はじめに
本記事の目的は、ソフトウェア開発の世界で注目を集めるDockerおよびDocker Composeの基本的な概念、両者の明確な違い、そして現代の開発プロセスにおけるそれらの重要な役割を、特に技術的な学習を始めたばかりの方々にも理解しやすく解説することです。コンテナ技術が今日の開発現場でなぜこれほどまでに重要視されているのか、そしてこれらのツールが開発のフローをどのように革新し、効率化するのかを明らかにしていきます。アプリケーション開発のあり方を根本から変えたと言われるこれらの技術について、その核心に迫ります 1。
現代のソフトウェア開発において、アプリケーションのポータビリティ(可搬性)、スケーラビリティ(拡張性)、そして何よりも環境の一貫性を保つことは、迅速かつ高品質なソフトウェア提供のための至上命題となっています。コンテナ技術は、この課題に対する強力な解決策として登場しました。開発者が直面しがちな「自分のローカルマシンでは完璧に動作したのに、他の環境ではなぜか動かない」といった厄介な問題は、多くのプロジェクトで遅延や手戻りの原因となってきました。コンテナ技術は、アプリケーションとその依存関係一切をひとまとめにし、「どこでも同じように動く」環境を実現することで、このような問題を根本から解消します。この「一度作れば、どこでも動く」という特性が、開発サイクルの高速化、品質の均一化、そしてチームコラボレーションの円滑化に大きく貢献しているのです 3。本記事を通じて、この革新的な技術の基礎を学び、その可能性を感じ取っていただければ幸いです。


1. Dockerとは?基本をわかりやすく解説
Dockerは、現代のソフトウェア開発と運用に革命をもたらしたプラットフォームです。その核心を理解するために、まずは基本的な概念から見ていきましょう。
1.1. Dockerの概要: コンテナ型仮想化とは?
Dockerとは、アプリケーションを「コンテナ」と呼ばれる、軽量で独立した実行環境にパッケージ化し、配布・実行するためのオープンソースプラットフォームです 5。この「コンテナ」を利用した仮想化技術を「コンテナ型仮想化」と呼びます。
従来の仮想マシン(VM)技術との違いを理解することが、Dockerを把握する上で非常に重要です。VMは、ハイパーバイザーと呼ばれるソフトウェアの上で、ハードウェア全体をエミュレートし、その上にゲストOSを丸ごとインストールして仮想環境を構築します。これに対し、Dockerコンテナは、ホストOSのカーネルを共有し、アプリケーションとその実行に必要なライブラリやバイナリのみをパッケージ化します。そのため、ゲストOSを起動する必要がなく、非常に軽量で高速に動作するという大きな利点があります 3。具体的には、DockerはホストOSとプロセスの間に仮想化ソフトウェアやゲストOSを介在させないため、リソースの消費が少なく、起動も数秒単位で行えることが多いです 5。
このコンテナ型仮想化の背景には、Linuxカーネルの機能である「namespaces」と「cgroups」が存在します。Namespacesは、プロセスID、ネットワーク、マウントポイントといったシステムリソースをコンテナごとに分離し、各コンテナがあたかも独立したOSであるかのように見せる役割を担います。一方、cgroupsは、CPUやメモリといったコンテナが使用できるリソース量を制限・管理する機能を提供します 3。これらの技術により、コンテナは互いに干渉することなく、安全かつ効率的に実行環境を分離できるのです。
1.2. Dockerのコアコンセプト
Dockerを使いこなす上で欠かせない、いくつかの重要な構成要素があります。
- Dockerイメージ (Images):
Dockerイメージは、コンテナを作成するための設計図であり、読み取り専用のテンプレートです 4。OSの基本部分、アプリケーションコード、必要なライブラリ、環境変数、設定ファイルなど、コンテナの実行に必要なもの全てがこのイメージに含まれています 3。イメージは複数のレイヤーから構成されており、変更があったレイヤーのみが更新されるため、効率的な管理と配布が可能です 3。 - Dockerコンテナ (Containers):
Dockerコンテナは、Dockerイメージを実行可能な状態にしたインスタンスです 4。つまり、イメージという設計図に基づいて実際に起動され、アプリケーションが動作する隔離されたプロセス空間となります 3。各コンテナは独立しており、ホストシステムや他のコンテナから分離されています。 - Dockerfile:
Dockerfileは、Dockerイメージを自動でビルドするための手順を記述したテキストファイルです 3。ベースとなるイメージの指定、必要なソフトウェアのインストール、ファイルのコピー、実行コマンドの設定などを記述することで、誰でも同じイメージを再現性高く作成できます。これは、「Infrastructure as Code (IaC)」という、インフラ構成をコードで管理する現代的なプラクティスを体現するものです 5。 - Docker Hub/レジストリ (Docker Hub/Registry):
Docker Hubは、Dockerイメージを保存し、共有するためのクラウドベースの公式レジストリサービスです 4。ここには、OSやプログラミング言語、データベースなど、様々な公式イメージが提供されているほか、ユーザーが作成したカスタムイメージをアップロードして公開・共有することも可能です 7。企業内でのプライベートレジストリ構築も一般的です。
これらのコアコンセプトを理解することは、Dockerの仕組みを把握し、その恩恵を最大限に活用するための第一歩となります。Dockerは単にアプリケーションを隔離して実行するだけでなく、これらの要素が連携することで、開発からデプロイ、運用に至るまでのプロセス全体を効率化し、標準化する力を持っています。特にDockerfileによるIaCの実践は、手作業による環境構築のミスを減らし、バージョン管理を可能にするなど、DevOpsの重要なプラクティスを支える基盤技術と言えるでしょう。
また、従来の仮想化が物理サーバーやOSといった「インフラ」中心の考え方だったのに対し、Dockerはアプリケーションとその依存関係をパッケージ化する「アプリケーション」中心のアプローチを取ります。これにより、開発者はインフラの差異を気にすることなく、アプリケーション開発そのものに集中できるようになり、インフラ管理のあり方も大きく変わりました。このパラダイムシフトは、Dockerがもたらした最も大きな変革の一つです 5。
1.3. Dockerの主な利点
Dockerを導入することによって、開発者や組織は多くのメリットを享受できます。
- ポータビリティ (Portability):
Dockerイメージは、一度作成すれば、Dockerが動作する環境であればどこでも(開発者のローカルPC、テストサーバー、本番のクラウド環境など)同じようにアプリケーションを実行できます 3。これにより、環境ごとの差異に起因する問題を大幅に削減できます。 - 環境の一貫性 (Environmental Consistency):
開発、ステージング、本番といった各環境で同じDockerイメージを使用することで、環境間の差異を最小限に抑えることができます。「自分のマシンでは動いたのに、サーバーでは動かない」といった典型的な問題を解決し、デプロイの信頼性を高めます 3。 - 迅速なデプロイとスケーリング (Rapid Deployment and Scaling):
コンテナはOS全体を起動するVMと比較して非常に軽量であるため、起動時間が数秒単位と非常に高速です。これにより、アプリケーションのデプロイや、負荷に応じたスケールアウト(コンテナ数を増やすこと)が迅速に行えます 3。 - リソース効率 (Resource Efficiency):
コンテナはホストOSのカーネルを共有するため、VMのように各仮想環境がOSを持つ必要がありません。これにより、1台の物理マシンやVM上でより多くのアプリケーションを、少ないリソースで効率的に実行できます 5。 - 分離性 (Isolation):
各コンテナは独立した環境で実行されるため、あるコンテナ内のアプリケーションやライブラリが他のコンテナに影響を与えることがありません 3。これにより、依存関係の衝突を避け、アプリケーションの安定性を向上させることができます。
これらの利点は、ソフトウェア開発のライフサイクル全体にわたって、生産性の向上、コスト削減、市場投入までの時間短縮といった具体的な効果をもたらします 4。
1.4. Docker Engineと基本的なコマンド
Dockerの心臓部とも言えるのが「Docker Engine」です。Docker Engineは、コンテナの作成、実行、管理を行うためのコアコンポーネントであり、主に以下の3つの要素から構成されています 5。
- Dockerデーモン (dockerd): バックグラウンドで動作し、Dockerイメージのビルド、コンテナの実行、ネットワークやボリュームの管理など、実際のコンテナ操作を担うサーバープロセスです。
- REST API: Dockerデーモンと通信するためのインターフェース。Docker CLIなどのクライアントは、このAPIを通じてデーモンに指示を送ります。
- Docker CLI (docker): ユーザーがDockerを操作するためのコマンドラインインターフェースです。
開発者が日常的にDockerを操作する際には、主にこのDocker CLIを通じてコマンドを実行します。以下は、よく使われる基本的なDockerコマンドの例です。
- docker build: Dockerfileに基づいてDockerイメージをビルドします 3。 例: docker build -t my-app:1.0. (カレントディレクトリのDockerfileからmy-app:1.0という名前とタグでイメージをビルド)
- docker run: 指定したイメージから新しいコンテナを起動します 3。 例: docker run -d -p 8080:80 my-app:1.0 (my-app:1.0イメージからコンテナをバックグラウンドで起動し、ホストの8080番ポートをコンテナの80番ポートにマッピング)
- docker pull: Docker Hubなどのレジストリからイメージをダウンロードします。 例: docker pull nginx:latest (最新版のNginxイメージをダウンロード)
- docker ps: 現在実行中のコンテナの一覧を表示します。-aオプションを付けると停止中のコンテナも表示されます。
- docker images: ローカルに保存されているイメージの一覧を表示します。
- docker stop: 実行中のコンテナを停止します。 例: docker stop <container_id_or_name>
- docker rm: コンテナを削除します。停止中のコンテナのみ削除可能です(-fオプションで強制削除も可能)。 例: docker rm <container_id_or_name>
- docker rmi: イメージを削除します。 例: docker rmi my-app:1.0
これらのコマンドを組み合わせることで、イメージの作成からコンテナの実行、管理までの一連の操作を行うことができます 4。
2. Docker Composeとは?Dockerとの違いを明確に
Dockerが個々のコンテナを扱うための強力なツールであるのに対し、実際のアプリケーション開発、特に複数のサービスが連携して動作するようなシステムでは、それらのコンテナ群を効率的に管理する仕組みが必要になります。ここで登場するのがDocker Composeです。
2.1. Docker Composeの概要: 複数コンテナの管理
Docker Composeは、複数のDockerコンテナで構成されるアプリケーションを定義し、実行・管理するための一元的なツールです 6。例えば、Webアプリケーションサーバー、データベースサーバー、キャッシュサーバーといった複数のコンポーネントが連携して一つのサービスを提供するような場合に非常に役立ちます 8。
Docker Composeの最大の特徴は、compose.yaml(または古いバージョンのdocker-compose.yml)という単一のYAMLファイルに、アプリケーションを構成する全てのサービス(コンテナ)、ネットワーク設定、ボリューム(データ永続化領域)などを記述し、一元的に管理できる点です 8。このファイルを用意すれば、あとは簡単なコマンド一つで、定義された全てのコンテナをまとめて起動したり、停止したりすることができます 9。
2.2. DockerとDocker Composeの決定的な違い
DockerとDocker Composeは密接に関連していますが、その役割と目的は異なります。初心者が混乱しやすいポイントでもあるため、ここで明確に整理しておきましょう。
- 管理対象:
- Docker: 主に個々のコンテナのライフサイクル(ビルド、実行、停止、削除など)を管理します 11。
- Docker Compose: 複数のコンテナから構成されるアプリケーション全体を一つの単位として管理します。各コンテナ間の依存関係や連携も定義できます 8。
- 操作方法:
- Docker: docker run, docker build といったCLIコマンドをコンテナごとに個別に実行して操作します 13。
- Docker Compose: compose.yamlファイルにアプリケーション全体の構成を定義し、docker compose up や docker compose down といったコマンドで、定義された全てのコンテナを一括して操作します 11。
- 設定ファイル:
- Docker: イメージをビルドする際には Dockerfile を使用します。個々のコンテナ実行時のオプションは docker run コマンドの引数で指定します。
- Docker Compose: アプリケーション全体の構成(サービス、ネットワーク、ボリュームなど)を compose.yaml ファイルにYAML形式で記述します。
- 主なユースケース:
- Docker: 単一のコンテナを実行する場合、Dockerイメージをビルドする場合、コンテナの基本的な操作を学習する場合などに適しています 12。
- Docker Compose: Webサーバーとデータベースのように複数のサービスが連携するアプリケーションの開発環境構築、テスト環境のセットアップ、小規模なアプリケーションのデプロイなどに非常に強力です 12。
この違いをより具体的に理解するために、以下の比較表を参照してください。
項目 (Feature) | Docker | Docker Compose |
管理単位 (Management Unit) | 単一コンテナ (Single Container) | 複数コンテナアプリケーション (Multi-container Application) |
主な操作方法 (Primary Method) | docker CLIコマンド (e.g., docker run) | docker compose CLIコマンド (e.g., docker compose up) |
設定ファイル (Configuration) | Dockerfile (for image build) | compose.yaml (for application stack definition) |
主なユースケース (Use Cases) | 個別コンテナ実行、イメージビルド (Running individual containers, image building) | 複数サービス連携、開発環境構築 (Orchestrating services, development environments) |
コマンド例 (Example) | docker run my-image | docker compose up |
8
Docker Composeは、Dockerの基本的な機能を基盤として、その上で複数コンテナのオーケストレーションを容易にするツールと捉えることができます。開発者がローカル環境で本番に近い複数サービス構成を簡単に再現し、管理できるようにすることで、開発の効率と一貫性を大幅に向上させるのです。compose.yamlファイルは、アプリケーションの構成を宣言的に記述するため、それ自体がシステム構成のドキュメントとしても機能し、チーム内での情報共有や新規メンバーのオンボーディングをスムーズにします 15。
2.3. Docker Composeの主な利点
Docker Composeを利用することで、特に複数コンテナを扱う際の複雑さが大幅に軽減され、開発者は多くの恩恵を受けることができます。
- 複数コンテナの一元管理:
compose.yamlファイルにアプリケーションを構成する全てのサービス、ネットワーク、ボリュームを定義することで、アプリケーション全体を一つの単位として扱えます。docker compose upコマンド一つで全てのサービスを起動し、docker compose downで全てを停止・削除できるため、管理が非常にシンプルになります 8。 - 開発環境の構築と共有の簡素化:
複雑な依存関係を持つアプリケーションでも、compose.yamlファイルさえあれば、誰でも簡単に同じ開発環境を構築できます。これにより、チームメンバー間の環境差異による問題を解消し、新しいメンバーがプロジェクトに参加する際のセットアップ時間を大幅に短縮できます 10。 - サービス間の連携設定の容易化:
Docker Composeは、定義されたサービス間のネットワークを自動的に設定し、サービス名を使ってコンテナ同士が通信できるようにします 8。例えば、Webアプリケーションコンテナからdbというサービス名でデータベースコンテナに簡単に接続できます。これにより、IPアドレスの変動などを気にする必要がなくなります 8。 - 設定の再現性とポータビリティ:
compose.yamlファイルは、アプリケーション環境の「設計図」そのものです。このファイルを含めてプロジェクトをバージョン管理システム(Gitなど)で管理することで、どの環境でも、どの時点でも、同じ構成を正確に再現できます。これにより、開発、テスト、本番環境への移行がスムーズになります 10。
これらの利点により、Docker Composeは特にローカル開発環境における「開発者の親友」とも言える存在になっています。本番環境に近い形で複数のサービスを動かしながら開発を進めることが容易になり、手作業でのコンテナ起動やネットワーク設定の煩雑さから解放されることで、開発者はアプリケーションロジックの実装により集中できるようになります。
3. Docker Composeを使ってみよう!基本的な使い方
Docker Composeの強力さを実感するには、実際に使ってみるのが一番です。ここでは、その中核となるcompose.yamlファイルの構造と、基本的なコマンド操作について解説します。
3.1. compose.yaml (または docker-compose.yml) ファイルの構造
Docker Composeの設定は、compose.yamlという名前のファイルにYAML (YAML Ain’t Markup Language) 形式で記述します。YAMLは人間にとって読み書きしやすいデータ直列化フォーマットです。
compose.yamlファイルは、主にいくつかのトップレベルキーで構成されます。
- version (バージョン):
かつてはComposeファイルのフォーマットバージョンを指定するために必須でしたが、Docker CLIに統合されたCompose V2 (docker compose コマンド) では、このversionトップレベルキーは多くの場合で必須ではなくなりました 18。古い資料や一部のツールでは version: “3.9” のような記述が見られますが 19、最新のプラクティスでは省略されることもあります。本記事では主にCompose V2を前提とします。 - services (サービス):
アプリケーションを構成する各コンテナ(サービス)を定義する最も重要なセクションです 8。各サービスには一意の名前を付け、その下に具体的な設定を記述します。
- image: <イメージ名>: 使用するDockerイメージを指定します。Docker Hubの公式イメージ (例: nginx:latest, postgres:14) や、自分でビルドしたイメージ名を指定できます 8。
- build: <Dockerfileのあるディレクトリパス> または build: context: <パス> dockerfile: <Dockerfile名>: Dockerfileからイメージをビルドする場合に指定します。contextでビルドコンテキストのパスを、dockerfileでDockerfileのファイル名を指定できます 8。
- ports: – “<ホスト側ポート>:<コンテナ側ポート>”: ホストマシンとコンテナ間のポートマッピングを設定します。例えば、- “8080:80″と記述すると、ホストの8080番ポートへのアクセスがコンテナの80番ポートに転送されます 8。
- volumes: – “<ホスト側パスまたは名前付きボリューム>:<コンテナ側パス>”: データの永続化や、ホストマシン上のファイルをコンテナと共有するためにボリュームマウントを設定します 10。
- バインドマウント: ~/my-project:/app のようにホストの特定のディレクトリをコンテナにマウントします。開発時にコード変更を即座に反映させるのによく使われます。
- 名前付きボリューム: my-data:/var/lib/mysql のようにDockerが管理する永続的なストレージ領域(名前付きボリューム)を作成し、コンテナにマウントします。データベースのデータ保存などに適しています。
- networks: – “<ネットワーク名>”: コンテナを特定のカスタムネットワークに接続します。指定しない場合、Composeはプロジェクトごとにデフォルトのネットワークを作成し、サービス間の通信を可能にします 9。
- environment: – “<変数名>=<値>” または environment: DB_USER: user: コンテナ内で使用する環境変数を設定します 10。.envというファイルに環境変数を定義し、それをComposeファイルで読み込むことも推奨されています 19。
- depends_on: – “<サービス名>”: サービス間の起動順序や依存関係を定義します。例えば、Webアプリケーションがデータベースに依存する場合、データベースサービスが起動してからWebアプリケーションサービスが起動するように指定できます 8。
- volumes (トップレベルボリューム):
名前付きボリュームを明示的に定義するセクションです。ここで定義したボリューム名を各サービスのvolumesセクションで使用します 10。
例:
YAML
volumes:
db_data: - networks (トップレベルネットワーク):
カスタムネットワークを明示的に定義するセクションです。ここで定義したネットワーク名を各サービスのnetworksセクションで使用できます 9。
例:
YAML
networks:
my_custom_network:
driver: bridge
これらのキーと値を組み合わせることで、複雑な複数コンテナアプリケーションの構成を宣言的に記述できます。この「宣言的」とは、「何をしたいか(最終的な状態)」を記述すれば、Docker Composeが「どのように実現するか(具体的な手順)」を実行してくれる、という意味です。これにより、手作業による設定ミスを防ぎ、誰でも同じ環境を再現できるようになります。
以下は、主要なcompose.yamlディレクティブの役割をまとめた表です。
ディレクティブ (Directive) | 説明 (Description) | YAML例 (Example Snippet) |
services | アプリケーションを構成する各コンテナ(サービス)の定義をまとめる。 | services: |
<サービス名>: | 個々のサービス(コンテナ)の名前。この下にサービス固有の設定を記述。 | web: |
image | サービスが使用するDockerイメージを指定。 | image: nginx:latest |
build | Dockerfileからイメージをビルドする場合のビルドコンテキストやDockerfileのパスを指定。 | build:./app |
ports | ホストとコンテナ間のポートマッピングを定義 (“<ホスト>:<コンテナ>”形式)。 | ports:<br>- “8080:80” |
volumes (サービスレベル) | ホストのディレクトリや名前付きボリュームをコンテナにマウント (“<ホスト/名前付きボリューム>:<コンテナ>”形式)。 | volumes:<br>-./html:/usr/share/nginx/html |
environment | コンテナ内で使用する環境変数を設定。 | environment:<br>DB_HOST: database |
depends_on | 他のサービスが起動した後にこのサービスを起動するように依存関係を定義。 | depends_on:<br>- db |
networks (サービスレベル) | このサービスを接続するネットワークを指定。 | networks:<br>- frontend |
volumes (トップレベル) | 名前付きボリュームをプロジェクト全体で定義。 | volumes:<br>db_data: |
networks (トップレベル) | カスタムネットワークをプロジェクト全体で定義。 | networks:<br>app_net: |
8
3.2. Docker Composeの主要コマンド
compose.yamlファイルを作成したら、次はdocker composeコマンドを使ってアプリケーションを操作します。Compose V1ではdocker-composeというハイフン付きのコマンドでしたが、Compose V2ではDocker CLIに統合され、docker compose(スペース区切り)というコマンド体系になりました。現在はこちらが標準です 9。
- docker compose up:
compose.yamlファイルに基づいて、定義された全てのサービス(コンテナ)をビルド(必要な場合)、作成し、起動します 8。
- -d オプション: コンテナをバックグラウンド(デタッチドモード)で起動します。これがないと、ログがターミナルに表示され続け、ターミナルを閉じるとコンテナも停止します。
- –build オプション: 起動前にイメージを強制的に再ビルドします。 例: docker compose up -d
- docker compose down:
docker compose upで起動したコンテナ、それらが接続していたネットワークを停止し、削除します 8。 - –volumes オプション: compose.yamlで定義された名前付きボリュームも一緒に削除します。データベースのデータなどを保持したい場合は、このオプションを付けずに実行します 23。 例: docker compose down –volumes
- docker compose ps:
現在のComposeプロジェクトで実行中(および停止中)のコンテナの状態を表示します 16。 - docker compose logs [サービス名]:
指定したサービス(または全てのサービス)のログを表示します 10。 - -f オプション: ログをリアルタイムで追跡表示します(tail -f と同様)。 例: docker compose logs -f web
- docker compose build [サービス名]:
指定したサービス(または全てのサービス)のDockerイメージをビルドまたは再ビルドします。 - docker compose pull [サービス名]:
指定したサービス(または全てのサービス)のイメージをレジストリからプル(ダウンロード)します。compose.yamlでimageディレクティブが使われている場合に有効です。 - docker compose restart [サービス名]:
指定したサービス(または全てのサービス)を再起動します 8。 - docker compose exec <サービス名> <コマンド>:
指定した実行中のサービス(コンテナ)内で、任意のコマンドを実行します。例えば、コンテナ内のシェルにアクセスする場合などに使います。
例: docker compose exec web bash - docker compose run –rm <サービス名> <コマンド>:
指定したサービスの設定に基づいて新しいコンテナを起動し、一度限りのコマンドを実行します。コマンド終了後にコンテナを自動的に削除するために–rmオプションを付けることが多いです。データベースのマイグレーションやテストの実行などに利用されます。
これらのコマンドを使いこなすことで、複数コンテナアプリケーションの開発と管理が格段に効率化されます。
3.3. 簡単な使用例: Webアプリケーションとデータベース
概念的な例として、Node.jsで書かれたWebアプリケーションと、それがデータ保存に利用するPostgreSQLデータベースの2つのサービスからなるアプリケーションをDocker Composeで管理するシナリオを考えてみましょう。
まず、プロジェクトのルートディレクトリにcompose.yamlファイルを作成します。
YAML
# compose.yaml
services:
webapp:
build:./app #./app ディレクトリにDockerfileがあると仮定
ports:
– “3000:3000” # ホストの3000番をコンテナの3000番にマッピング
volumes:
-./app:/usr/src/app #./app ディレクトリをコンテナの /usr/src/app にマウント (コード変更の即時反映のため)
environment:
– NODE_ENV=development
– DATABASE_URL=postgres://user:password@db:5432/mydatabase # データベース接続情報
depends_on:
– db # dbサービスが起動してからwebappサービスを起動
db:
image: postgres:14-alpine # PostgreSQLの公式イメージを使用
ports:
– “5432:5432” # 開発用にホストから直接DBにアクセスする場合(オプション)
volumes:
– db_data:/var/lib/postgresql/data # 名前付きボリュームでデータを永続化
environment:
– POSTGRES_USER=user
– POSTGRES_PASSWORD=password
– POSTGRES_DB=mydatabase
volumes:
db_data: # 名前付きボリュームの定義
このcompose.yamlファイルでは、以下の設定が行われています。
- webappサービス:
- ./appディレクトリにあるDockerfileを使ってイメージをビルドします。
- ホストの3000番ポートをコンテナの3000番ポートにマッピングし、Webアプリケーションにアクセスできるようにします。
- ホストの./appディレクトリをコンテナの/usr/src/appにマウントすることで、ローカルでコードを変更すると即座にコンテナ内に反映されます(ホットリロードと組み合わせると便利)。
- 環境変数DATABASE_URLでデータベースへの接続情報を設定しています。ここでホスト名としてdb(dbサービス名)を指定できるのがDocker Composeのネットワーク機能の利点です。
- depends_on: – dbにより、dbサービスが起動準備完了するまでwebappサービスの起動を待ちます。
- dbサービス:
- postgres:14-alpineという公式イメージを使用します。
- db_dataという名前付きボリュームをコンテナの/var/lib/postgresql/data(PostgreSQLのデータディレクトリ)にマウントし、データベースのデータを永続化します。これにより、コンテナを停止・再作成してもデータは失われません。
- 環境変数でPostgreSQLのユーザー名、パスワード、データベース名を設定しています。
- volumes (トップレベル):
- db_dataという名前付きボリュームを定義しています。
このcompose.yamlファイルがあるディレクトリで docker compose up -d を実行すると、PostgreSQLコンテナとNode.jsアプリケーションコンテナが順次起動し、連携して動作するようになります。Webブラウザから http://localhost:3000 にアクセスすれば、アプリケーションの動作を確認できるでしょう。開発を終了する際は docker compose down を実行すれば、関連するコンテナやネットワークがクリーンアップされます。
このように、Docker Composeは実際の開発シナリオにおいて、複数サービスの定義、連携、データ管理を簡潔かつ効果的に行う手段を提供します 8。
4. DockerとDocker Composeの現在の動向
DockerとDocker Composeは、リリース以来、ソフトウェア開発の現場で広く採用され、進化を続けています。ここでは、これらの技術が現在どのように活用され、どのようなトレンドが見られるのかを見ていきましょう。
4.1. マイクロサービスアーキテクチャでの活用
マイクロサービスアーキテクチャは、大規模で複雑なアプリケーションを、独立してデプロイ可能な小さなサービスの集合体として構築する設計アプローチです。DockerとDocker Composeは、このアーキテクチャの実現と運用において中心的な役割を果たしています 1。
各マイクロサービスは、それぞれ独自のDockerコンテナとしてパッケージ化されます。これにより、サービスごとに異なる技術スタックやライブラリバージョンを使用でき、依存関係の衝突を避けることができます 2。Docker Composeは、これらの複数のマイクロサービスコンテナをローカル開発環境やテスト環境で簡単に定義し、一括で起動・連携させることを可能にします 14。例えば、ECサイトであれば、商品サービス、注文サービス、決済サービス、ユーザーサービスなどがそれぞれ別のコンテナとして動作し、Docker Composeによってそれらが協調して動く環境を構築できます。これにより、開発者は個々のサービスに集中しつつ、全体の連携も容易にテストできるようになります 14。
4.2. CI/CDパイプラインへの統合
CI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery または Continuous Deployment)は、ソフトウェアの変更を頻繁かつ確実にリリースするための自動化されたプラクティスです。DockerとDocker Composeは、このCI/CDパイプラインの効率化と信頼性向上に大きく貢献しています 1。
Dockerイメージは、アプリケーションとその実行環境を完全にカプセル化するため、ビルド、テスト、デプロイの各ステージで一貫した環境を提供します。これにより、「ビルドサーバーでは成功したのに、テスト環境では失敗する」といった問題を減らすことができます 2。CIサーバー(Jenkins, GitLab CI, GitHub Actionsなど)は、リポジトリへのコードプッシュをトリガーとして、Dockerfileを用いてDockerイメージをビルドし、そのイメージを使って自動テストを実行します。
Docker Composeは、特に統合テストのフェーズで役立ちます。複数のサービスが連携するアプリケーションの場合、compose.yamlファイルを使ってテスト環境に必要な全てのサービスコンテナ群をCIサーバー上で迅速に立ち上げ、テストを実行後、クリーンアップすることができます 14。これにより、より本番に近い環境でのテストが自動化され、リリースの品質向上に繋がります 24。
4.3. 開発環境の標準化と効率化
Docker Composeの最も普及しているユースケースの一つが、開発環境の標準化と効率化です 15。プロジェクトに参加する開発者全員が、compose.yamlファイルを共有することで、OSやローカル設定の違いに悩まされることなく、数コマンドで全く同じ開発環境を構築できます 10。
これにより、新しいメンバーがプロジェクトに参加する際のオンボーディング時間が大幅に短縮され、「私の環境では動かない」といった不毛なトラブルシューティングが減少します。また、データベースのバージョンやミドルウェアの設定など、環境に関する細かな情報をcompose.yamlに集約できるため、環境の再現性が高まり、開発者の生産性向上に直結します 14。ボリュームマウント機能を使えば、ローカルのコードエディタでソースコードを編集すると、その変更が即座に実行中のコンテナに反映されるため、迅速なイテレーション開発が可能です 27。
4.4. Docker Compose V2への移行と普及
Docker Composeは、バージョン1(docker-composeコマンド、スタンドアロンバイナリ)からバージョン2(docker composeコマンド、Docker CLIへのプラグインとして統合)へと進化しました。Docker社は2023年6月末をもってCompose V1のサポートを終了し、現在はCompose V2が標準となっています 9。
この移行は、ユーザーエクスペリエンスの向上とDockerエコシステム内での一貫性を目的としています。Compose V2は、Docker CLIとより緊密に統合され、コマンドの記述方法がスペース区切り(例: docker compose up)に変更されました。また、パフォーマンスの改善や新機能の追加も行われています 11。多くの開発現場では既にV2への移行が完了しており、新規にDocker Composeを学び始める場合は、V2のドキュメントやチュートリアルを参照することが推奨されます。Docker Desktopの設定でCompose V2をデフォルトで使用するように簡単に切り替えることも可能です 22。
これらの動向は、DockerとDocker Composeが単なるコンテナ実行ツールから、開発ライフサイクル全体を支える包括的なプラットフォームへと進化していることを示しています。特にDocker Composeは、開発者が複数のサービスからなる複雑なアプリケーションをローカルで容易に扱えるようにすることで、「シフトレフト」の考え方、つまり開発サイクルのより早い段階で統合テストや品質保証活動を行うことを可能にしています。これにより、問題の早期発見と修正が促され、結果として高品質なソフトウェアの迅速なリリースに貢献しています。
5. DockerとDocker Composeの今後の展開と将来性
コンテナ技術は現代のソフトウェア開発に不可欠な要素となり、DockerとDocker Composeはその中心的な役割を担い続けています。これらの技術が今後どのように進化し、どのような未来が予測されるのかを見ていきましょう。
5.1. Dockerの継続的な進化とそのエコシステム
Dockerプラットフォーム自体は、単にコンテナを動かすだけでなく、開発者の生産性向上やセキュリティ強化のための機能を拡充し続けています。
- Docker Desktopの機能強化: Docker Desktopは、WindowsやmacOS上でDockerを簡単に利用できるようにするためのアプリケーションですが、Kubernetes連携、拡張機能、GUIを通じたコンテナ管理など、機能が継続的に強化されています。
- セキュリティ機能の向上: Docker Scoutのようなツールが提供され、コンテナイメージの脆弱性スキャンやソフトウェアサプライチェーンのセキュリティ確保を支援しています 18。セキュリティはコンテナ運用において非常に重要な要素であり、Docker社もこの分野に注力しています。
- ビルド効率の改善: BuildKitのような次世代ビルドエンジンの採用により、Dockerイメージのビルド速度が向上し、キャッシュ効率も改善されています 18。これにより、CI/CDパイプラインの高速化や開発者の待ち時間削減に貢献しています。
- 新たなワークロードへの対応: AI/ML(人工知能/機械学習)モデルとその依存関係をコンテナ化し、再現性のあるトレーニング環境や推論環境を構築する事例が増えています 1。また、エッジコンピューティング環境での軽量なコンテナデプロイメントにもDockerが活用され始めています 1。
- 学習リソースの進化: Docker公式ドキュメントにはAI搭載のアシスタントが導入され、ユーザーが質問することで関連情報を効率的に得られるようになっています 29。これにより、初心者から上級者まで、学習のハードルが下がり、問題解決が迅速化されることが期待されます。
これらの進化は、Dockerが多様なユースケースに対応し、開発者エクスペリエンスを向上させ続けることで、コンテナ技術のデファクトスタンダードとしての地位をより強固なものにしていくことを示唆しています。
5.2. Docker Composeの役割: 開発と小規模環境での重要性
Docker Compose V2への移行が完了し、docker composeコマンドとしてDocker CLIにネイティブに統合されたことで、開発ワークフローにおけるその利便性はさらに向上しました 9。
ローカルでの開発、テスト環境の構築、CIパイプラインにおける一時的な環境セットアップ、そして小規模な本番環境でのアプリケーション実行において、Docker Composeのシンプルさと宣言的な設定ファイル(compose.yaml)による管理の容易さは、依然として大きな魅力です 9。Compose Specificationを通じて、キャッシュサポートの強化(cache_to)、ビルド時のSSHリソース利用、マルチアーキテクチャイメージのビルドサポートなど、開発者のニーズに応える新機能が継続的に追加されています 22。
大規模なオーケストレーションツールと比較して学習コストが低く、手軽に始められるため、特に中小規模のチームやプロジェクト、あるいは個人の開発者にとっては、今後も不可欠なツールであり続けるでしょう。
5.3. 大規模環境におけるKubernetesとの棲み分け
コンテナオーケストレーションの分野では、Kubernetesが業界標準としての地位を確立しています。Docker ComposeとKubernetesは、しばしば比較されますが、それぞれ得意とする領域が異なります。
- Docker Compose: 主に単一ホスト上での複数コンテナアプリケーションの定義と実行、開発環境のセットアップに最適です。設定がシンプルで、迅速に環境を立ち上げることができます。
- Kubernetes: 複数のホストマシン(物理または仮想)からなるクラスタ環境で、多数のコンテナを管理・運用するためのプラットフォームです。自動スケーリング、ローリングアップデート、自己修復機能、サービスディスカバリ、負荷分散など、本番環境での大規模かつ高可用なアプリケーション運用に必要な高度な機能を備えています 25。
一般的に、アプリケーションの規模が大きくなり、複雑な運用要件(高可用性、ゼロダウンタイムデプロイ、動的なスケーリングなど)が求められるようになると、Kubernetesへの移行が検討されます 31。しかし、Kubernetesは学習曲線が急であり、運用にも専門知識が必要となるため 33、全てのプロジェクトにとって最適な選択とは限りません。
Docker Composeは、Kubernetesを導入する前のステップとして、あるいはKubernetesが過剰スペックとなるような小規模な環境や開発フェーズにおいて、その価値を発揮し続けます。実際、Docker Composeで定義されたアプリケーション構成の考え方は、KubernetesのPodやServiceといった概念を理解する上での良い基礎となり得るため、Composeを学ぶことはKubernetesへのスムーズな移行にも繋がります。
5.4. 次世代コンテナオーケストレーションの動向
Kubernetesがコンテナオーケストレーションの主流である一方で、特定のニーズや環境に応じて他のツールも選択肢として存在します。例えば、AWSのECS (Elastic Container Service) やAzureのAKS (Azure Kubernetes Service) のようなクラウドプロバイダー独自のマネージドサービスは、各クラウドエコシステムとの親和性が高く、運用負荷を軽減できる場合があります 33。また、よりシンプルなオーケストレーションを求める場合にはDocker Swarm(Dockerネイティブのクラスタリング機能)、コンテナ以外のワークロードも統合管理したい場合にはNomadといったツールも注目されています 33。
しかし、DockerとKubernetesは2025年以降もコンテナ技術の中核であり続けると広く予測されています 25。コンテナ化技術の採用率は大企業を中心に今後も増加傾向にあり、90%以上の企業が2027年までにKubernetesを利用するとの予測もあります 25。
Docker Composeの将来性については、そのシンプルさと開発効率の高さから、特に開発者のローカル環境や小規模プロジェクトにおいては、引き続き重要な役割を担うと考えられます。「全てのプロジェクトにKubernetesが必要なわけではない」という現実があり、手軽さと機能性のバランスが取れたDocker Composeは、多くの開発者にとって価値あるツールであり続けるでしょう 31。
7. まとめ
本記事では、DockerとDocker Composeという、現代のソフトウェア開発において不可欠な二つのツールについて、その基本概念から具体的な使い方、両者の違い、そして現在の動向と将来性に至るまで、初学者の方にも分かりやすく解説してきました。
Dockerは、アプリケーションを軽量なコンテナにパッケージ化することで、環境の一貫性を保ち、ポータビリティを高め、開発からデプロイまでのプロセスを劇的に効率化するプラットフォームです。一方、Docker Composeは、複数のコンテナで構成されるアプリケーションをcompose.yamlという単一のファイルで定義し、一括で管理・実行できるようにすることで、特に開発環境の構築や複数サービス連携の複雑さを大幅に軽減するツールです。
これらの技術を習得することは、開発効率の向上、チーム内での環境標準化、そしてより迅速で信頼性の高いアプリケーションリリースの実現に直結します。コンテナ化の波は今後も広がり続け、DockerとDocker Composeの重要性はますます高まっていくでしょう。
この記事が、皆様の学習の一助となり、コンテナ技術活用の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。さらに理解を深めるためには、以下のステップに進むことをお勧めします。
- 公式ドキュメントの参照: DockerおよびDocker Composeの公式ドキュメントは、最も正確で最新の情報源です。チュートリアルやリファレンスが豊富に用意されています 7。Docker公式ドキュメントサイトにはAI搭載の質問応答アシスタントもあり、学習をサポートしてくれます 29。
- 実践を通じた学習: 実際にDockerをインストールし、簡単なWebアプリケーションをコンテナ化してみたり、compose.yamlファイルを作成して複数のサービスを連携させてみたりするなど、手を動かしながら学ぶことが最も効果的です。公式のチュートリアル(例: Docker Get Started 7, Docker Compose tutorial 9)も非常に役立ちます。
- ベストプラクティスの意識: Dockerfileの最適化、イメージサイズの削減、セキュリティの考慮、Docker Composeファイルの効果的な記述方法など、ベストプラクティスを意識することで、より効率的で安全なコンテナ運用が可能になります 18。
コンテナ技術の世界は奥深く、常に進化していますが、その基本をしっかりと押さえることで、開発者としてのスキルセットを大きく向上させることができるでしょう。
参考文献
引用文献
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- Must-Know Docker Use Cases for Developers in 2025 – Techstack Digital, 5月 21, 2025にアクセス、 https://techstackdigital.com/blog/top-docker-use-cases-every-software-developer-should-know-in-2025/
- Docker Tutorial: All You Need to Know – Incredibuild, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.incredibuild.com/blog/docker-101-a-comprehensive-tutorial-for-beginners
- Docker for Beginners: A Practical Guide to Containers – DataCamp, 5月 21, 2025にアクセス、 https://www.datacamp.com/tutorial/docker-tutorial
- Dockerとは?特徴やできることを初心者向けにわかりやすく解説, 5月 21, 2025にアクセス、 https://career.levtech.jp/guide/knowhow/article/680/
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- 初心者でもサクッとできるDocker Composeハンズオン | エンベーダー, 5月 21, 2025にアクセス、 https://envader.plus/article/327
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