりました 42
  • その他、環境変数の扱いの改善や、.envファイルの読み込み順序の明確化など、細かな改善が多数施されています。

Docker Compose V1は2023年7月をもって公式なアップデートが終了し、Docker Desktopの新規リリースにも含まれなくなりました 41。現在ではCompose V2への移行が推奨されており、多くの開発ワークフローがV2を前提としています。

5.3. Docker Desktopの進化:Kubernetes連携とDocker Scout (Evolution of Docker Desktop: Kubernetes Integration and Docker Scout)

Docker Desktopは、単にローカルでコンテナを実行するツールから、より統合的な開発プラットフォームへと進化を続けています。その中でも特に重要なのが、Kubernetes連携機能とDocker Scoutの搭載です。

  • Kubernetes連携:
    Docker Desktopには、シングルノードのKubernetesクラスタをローカルマシン上で簡単に起動・実行できる機能が組み込まれています 43。これにより、開発者はクラウド上の本格的なKubernetesクラスタを用意することなく、手元のPCでKubernetesベースのアプリケーション開発やテスト、学習を行うことができます。
    設定画面から数クリックでKubernetesを有効化でき、kubectlコマンドも自動的にインストールされます。プロビジョニング方法として、従来のkubeadmに加えて、より高速で柔軟なkind (Kubernetes IN Docker) も選択可能になりました。kindを利用すると、マルチノードクラスタのシミュレーションや、特定のKubernetesバージョンを選択して実行することも可能です 44。ローカルでのマイクロサービスの開発やCI/CDパイプラインのテストに非常に便利です。
  • Docker Scout:
    Docker Scoutは、コンテナイメージのセキュリティ脆弱性スキャン、ライセンスコンプライアンスチェック、ベースイメージの鮮度評価、そして具体的な修正推奨までを提供する、統合的なソフトウェアサプライチェーンセキュリティツールです 45。Docker DesktopやDocker Hubとシームレスに統合されており、開発プロセスの非常に早い段階(ローカルでのビルド時やイメージのプッシュ時)でセキュリティリスクを特定し、対処する「シフトレフト」アプローチを支援します 46。
    近年のアップデートでは、組織のセキュリティポリシーに基づいてイメージを評価する「ポリシー評価」機能が一般提供(GA)されたほか、VEX (Vulnerability Exploitability eXchange) ドキュメントを用いた脆弱性の例外管理、Prometheusエクスポーターによる監視システムとの連携など、エンタープライズレベルのニーズにも応える機能が拡充されています 48。

Docker Desktopが単なるコンテナ実行環境のGUIから、Kubernetesによるオーケストレーションのローカルテスト環境や、Docker Scoutによる統合セキュリティ分析プラットフォームへと進化していることは、現代のアプリケーション開発の複雑性の増大と、Dockerがコンテナ化アプリケーション開発の中心的なツールであり続けようとする野心を反映しています。当初、Docker Desktopは非Linux OS上でDocker Engineを実行する手段を提供していました。その後、ローカルでのオーケストレーションのニーズに応えるためにKubernetesを統合し 43、統合されたセキュリティ分析のためにDocker Scoutが追加されました 45。さらに、拡張機能マーケットプレイス 49 により、サードパーティ製ツールも統合可能になっています。この進化は、Docker Desktopが開発者にとって、コンテナに関連する様々な開発・運用タスクのハブ(司令塔 50)となり、複数の個別ツール間を移動する必要性を減らし、ローカルマシンからのコンテナライフサイクル管理全体を合理化することを目指していることを示唆しています。

5.4. 開発を加速するDockerエコシステムツール (Docker Ecosystem Tools Accelerating Development)

Docker本体の機能強化に加え、開発者の生産性をさらに高めるためのエコシステムツールも充実してきています。

5.4.1. Docker Build Cloud

Docker Build Cloudは、Dockerイメージのビルドプロセスをクラウド上で実行することで、ビルド時間を大幅に短縮するサービスです 49。ローカルマシンのCPUやメモリリソースを消費することなく、高性能なクラウド上のビルダーを利用できます。

主な利点として、チームメンバー間でのビルドキャッシュの共有機能があります。これにより、同じようなビルドを複数回行う場合でも、キャッシュが効いてビルド時間が劇的に短縮されます 52。また、AMD64とARM64の両アーキテクチャに対応したネイティブビルダーが提供されるため、エミュレーションに頼ることなく効率的なマルチアーキテクチャイメージのビルドが可能です 51。CI/CDパイプラインとの連携も容易で、ビルドプロセス全体の高速化に貢献します。

5.4.2. Docker Debug

docker debugは、実行中のコンテナや停止したコンテナ、さらにはイメージに対して直接デバッグシェルを起動できる比較的新しいCLIツールです 52。従来のdocker exec -it <container> bashのような方法では、コンテナイメージ内にシェルやデバッグツールが含まれていない(特に本番用のスリム化されたイメージの場合)と利用できませんでした。

docker debugは、対象のコンテナやイメージを変更することなく、Nixパッケージマネージャーをベースとした独自のツールボックス(vim, nano, htop, curlなどがプリインストール)を一時的にマウントしてデバッグ環境を提供します 53。これにより、最小限の構成のイメージであっても、ファイルシステムの調査、プロセスの確認、ネットワークの疎通確認などを容易に行うことができます。

5.4.3. Docker Compose Watch

Docker Compose Watchは、ローカルでの開発中にソースコードの変更を検知し、実行中のComposeサービスを自動的に更新・再起動または同期する機能です 54。開発者がコードを保存するたびに、手動でコンテナを再ビルドしたり再起動したりする手間を省き、変更結果を即座に確認できるようになります。

特に、Node.js (Nodemon) やPython (Flask/Djangoのデバッグモード) のようなホットリロード(ライブリロード)機能をサポートするフレームワークと組み合わせることで、非常に効率的な「インナーループ」(コーディング→ビルド→テスト→デバッグの繰り返しサイクル)を実現できます 56。設定ファイル(compose.yaml)内で、監視対象のファイルパスと、変更検知時のアクション(sync: ファイル同期、または rebuild: イメージ再ビルドとコンテナ再作成)を指定できます 55。

これらのツールは、Dockerが「開発者エクスペリエンス」の向上と、セキュリティ懸念を開発ライフサイクルのより早い段階で対処する「シフトレフト」に重点を置いていることを示しています。Compose Watch 55 はローカル開発中の更新を自動化し、インナーループを高速化します。Docker Debug 53 は、スリム化されたコンテナでさえもトラブルシューティングを簡素化し、デバッグに費やす時間を削減します。Docker Scout 45 は、脆弱性スキャンと修正アドバイスを開発ワークフロー(Docker Desktop、Docker Hub、CI)に直接提供します。Docker Build Cloud 51 はビルドをオフロードし、キャッシュを共有することで、ビルドプロセスをより速く、より効率的にします。これらのツールは総じて、開発の摩擦を減らし、反復的なタスクを自動化し、セキュリティチェックを早期に統合します。これは、Dockerが個々の開発者とチームがより速く、より安全にビルドできるようにするという戦略的焦点を示しており、現代のDevSecOpsプラクティスと一致しています。

5.5. エンタープライズ向けDocker: Docker Businessの価値 (Docker for Enterprise: The Value of Docker Business)

Dockerは個人開発者や小規模チームだけでなく、大規模なエンタープライズ組織のニーズにも応えるためのソリューションを提供しています。その中核となるのが「Docker Business」サブスクリプションプランです。

Docker Businessは、セキュリティ、コンプライアンス、集中管理、スケーラビリティといった、大企業特有の要件に対応するために設計された包括的なパッケージです 29。

主な機能と提供価値は以下の通りです。

  • Hardened Docker Desktop:
  • Settings Management (設定管理): 管理者が組織内の全Docker Desktopインスタンスの設定を一元的に構成・強制できるようにし、セキュリティポリシーの遵守と開発環境の標準化を実現します。
  • Air-gapped Containers (エアギャップコンテナ): 外部ネットワークへの接続が制限された、あるいは完全に遮断された環境(エアギャップ環境)でもDocker Desktopを利用可能にする機能です。機密性の高い情報を扱う組織にとって重要です。
  • Enhanced Container Isolation (ECI – 強化されたコンテナ分離): コンテナをrootlessモードで実行したり、Docker Desktop VM内部へのアクセスを制限したりすることで、セキュリティをさらに強化します。悪意のあるコンテナがホストシステムやDocker Engineに影響を与えるリスクを低減します。
  • Registry Access Management (レジストリアクセス管理): 開発者がアクセスできるDockerイメージレジストリを制御します。信頼できるレジストリのみにアクセスを許可することで、マルウェアが含まれる可能性のあるイメージの使用を防ぎます。
  • Image Access Management (イメージアクセス管理): Docker Hubから開発者がプルできるイメージを、組織が承認したものだけに制限します。これにより、検証済みで安全なイメージのみが開発に使用されることを保証し、ソフトウェアサプライチェーンのセキュリティを強化します。
  • Single Sign-On (SSO): 既存のIDプロバイダー(Okta, Azure ADなど)と連携し、従業員が使い慣れた認証情報でDockerの各サービスにアクセスできるようにします。ユーザー管理を簡素化し、セキュリティを向上させます。
  • System for Cross-domain Identity Management (SCIM): ユーザーアカウントのプロビジョニングとデプロビジョニングを自動化し、IDライフサイクル管理を効率化します。
  • 高度なサポートとサービス: 専任のカスタマーサクセスマネージャー、優先的なテクニカルサポート、オンボーディング支援など、エンタープライズ向けの充実したサポートが提供されます。

これらの機能を通じて、Docker Businessは、エンタープライズ企業がコンテナ技術を安全かつ効率的に大規模展開し、開発プロセスの標準化、ガバナンスの強化、コンプライアンス要件への対応、そして最終的にはイノベーションの加速を実現することを支援します 29

第6章: Dockerの未来展望:これからどうなる? (Future Outlook for Docker: What’s Next?)

コンテナ技術は、ソフトウェア開発と運用のあり方を根本から変革しましたが、その進化はまだ止まっていません。Dockerもまた、この変化の最前線に立ち、新たな技術トレンドを積極的に取り込み、エコシステムを拡大し続けています。この章では、AI/ML分野での役割拡大、セキュリティへのさらなる注力、WebAssemblyとの融合、標準化の動向、そしてサーバーレスやエッジコンピューティングといった新しいコンピューティングパラダイムへの展開など、Dockerの未来を形作るであろう重要な動きについて考察します。

6.1. AI/ML開発におけるDockerの役割拡大 (Expanding Role of Docker in AI/ML Development)

人工知能(AI)および機械学習(ML)モデルの開発とデプロイにおいては、複雑な依存関係の管理、実行環境の再現性、そしてスケーラビリティの確保が極めて重要です。Dockerコンテナは、これらの課題に対する効果的なソリューションとして、AI/ML分野での活用が急速に広がっています 8。Docker社自身もこのトレンドを強く意識し、AI/ML開発者向けのツールやスタックの提供に力を入れています。

6.1.1. Docker GenAI Stack

Docker GenAI Stackは、生成AI(Generative AI)アプリケーションの開発を加速するために、Dockerがパートナー企業(Neo4j、LangChain、Ollamaなど)と共同で提供する、事前設定済みの開発スタックです 49。Docker Composeベースで提供され、数クリックで生成AIに必要なコンポーネント群(大規模言語モデル(LLM)実行環境、ベクトルデータベース、アプリケーションフレームワークなど)をローカルにデプロイできます 54。

これにより、開発者は環境構築の複雑さから解放され、Retrieval Augmented Generation (RAG) のような高度なAI技術の実装や、プロトタイピングに迅速に着手できます 57。さらに、GPUリソースをコンテナから利用できるように設定することで、LLMの学習や推論処理を大幅に高速化することも可能です 58。

6.1.2. Docker AI

Docker AIは、開発者の生産性向上を目的とした、Docker初のAI搭載製品です 49。Dockerが長年培ってきたコンテナ技術や開発ワークフローに関する膨大な知見(Docker Hub上のイメージ情報、Dockerfileのベストプラクティスなど)をAIモデルに学習させ、開発者が直面する課題に対して、文脈に応じた具体的なアドバイスや自動化されたガイダンスを提供します 46。

例えば、Dockerfileの自動生成や最適化、セキュリティ上問題のある設定の指摘、最新かつ安全なベースイメージの推奨など、多岐にわたる支援が期待されています 54。これにより、開発者はより効率的に、かつベストプラクティスに沿った形でコンテナベースのアプリケーションを開発できるようになります。

6.1.3. Docker MCP Catalog and Toolkit

Model Context Protocol (MCP) は、AIエージェント(自律的にタスクを実行するAIプログラム)が外部のツールやサービスと安全かつ標準化された方法で連携するための新しいプロトコルです。Dockerは、このMCPの普及とエコシステムの発展を支援するため、「Docker MCP Catalog and Toolkit」を発表しました 60。

Docker MCP Catalogは、Docker Hub内に設けられる、検証済みのMCP対応ツール(MCPサーバー)を発見するための信頼できる場所です。一方、MCP ToolkitはDocker Desktop拡張機能として提供され、これらのMCPサーバーのローカルでの実行、認証情報の管理、アクセス制御、そして安全なランタイム環境の提供を簡素化します 60。これにより、開発者は複雑なセットアップやセキュリティ懸念なしに、AIエージェントと様々な外部ツールを容易に連携させ、より高度なAIアプリケーションを構築できるようになります。

6.2. セキュリティへの継続的な取り組み:Docker Hardened Images (Continuous Security Efforts: Docker Hardened Images)

ソフトウェアサプライチェーンのセキュリティは、現代のアプリケーション開発における最重要課題の一つです。Dockerは、この課題に対応するため、「Docker Hardened Images (DHI)」という新しい取り組みを発表しました 63

Docker Hardened Imagesは、セキュリティを最優先事項として設計・構築された、本番環境向けのコンテナイメージです 63。その主な特徴は以下の通りです。

  • 最小化された攻撃対象領域: 不要なパッケージやライブラリ、ツールを徹底的に排除することで、イメージサイズを大幅に削減し、攻撃対象領域(アタックサーフェス)を最大95%削減します。これにより、潜在的な脆弱性の数を最初から最小限に抑えます。
  • ほぼゼロCVEの実現: Dockerによって継続的にキュレーションおよびメンテナンスされ、既知の脆弱性(CVE)がほぼゼロの状態を目指します。
  • 迅速な自動パッチ適用とSLA: 新たな脆弱性が発見された場合、特に重大度「Critical」および「High」のCVEに対しては7日以内という迅速なパッチ適用を、エンタープライズグレードのSLA(サービス品質保証)付きで提供します 63
  • ディストロレスアプローチとカスタマイズ性の両立: Alpine LinuxやDebianといった広く使われているディストリビューションをベースとしつつ、シェルやパッケージマネージャーさえも含まない「ディストロレス」に近いアプローチを採用します。一方で、必要な証明書やカスタムパッケージ、設定ファイルなどを追加できる柔軟性も確保されています 63
  • 検証可能性とコンプライアンス: 各イメージにはSBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)が提供され、SLSA(Supply chain Levels for Software Artifacts)Build Level 3に準拠したビルドシステムで構築されるなど、イメージの出所と構成内容の透明性と検証可能性が高められています 63

Docker Hardened Imagesは、開発者がセキュリティの専門家でなくても、デフォルトで高いセキュリティレベルを持つベースイメージを利用できるようにすることで、より安全なアプリケーション開発を支援し、運用チームの負担を軽減することを目的としています。

6.3. WebAssembly (Wasm) との融合の可能性 (Potential for Convergence with WebAssembly (Wasm))

WebAssembly(略称: Wasm)は、ウェブブラウザだけでなくサーバーサイドや組み込み環境など、様々なプラットフォームで高速かつ安全にコードを実行するために設計された、新しいポータブルなバイナリフォーマットです 65。その主な特徴は、ネイティブコードに近い実行速度、言語非依存性(C/C++, Rust, Goなど多くの言語からコンパイル可能)、そして強力なサンドボックスによるセキュリティです 66

DockerとWasmの関係は、競合するというよりも、むしろ補完し合い、融合していく可能性を秘めています。

  • DockerによるWasmランタイムのサポート: Docker社は、Docker Desktop内でWasmアプリケーションを実行するためのランタイムサポートを実験的に導入しています。例えば、「Docker+Wasm Technical Preview 2」では、Fermyon社のSpin、DeislabsのSlight、Bytecode AllianceのWasmtimeといった複数のWasmランタイムがサポートされました 49。これにより、WasmモジュールをDockerコンテナのように扱ったり、Dockerのツールチェーンを使ってWasmアプリケーションをビルド・配布したりすることが容易になります。
  • Wasmの利点とコンテナ技術への影響: Wasmは、コンテナよりもさらに軽量で、起動時間も非常に短く、きめ細かいサンドボックス機能を提供します。特に、関数単位のような小さなワークロードや、セキュリティが重視されるプラグインアーキテクチャ、エッジコンピューティングなどの分野で有望視されています。
  • WASI (WebAssembly System Interface): Wasmがコンテナの役割を一部担うためには、ファイルシステムアクセス、ネットワーキング、環境変数といったOSレベルの機能との連携が必要です。このための標準インターフェースとしてWASIの策定が進められています 66。WASIが成熟し、広く採用されるようになれば、Wasmアプリケーションは特定のOSやプラットフォームへの依存をさらに低減し、真のポータビリティを獲得できます。
  • 将来の展望: 現時点では、Wasmが直ちにDockerコンテナを完全に置き換えるとは考えにくいですが、特定のユースケースにおいては、Wasmがコンテナの代替、あるいはコンテナ内でWasmランタイムを実行するという形で共存・融合していく可能性が高いと見られています 65。例えば、マイクロサービスの個々の関数をWasmモジュールとして実装し、それをDockerでオーケストレーションするといった構成も考えられます。

6.4. Open Container Initiative (OCI) 仕様の進化と影響 (Evolution and Impact of OCI Specifications)

Open Container Initiative (OCI) は、コンテナのフォーマット(イメージ仕様)とランタイム(ランタイム仕様)に関するオープンな業界標準を策定・推進するプロジェクトです。DockerもこのOCI標準に準拠しており、コンテナエコシステム全体の相互運用性を高める上で重要な役割を果たしています。

OCI仕様は継続的に進化しており、近年の主なアップデートとその影響は以下の通りです。

  • OCI Image Specification v1.1: このバージョンでは、既存のコンテナイメージに対して、署名、SBOM(ソフトウェア部品表)、脆弱性スキャン結果、ビルド情報といった様々な種類のメタデータアーティファクトを関連付けるための標準的な方法が導入されました 67。具体的には、マニフェストにsubjectフィールドが追加され、あるアーティファクトがどのイメージを参照しているかを示せるようになりました。また、これらの関連付けられたアーティファクトを効率的に発見・取得するための新しいAPI(Referrers API)がDistribution Specification(レジストリの仕様)側で定義されています。これにより、ソフトウェアサプライチェーンの透明性とセキュリティが向上し、ツール間の連携も容易になります。
  • OCI Runtime Specification v1.2: ランタイム仕様のアップデートでは、例えばLinux環境におけるマウントオプションとしてidmapやridmapが追加され、コンテナ内でのユーザーID/グループIDマッピングの柔軟性が向上しました 68。また、イメージ仕様で定義されているorg.opencontainers.image.*形式のアノテーション(注釈情報)をランタイム設定ファイルでも扱えるようになり、イメージからランタイムへの情報伝達がよりスムーズになりました。

これらのOCI仕様の進化は、Dockerを含むコンテナエコシステム全体に影響を与え、より高度な機能(例: セキュアなソフトウェアサプライチェーンの実現、きめ細かいリソース制御)の実装を標準的な方法で可能にします。これにより、異なるベンダーのツールやプラットフォーム間での互換性が保たれ、ユーザーは特定の技術にロックインされることなく、最適なソリューションを選択できるようになります。

6.5. KubernetesとCNCFロードマップから見るコンテナ技術の未来 (The Future of Container Technology from Kubernetes and CNCF Roadmaps)

コンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードとしての地位を確立したKubernetesと、それをホストするCloud Native Computing Foundation (CNCF) の動向は、コンテナ技術全体の将来の方向性を占う上で非常に重要です。

KubernetesとCNCFのロードマップや専門家の予測から、2025年以降のコンテナ技術に関連するいくつかの重要なトレンドが見えてきます。

  • 生成AIによるソフトウェア開発の変革: AI、特に生成AI(Generative AI)がコーディング、テスト、デバッグ、アプリケーション管理といったソフトウェア開発ライフサイクルのあらゆる側面に深く統合され、開発者の生産性を飛躍的に向上させることが期待されています 69。Kubernetesとコンテナは、これらのAI駆動型アプリケーションの迅速な進化とスケーラブルな運用を支える基盤として、その重要性をさらに増すでしょう。
  • エンタープライズAIと既存システムとの統合: 企業は、生成AIスタックを既存の基幹システム(Systems of Record)と連携させ、業務効率の向上や新たな価値創出を目指す動きを加速させると予測されます 69。これらのAIワークロードのオーケストレーションには、俊敏性とスケーラビリティを提供するKubernetesとコンテナが不可欠となります。
  • コスト最適化とモダナイゼーションの加速: 経済的な不確実性の中で、企業はIT運用の効率化とコスト削減への圧力を強めています。クラウドネイティブ技術、アジャイルなオーケストレーションプラットフォームとしてのKubernetes、そしてサーバーレス技術の採用を通じて、アプリケーションのモダナイゼーションを積極的に推進するでしょう 69
  • Kubernetesによるハイブリッドクラウド/マルチクラウドの統一: Kubernetesは、オンプレミス環境と複数のパブリッククラウド環境にまたがるワークロードを、統一されたAPIインターフェースで管理するための標準プラットフォームとしての地位を固めつつあります 69。これにより、VMとコンテナの境界が曖昧になり、シームレスなハイブリッドクラウド体験が実現される可能性があります。
  • AI/MLおよびエッジ/IoTユースケースの拡大: Kubernetesの活用事例として、従来のウェブアプリケーションやマイクロサービスに加え、AI/MLワークロードのトレーニングと推論、そしてエッジコンピューティングやIoTデバイス上で動作するアプリケーションの管理といった分野での利用がますます増加すると見込まれています 70
  • 開発者エクスペリエンスへの注力: Kubernetesはその強力さの一方で、設定や管理の複雑さが開発者にとって依然として課題となっています 70。このため、マネージドKubernetesサービス(EKS, GKE, AKSなど)の利用拡大や、Kubernetes上でのアプリケーション開発・デプロイを容易にするためのツールや抽象化レイヤーへの需要が一層高まると予測されます。

これらのトレンドは、コンテナ技術が単なるアプリケーションのパッケージングと実行の手段から、より広範なITインフラストラクチャとアプリケーションアーキテクチャの中核を担う存在へと進化していることを示しています。

6.6. サーバーレスコンテナとエッジコンピューティングへの展開 (Expansion into Serverless Containers and Edge Computing)

コンテナ技術の応用範囲は、従来のデータセンターやクラウド環境を越えて、サーバーレスコンピューティングやエッジコンピューティングといった新しい領域へと拡大しています。

  • サーバーレスコンテナ:
    AWS Fargate、Google Cloud Run、Azure Container Instancesといったサーバーレスコンテナプラットフォームは、開発者がサーバーのプロビジョニングやクラスタ管理といったインフラ運用を意識することなく、コンテナ化されたアプリケーションを実行できるサービスです 71。
    これらのサービスは、アプリケーションの負荷に応じて自動的にスケーリングし、実際にコンピューティングリソースを使用した分だけ課金されるため、特にトラフィックが断続的であったり予測困難なワークロードにおいてコスト効率が高い場合があります。マイクロサービスアーキテクチャやイベント駆動型アプリケーションとの親和性が高く、迅速な開発とデプロイを可能にします 72。開発者はアプリケーションロジックの実装に集中でき、インフラ管理のオーバーヘッドを大幅に削減できます。
  • エッジコンピューティングにおけるコンテナ:
    エッジコンピューティングは、データを生成するデバイスやユーザーの近く(ネットワークの「エッジ」)でデータ処理を行うコンピューティングモデルです。これにより、レイテンシの削減、ネットワーク帯域幅の節約、オフラインでの動作継続などが可能になります。2025年までには、企業が生成・処理するデータの50%以上が、従来の集中型データセンターやクラウドの外部、つまりエッジで行われるようになると予測されています 73。
    コンテナ技術は、このエッジコンピューティング環境において、アプリケーションの効率的なデプロイ、管理、アップデートを実現するための重要な役割を担います。軽量でポータブルなコンテナは、リソースが限られたエッジデバイス上でも動作しやすく、多様なハードウェアや環境に対応できます。AI推論処理のエッジでの実行、産業用IoT(IIoT)におけるリアルタイムデータ分析、スマートシティ基盤などが具体的なユースケースとして挙げられます 74。
    ただし、エッジコンピューティング特有の課題として、多数の分散デバイスの管理、断続的なネットワーク接続、セキュリティの確保、限られたリソースでの効率的な運用などが存在し、これらの課題に対応するためのコンテナ関連技術やオーケストレーションツールの開発が進められています 73。

Dockerとコンテナ技術の未来は、AI/MLやエッジコンピューティングといった専門的なワークロードへの対応、そしてサーバーレスやWasmのような、より抽象化されたマネージドランタイム環境へと向かっているように見えます。これは、汎用的なアプリケーションコンテナ化を超えて、より最適化され、目的に特化したソリューションへと進化していることを示唆しています。DockerはAI/MLツール(GenAI Stack、Docker AI、MCP Toolkit)に重点的に投資しており 49、セキュリティは最重要課題であり、Hardened Imagesのような専門的な製品が登場しています 63。Wasm 65 は、特定のワークロードに対して、より軽量で安全な代替/補完手段を提供する可能性があります。サーバーレスコンテナ 71 はインフラ管理を抽象化し、エッジコンピューティング 73 は分散型でリソースに制約のある環境に適応したコンテナソリューションを必要とします。この多様化は、Dockerの核となる原則は維持しつつも、その応用が新たな技術的フロンティアの要求に応えるために拡大し、専門化していることを示しています。「ワンサイズ・フィッツ・オール」的なコンテナアプローチは、よりニュアンスに富んだエコシステムへと進化しているのです。

また、超小型で安全なイメージ(Hardened Images、Wasm)への推進と、開発者向けの使いやすいツールや汎用ベースイメージに含まれる豊富なライブラリへのニーズとの間には、ある種の緊張関係が存在します。Dockerの戦略は、本番環境向けに強化されたオプションを提供しつつ、開発ツール(Docker Debug、Compose Watchなど)がこれらの最小限のアプリケーションの作成とトラブルシューティングを容易にすることで、両方に対応しようとしているように見えます。Hardened Images 63 やWasm 65 の魅力は、セキュリティと効率のためのミニマリズムを強調しています。しかし、開発者はしばしば、開発環境内で豊富なツールセットやライブラリに依存しており、これらは最小限のイメージでは削除されている可能性があります。Docker Debug 53のようなツールは、イメージ自体を変更することなく、スリムなコンテナにデバッグ機能を注入するために特別に設計されています。Docker AI 59 は、開発者が適切(かつ潜在的に最小限/安全)なベースイメージを選択するのを支援することを目指しています。これは、Dockerが、より機能豊富なベースイメージに慣れている開発者にとってこの移行をスムーズにすることに挑戦しつつ、安全で最小限の本番アーティファクトを可能にしながら、生産的な開発エクスペリエンスを提供しようとしていることを示唆しています。

おわりに (Conclusion)

Docker導入で変わる開発体験 (The Development Experience Transformed by Docker Adoption)

本記事を通じて、Dockerの基本的な概念から具体的なインストール手順、日々の開発で役立つ基本操作、そしてコンテナ技術を取り巻く最新の動向と未来展望に至るまで、幅広く解説してきました。

Dockerを導入することは、単に新しいツールを一つ使えるようになるということ以上の意味を持ちます。それは、開発環境の構築における煩雑さからの解放、チームメンバー間での環境差異に起因する「私のマシンでは動いたのに」問題の撲滅、アプリケーションのポータビリティ向上によるデプロイプロセスの劇的な効率化、そしてマイクロサービスアーキテクチャのようなモダンな設計への対応力の向上など、開発体験そのものを根底から変革するポテンシャルを秘めています。

コンテナという一貫した単位でアプリケーションを扱うことで、開発者はインフラの細かな違いを意識することなく、アプリケーションのロジックそのものに集中できるようになります。また、CI/CDパイプラインとの親和性の高さは、より迅速で信頼性の高いソフトウェアリリースを可能にし、ビジネスの競争力強化にも繋がります。

Dockerの学習は、最初は多くの新しい概念やコマンドに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、本記事で解説した基礎知識、具体的なインストール手順、そして日々の開発で役立つ基本的な操作方法を一つ一つ着実に身につけていくことで、その強力なメリットを実感できるはずです。Dockerが切り開く新しい開発の世界に、ぜひ足を踏み入れてみてください。

Dockerがニッチなツールから現代のソフトウェア開発の中心的な柱へと成長した道のり(54ではDocker Hub上に1500万人の開発者、1500万のリポジトリが存在すると言及)は、アプリケーションの構築、配布、実行方法における根本的な変化を意味します。AI、高度なセキュリティ、Wasmのような新しいランタイムへの継続的な進化は、この変化の最前線に立ち続けるというDockerの野心を示しています。これは、Dockerを学ぶことが単一のツールを学ぶだけでなく、ソフトウェアエンジニアリングの未来を形作っているダイナミックで進化し続けるプラットフォームに関わることであることを意味します。初心者にとっては、基本が不可欠である一方で、エコシステムの進歩に常にアンテナを張っておくことが、長期的な習熟度と関連性を保つ鍵となるでしょう。

さらなるステップアップのための学習リソース (Learning Resources for Further Advancement)

Dockerの世界は奥深く、常に新しい技術や活用方法が登場しています。本記事で基礎を固めた後、さらに知識を深め、スキルを向上させるための学習リソースをいくつか紹介します。

  • Docker公式サイトのドキュメント (Docker Documentation):
    Dockerに関する最も正確で最新の情報源は、公式サイト(https://docs.docker.com/)のドキュメントです 50。インストールガイドから各コマンドリファレンス、ベストプラクティス、チュートリアルまで、網羅的な情報が提供されています。英語が基本ですが、ブラウザの翻訳機能などを活用しつつ参照することをお勧めします。
  • Docker Hub (Docker Hub):
    Docker Hub(https://hub.docker.com/)は、単にイメージをダウンロードする場所としてだけでなく、多くの公式イメージやコミュニティイメージのページには、そのイメージの使い方や設定例、Dockerfileへのリンクなどが記載されており、実践的な学習教材としても非常に有用です 75。
  • DockerConのセッション動画 (DockerCon Session Videos):
    Docker社が主催する年次カンファレンス「DockerCon」では、最新技術の発表や詳細な技術解説、ユーザー事例などが多数紹介されます。過去のセッションの多くはYouTubeなどの動画プラットフォームで公開されており、無料で視聴できます 49。トップエンジニアによる解説は、理解を深めるのに役立ちます。
  • オンライン学習プラットフォーム (Online Learning Platforms):
    Udemy、Coursera、LinkedIn Learningといったオンライン学習プラットフォームでは、初心者向けから上級者向けまで、様々なDocker関連コースが提供されています。Docker社自身もUdemyと提携して学習パスを提供していることがあります 49。体系的に学びたい場合や、ハンズオン形式で実践的にスキルを身につけたい場合に有効です。
  • 国内外の技術ブログやコミュニティフォーラム (Technical Blogs and Community Forums):
    Qiita、Zenn、dev.toといった技術ブログプラットフォームや、Stack Overflow、Docker Community Forums 43 などでは、世界中の開発者がDockerに関する知見やトラブルシューティングの情報を共有しています。特定の課題に直面した際や、他の開発者の実践例を知りたい場合に役立ちます。

これらのリソースを活用し、実際に手を動かしながら学ぶことで、Dockerの理解はさらに深まり、より高度な活用が可能になるでしょう。コンテナ技術の旅は始まったばかりです。継続的な学習を通じて、その可能性を最大限に引き出してください。

引用文献

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  3. What is Docker? | AWS, 5月 21, 2025にアクセス、 https://aws.amazon.com/docker/
  4. 【入門】Dockerとは?概要やメリット、インストール方法をわかり …, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.kagoya.jp/howto/cloud/container/docker/
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  9. コンテナ化とは?従来の仮想化との違いやメリット・デメリットを解説【トゥモロー・ネット テックブログ】, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.tomorrow-net.co.jp/topic/topics-blog-20240123/
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  13. Dockerとは?特徴とメリットを徹底解説!Docker Hubとの違いは? – toiroフリーランス, 5月 21, 2025にアクセス、 https://freelance.shiftinc.jp/column/docker/
  14. 【入門】Docker Hubとは?概要と仕組み、基本的な使い方を解説 – カゴヤのサーバー研究室, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.kagoya.jp/howto/cloud/container/dockerhub/
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  41. Migrate to Compose v2 | Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/compose/releases/migrate/
  42. Docker Compose: What’s New, What’s Changing, What’s Next, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/new-docker-compose-v2-and-v1-deprecation/
  43. How to Set Up a Kubernetes Cluster on Docker Desktop, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/how-to-set-up-a-kubernetes-cluster-on-docker-desktop/
  44. Deploy on Kubernetes | Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/desktop/features/kubernetes/
  45. Software Supply Chain Management for Developers | Docker Scout, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/products/docker-scout/
  46. Unlocking Efficiency with Docker for AI and Cloud-Native Development, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/unlocking-efficiency-with-docker-for-ai-and-cloud-native-development/
  47. Advanced Docker Scout Use Cases: Security Insights, Recommendations, and Remediation, 5月 21, 2025にアクセス、 https://thenewstack.io/advanced-docker-scout-use-cases-security-insights-recommendations-and-remediation/
  48. Docker Scout release notes – Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/scout/release-notes/platform/
  49. Docker 2023: Milestones, Updates, and What’s Next, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/docker-highlights-2023/
  50. Manuals – Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/manuals/
  51. Build Docker Images Faster | Docker Build Cloud, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/products/build-cloud/
  52. CNDO #34: DockerCon 2023 Announcements – Bret Fisher, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.bretfisher.com/cloud-native-devops-34/
  53. docker debug – Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/reference/cli/docker/debug/
  54. Highlights from DockerCon 2023: New Docker Local, Cloud, and AI …, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/highlights-from-dockercon-2023/
  55. Use Compose Watch – Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/compose/how-tos/file-watch/
  56. What is Docker Compose Watch and what problem does it solve? – Collabnix, 5月 21, 2025にアクセス、 https://collabnix.com/what-is-docker-compose-watch-and-what-problem-does-it-solve/
  57. Docker and GenAI, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/resources/docker-and-genai-on-demand-training/
  58. Using Docker GenAI Stack with GPU for Generative AI Models – Collabnix, 5月 21, 2025にアクセス、 https://collabnix.com/running-docker-genai-stack-using-gpu/
  59. Unlocking the Future with Docker GenAI Gordon: A Game-Changer for AI Workloads, 5月 21, 2025にアクセス、 https://dev.to/docker/unlocking-the-future-with-docker-genai-gordon-a-game-changer-for-ai-workloads-84l
  60. Introducing MCP Catalog and Toolkit | Docker, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/introducing-docker-mcp-catalog-and-toolkit/
  61. Introducing Docker MCP Catalog and Toolkit: The Simple and Secure Way to Power AI Agents with MCP, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/announcing-docker-mcp-catalog-and-toolkit-beta/
  62. Docker MCP Catalog and Docker MCP Toolkit Announced – DEVOPSdigest, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.devopsdigest.com/docker-mcp-catalog-and-docker-mcp-toolkit-announced
  63. Introducing Hardened Images | Docker, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/blog/introducing-docker-hardened-images/
  64. Docker Hardened Images, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.docker.com/products/hardened-images/
  65. Relationship between WebAssembly, Kubernetes & Docker – Opcito, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.opcito.com/blogs/relationship-between-webassembly-kubernetes-docker
  66. WASM will replace containers | Hacker News, 5月 21, 2025にアクセス、 https://news.ycombinator.com/item?id=43020684
  67. OCI Image and Distribution Specs v1.1 Releases – Open Container Initiative, 5月 21, 2025にアクセス、 https://opencontainers.org/posts/blog/2024-03-13-image-and-distribution-1-1/
  68. OCI Runtime Spec v1.2 – Open Container Initiative, 5月 21, 2025にアクセス、 https://opencontainers.org/posts/blog/2024-02-18-oci-runtime-spec-v1-2/
  69. 5 Game-Changing Trends for 2025: Kubernetes Leads the Way – The New Stack, 5月 21, 2025にアクセス、 https://thenewstack.io/5-game-changing-trends-for-2025-kubernetes-leads-the-way/
  70. Kubernetes in 2025: Are You Ready For These Top 5 Trends & Predictions – Fairwinds, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.fairwinds.com/blog/kubernetes-2025-top-5-trends-predictions
  71. The road to adopting Kubernetes for your organisation – Open Access Government, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.openaccessgovernment.org/the-road-to-adopting-kubernetes-for-your-organisation/189565/
  72. The Importance of Cloud Containerization for Modern Applications – CloudOptimo, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.cloudoptimo.com/blog/the-importance-of-cloud-containerization-for-modern-applications/
  73. The Future of Edge Computing – ZPE Systems, 5月 21, 2025にアクセス、 https://zpesystems.com/the-future-of-edge-computing-zs/
  74. 50 edge computing companies to watch in 2025 – STL Partners, 5月 21, 2025にアクセス、 https://stlpartners.com/articles/edge-computing/50-edge-computing-companies-2025/
  75. Trusted content – Docker Docs, 5月 21, 2025にアクセス、 https://docs.docker.com/docker-hub/image-library/trusted-content/
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