1. はじめに:脳のスーパー栄養素、BDNF(脳由来神経栄養因子)とは?
私たちの脳は、日々新しいことを学び、記憶し、複雑な思考を行う驚くべき器官です。この脳の働きを陰で支える重要な物質の一つに、BDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor:脳由来神経栄養因子)があります。近年、このBDNFが脳の健康や機能向上に不可欠な役割を果たすことが明らかになり、「脳のスーパー栄養素」や「奇跡の物質」として注目を集めています。本記事では、このBDNFの正体と働き、そして私たちの生活の中でどのようにしてBDNFを増やし、脳の力を最大限に引き出すことができるのかを、国外の最新の研究文献を基に、わかりやすく解説していきます。


1.1. BDNFの正体:脳内で働く「成長因子」
BDNFとは、一体何なのでしょうか。BDNFは、神経細胞の生存、成長、成熟(分化)、そして維持を促進するタンパク質の一種です 1。1982年に発見されたこの物質は、特に神経栄養因子(ニューロトロフィン)と呼ばれるグループに属し、脳内の神経細胞にとって、まるで植物にとっての肥料のような役割を果たします 2。
BDNF遺伝子の指示に基づいて作られるこのタンパク質は、主に脳や脊髄に見られます 1。その最も重要な機能の一つは、学習や記憶といった脳の高次機能に不可欠な、神経細胞間の結合部(シナプス)における可塑的な変化、つまり柔軟な変化をサポートすることです 4。神経細胞が新しい情報に対応して変化し、適応していく能力、これがシナプス可塑性であり、BDNFはこのプロセスに深く関与しています。
興味深いことに、BDNFの発現は非常に厳密に調節されており、健康な人々の間でもそのレベルには大きな個人差が見られることが報告されています 5。これは、BDNFの量が固定されたものではなく、様々な内的・外的要因によって変動しうることを示唆しています。この変動性こそが、私たちが生活習慣などを通じてBDNFレベルに積極的に影響を与えることができる可能性を示しており、本記事で探求するテーマの核心となります。BDNFが単なる脳内化学物質ではなく、私たちの神経細胞を生かし、機能させるために積極的に働く生命維持タンパク質であることを理解することは、その重要性を認識する上で第一歩と言えるでしょう。
1.2. 脳のどこで、どのように働くのか?
BDNFは脳内の特定の場所で特に活発に働いています。主に、記憶形成に中心的な役割を果たす海馬、情動反応に関わる扁桃体、運動制御を司る小脳、そして思考や意思決定といった高度な認知機能を担う大脳皮質などで高濃度に検出されます 4。これらの領域は、私たちが日々経験すること、学ぶこと、感じることと密接に関連しており、BDNFがこれらの重要な精神活動を支えていることが伺えます。
BDNFがその機能を発揮する主要な場所は、神経細胞同士が情報をやり取りする接合部であるシナプスです 1。シナプスでは、細胞間のコミュニケーションが行われ、このコミュニケーションの効率や強度が変化することで学習や記憶が成立します。BDNFは、このシナプスの可塑性を調節し、学習や記憶のプロセスを円滑に進める手助けをしています 1。
BDNFの生成プロセスも興味深く、まず「プレプロBDNF」という前駆体の前駆体として合成され、次に「プロBDNF」という前駆体タンパク質に変化します。このプロBDNFがさらに細胞内または細胞外で切断されることによって、成熟した活性型のBDNF(mBDNF)が生成されます 4。神経活動に応じて放出されるのは、このプロBDNFと成熟BDNFの混合物です 4。
ここで特筆すべきは、プロBDNFと成熟BDNFが時に相反する作用を持つ可能性があるという点です 4。例えば、成熟BDNFが神経細胞の生存や成長を促進するのに対し、プロBDNFは特定の条件下で細胞死(アポトーシス)を引き起こす経路を活性化することが示唆されています 7。この二面性は、BDNFの機能が単純な量の問題だけでなく、そのプロセシングや成熟型と前駆体のバランスによっても精密に制御されていることを物語っています。したがって、「BDNFを増やす」という目標を考える際には、単に総量を増やすだけでなく、有益な効果をもたらす成熟BDNFの作用をいかに高めるかという視点も重要になるかもしれません。
さらに、BDNFは食事、飲水、体重をコントロールする脳領域にも存在し、これらの機能管理にも寄与している可能性が指摘されています 1。これは、脳の健康と代謝状態が、BDNFという共通のシグナル分子を介して相互に影響し合っている可能性を示唆しており、後のセクションで議論する運動や食事がBDNFに与える影響とも深く関連してきます。
2. 「運動ホルモン」としてのBDNF:運動が脳にもたらす魔法
運動が体に良いことは広く知られていますが、近年、運動が脳にもたらす恩恵、特にBDNFを介した効果が注目されています。運動時に活発に分泌されることから、BDNFは「運動ホルモン」とも呼ばれることがあります。このセクションでは、運動によってなぜBDNFが増えるのか、その驚くべき分子メカニズムと、どのような運動が効果的なのかを探ります。
2.1. なぜ運動でBDNFが増えるのか?驚きの分子メカニズム
運動、特に有酸素運動がBDNFの産生を刺激することは、多くの研究で示されています 10。では、具体的にどのような仕組みで運動が脳内のBDNFを増やすのでしょうか。その鍵を握るのが、運動中に体内で放出されるいくつかの分子です。
主要なメカニズムの一つは、神経細胞自体の活動亢進、脳血流の増加、そして末梢組織から放出される「エキサーカイン」と呼ばれる物質群によるシグナル伝達です 9。エキサーカインとは、運動(exercise)によって誘導されるサイトカインやその他のペプチドの総称です。
β-ヒドロキシ酪酸 (β-hydroxybutyrate, BHB):
長時間の運動後などに増加するケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)は、BDNF産生において重要な役割を果たします。BHBは、BDNF遺伝子の特定のプロモーター(特に活動依存性のプロモーターI)を活性化させることが報告されています 10。この活性化のメカニズムとして、BHBがヒストン脱アセチル化酵素(HDACs)、特にHDAC2とHDAC3の働きを阻害することが挙げられます 10。HDACは通常、遺伝子のスイッチをオフにする方向に働きますが、BHBがこれを抑えることで、BDNF遺伝子のスイッチがオンになりやすくなり、結果としてBDNFの産生が促進されるのです 11。マウスを用いた研究では、運動によって脳内のBHB濃度が上昇し、BDNFタンパク質のレベルも実際に増加することが確認されています 12。
FNDC5とイリシン (Irisin):
持久運動中には、FNDC5という分子が筋肉などから放出され、その分解産物であるイリシンが血流に乗って脳に到達します 13。イリシンは血液脳関門を通過する能力を持ち、脳内でBDNFの発現を増加させ、認知機能に関わる遺伝子を活性化させることが示されています 13。イリシンのレベルを人為的に上昇させるとBDNFが増加し、逆にイリシンレベルが低いマウスではBDNFも減少したという報告は、この経路の重要性を示しています 13。
その他のエキサーカイン (Other Exerkines):
運動によって放出されるエキサーカインはBHBやイリシンだけではありません。乳酸、カテプシンB、インスリン様成長因子1(IGF-1)、骨由来タンパク質のオステオカルシンなども、BDNFの発現を上方制御し、認知機能を高める可能性が示唆されています 15。これらの分子が複雑に連携し合い、運動による脳への恩恵をもたらしていると考えられます。
これらの分子メカニズムの発見は、運動が単に体力を向上させるだけでなく、特定の生化学的経路を通じて脳機能に直接影響を与えることを具体的に示しています。特にBHBやイリシンのような特定の分子がBDNF産生を仲介するという事実は、将来的に運動の効果を模倣するような治療法開発の可能性も示唆しています。例えば、運動が困難な人々に対して、これらの分子やその作用をターゲットとした薬剤やサプリメントが、脳の健康維持に役立つ日が来るかもしれません 11。
興味深いことに、BHBは運動時だけでなく、後述する断続的ファスティングやケトジェニックダイエットといった食事法によっても体内で産生されます 17。これは、異なる種類の健康的な生活習慣が、共通の生化学的経路(この場合はBHBを介したBDNF産生促進)を通じて脳に良い影響を与える可能性を示しており、ライフスタイル全体の最適化が重要であることを示唆しています。
2.2. どんな運動がBDNFを増やすのに効果的?有酸素運動、筋トレ、HIITを比較
BDNFを増やすためには、どのような種類の運動がより効果的なのでしょうか。研究は様々な運動様式がBDNFレベルに影響を与えることを示しており、それぞれに特徴があります。
有酸素運動 (Aerobic Exercise):
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、BDNFレベルを一貫して増加させることが多くの研究で示されています 6。ある研究者は、有酸素運動が脳にとって「ミラクルグロ(強力な肥料)」のようだと表現しており、BDNF産生を介して神経新生(新しい神経細胞の成長)や神経可塑性を促進します 13。
筋力トレーニング (Resistance Exercise – RE):
筋力トレーニングもまた、BDNFレベルを増加させるのに有効です。特に有酸素運動と組み合わせた場合(AERE – Combined Aerobic and Resistance Exercise)、その効果は顕著になることが報告されています 20。うつ病患者を対象とした研究では、AEREがBDNFレベルを最も効果的に上昇させ、次いで筋力トレーニング単独、ヨガが続きました 20。筋力トレーニングによるBDNF増加のメカニズムの一つとして、運動する筋肉自体からBDNFが産生され、血中に放出される可能性が示唆されています 22。これは、有酸素運動とは異なる経路でBDNFが増加する可能性を示しており、多様な運動を取り入れることの意義を支持します。ただし、安静時のBDNFレベルへの影響については、有酸素運動ほど一貫した結果が得られていないとするメタアナリシスもあります 19。
高強度インターバルトレーニング (High-Intensity Interval Training – HIIT):
短時間の高強度運動と短い休息(または低強度運動)を繰り返すHIITは、健康な成人において、中強度持続運動(MICT)よりも効果的にBDNFレベルを急性に増加させることが多いと報告されています 18。しかし、HIITによるBDNF反応は、運動プロトコル(強度、持続時間、休息間隔)、対象者の特性(年齢、体力レベル、健康状態)、測定タイミングなどによって変動が大きいことも指摘されています。一部の研究では、BDNFレベルに変化がなかったり、逆に減少したりするケースも報告されており 2、HIITの実施には注意が必要です。例えば、HIITと筋力トレーニングを組み合わせた研究でBDNFが減少したという報告もあり 2、過度なストレスが逆効果になる可能性も考えられます。
ヨガ (Yoga):
ヨガもまた、特にうつ病患者においてBDNFレベルを大幅に増加させる効果が示されています 20。これは、ヨガが身体的な運動要素だけでなく、呼吸法や瞑想といった精神的な要素も含むため、ストレス軽減などを通じてBDNF産生に好影響を与える可能性を示唆しています。
これらの研究結果を総合すると、有酸素運動がBDNF増加の「王道」である一方、筋力トレーニングやHIITも強力な選択肢となり得ることがわかります。特に、異なる種類の運動を組み合わせることで、相乗効果が期待できるかもしれません。例えば、AEREがうつ病患者に対して最も効果的であったという知見 20 は、その一例と言えるでしょう。個人の体力レベルや好み、目的に合わせて、これらの運動をバランス良く取り入れることが、BDNFを介した脳の健康増進に繋がると考えられます。
2.3. 最適な運動は?BDNFを効率よく増やす運動強度・時間・頻度
BDNFを効果的に増やすためには、どの程度の運動強度、時間、頻度が最適なのでしょうか。この点に関する研究も進んでおり、いくつかの指針が見えてきています。
運動強度 (Intensity):
一般的に、運動強度が高いほどBDNFの増加量は大きくなる傾向があります 18。ある研究では、最大心拍予備量(HRR)の80%といった高強度の運動が、BDNFを有意に上昇させる確率が最も高かったと報告されています 25。ただし、中程度の持続的な運動でもBDNFレベルを上昇させるのに十分であるという報告もあり 18、必ずしも極端な高強度運動が必須というわけではありません。
運動時間 (Duration):
運動時間が長いほど、BDNFの総放出量(BDNFインテグラル、時間経過に伴うBDNFの血中濃度曲線下面積として評価)が多くなる傾向が見られます 25。例えば、40分間の運動は20分間の運動と比較して、BDNFインテグラルが大きかったと報告されています 18。これは、運動直後のピーク値だけでなく、BDNFが脳に作用する総量が重要である可能性を示唆しています。たとえBDNFのピーク濃度が同じでも、より長時間にわたってBDNFが供給される方が、脳にとっては有益かもしれません。ただし、短時間(例えば20分程度)の有酸素運動でもBDNFレベルは上昇するため 13、忙しい人でも取り組みやすいと言えるでしょう。
運動頻度と習慣化 (Frequency and Habituation):
単発の運動でもBDNFは増加しますが、定期的な運動習慣はさらに効果を高めます。定期的な運動は、1回の運動セッションによるBDNF増加効果を増強し、さらに安静時のBDNFレベルもわずかながら上昇させる可能性があります 6。慢性的な有酸素運動は、基礎的なBDNFレベルを高めることが示唆されています 18。
METs(メッツ)の考え方 (Concept of METs):
運動の強度や量を客観的に評価する指標としてMETs(Metabolic Equivalents of Task:代謝当量)があります。1METは安静時の酸素摂取量に相当します。うつ病患者を対象とした研究では、BDNFレベルを増加させるための最適な運動量として、週あたり約610 METs-分が特定され、週1000 METs-分を超えるとBDNFの増加効果は頭打ちになる傾向が見られました 20。これは、例えば早歩き(約3-4 METs)を1日30分、週に5日行うと450-600 METs-分に相当し、適度な運動量で効果が期待できることを示しています。
個人差 (Individual Differences):
運動によるBDNF反応には個人差があることも重要です。性別が影響する可能性があり、女性が多い研究ではBDNFの変化が少ない傾向が見られたという報告があります 6。また、年齢も影響因子となり得ます。高齢者においては、運動介入によって若い世代よりもBDNFレベルが大きく増加する場合があることが示唆されています 26。これは、加齢に伴い低下しがちなBDNF産生能力が、運動によってより効果的に刺激される可能性を示しています。これらの個人差は、画一的な運動処方ではなく、個々の特性に合わせたアプローチの重要性を示唆しています。
最適な運動計画を立てる際には、これらの要素を総合的に考慮し、無理なく継続できるものを選ぶことが、BDNFを介した脳の健康を長期的にサポートする鍵となるでしょう。
3. BDNFがもたらす素晴らしい効果:脳力アップから心の安定、病気予防まで
BDNFレベルの増加は、私たちの脳と心に多岐にわたる恩恵をもたらすことが明らかになっています。学習能力や記憶力の向上といった認知機能の強化から、精神的な安定、さらには神経変性疾患の予防に至るまで、その効果は広範囲に及びます。
3.1. 頭が冴える!学習能力・記憶力の向上
BDNFが「脳の肥料」と称される主な理由の一つは、学習能力と記憶力をはじめとする認知機能を高める顕著な効果があるためです 5。BDNFは、神経細胞の成長を促す神経新生と、神経細胞間の結合を強化し効率化するシナプス可塑性という、二つの重要なプロセスを促進します 27。
具体的には、BDNFは特に記憶の中枢である海馬において、新しい情報を効率的に符号化し、長期的に保持する能力を高めます。研究によれば、BDNFレベルが高いほど、空間記憶(場所を覚える能力)、エピソード記憶(出来事を覚える能力)、認識記憶(見覚えがあるか判断する能力)、言語性記憶(言葉を覚える能力)といった様々な種類の記憶成績が向上し、海馬の機能も高まることが示されています 6。
この認知機能向上のメカニズムの核心は、BDNFがシナプス可塑性、特に長期増強(LTP)と呼ばれる現象をサポートすることにあります 4。LTPは、シナプスの伝達効率が持続的に向上する現象であり、学習と記憶の細胞レベルでの基盤と考えられています。BDNFは、このLTPを安定化させ、記憶の定着を促すことで、私たちの学習能力を高め、「頭を冴えさせる」効果を発揮するのです 4。実際に、BDNFレベルが低いと、様々な認知課題の成績が低下する傾向が見られることも報告されています 24。
3.2. 心の安定とポジティブ思考:うつ病や不安の軽減効果
BDNFは認知機能だけでなく、私たちの心の健康、特に気分や情動の調整にも深く関わっています。運動などによってBDNFレベルが上昇すると、うつ病の症状や不安感が軽減されることが多くの研究で示されています 10。
うつ病患者では、血中や脳内のBDNFレベルが低下していることが一貫して報告されており 17、このBDNFの減少がうつ病の発症や症状の重症度に関与している可能性が考えられています。慢性的なストレスはBDNFの発現を低下させ、これがうつ病の一因となることも示唆されています 17。
興味深いことに、運動による抗うつ効果の一部は、BDNFレベルの上昇によって説明できる可能性があります 13。さらに、一部の抗うつ薬もBDNFレベルを増加させる作用を持つことが知られており、これが薬理効果の一端を担っていると考えられています 13。このことから、BDNFはうつ病治療における重要なターゲット分子であり、運動などの非薬物療法の効果を測る上での生物学的マーカーとしての役割も期待されています 20。
このように、BDNFレベルと精神状態の間には密接な関連があり、BDNFレベルを高める生活習慣は、心の安定を保ち、ポジティブな思考を育む上で重要な役割を果たすと言えるでしょう。ただし、BDNFと精神疾患の関係は複雑であり、注意も必要です。例えば、双極性障害においては、BDNFレベルが単に高ければ良いというわけではなく、むしろ過剰なBDNFが病態に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています 29。双極性障害では、躁状態やうつ状態のエピソード時にBDNFレベルが低下し、気分が安定している寛解期には正常化するものの、病気の進行とともに全体的に低下する傾向があるとも報告されています 30。このことは、BDNFの役割が疾患によって異なり、単に量を増やすだけでなく、その適切な調節や安定性が重要であることを示唆しています。
3.3. 脳の老化を防ぐ?アルツハイマー病など神経変性疾患への希望
BDNFの神経保護作用は、加齢に伴う認知機能の低下や、アルツハイマー病(AD)やパーキンソン病(PD)といった神経変性疾患の予防・進行抑制という観点からも大きな期待が寄せられています 27。
アルツハイマー病の患者の脳では、BDNFレベルが著しく低下していることが知られており 3、このBDNFの枯渇が、ADの病態生理、例えばアミロイドβ(Aβ)プラークの蓄積やタウタンパク質のリン酸化亢進、神経炎症、神経細胞死といったプロセスに関与していると考えられています 3。逆に言えば、BDNFレベルを高く維持することは、これらのADの病理学的特徴に対抗し、神経細胞を保護する上で有益である可能性があります 32。
実際に、動物モデルを用いた研究では、運動によってADモデル動物の海馬や皮質でBDNFレベルが有意に増加し、認知機能の改善が見られることが報告されています 31。これは、ライフスタイルを通じてBDNFレベルを高めることが、ADの予防や初期段階での進行抑制に寄与する可能性を示唆しています。
このため、BDNFはADの治療標的としても注目されていますが、BDNFタンパク質自体を薬剤として脳内に送達することは、血液脳関門の存在などにより非常に難しいという課題があります 16。現在、ナノ粒子を用いた送達システムの開発など、この課題を克服するための研究が進められています 16。
現時点では、確立されたADの治療法としてBDNFを直接利用することは困難ですが、運動や健康的な食事といったライフスタイルの改善を通じて内因性のBDNFレベルを高めることは、脳の健康を維持し、神経変性疾患のリスクを低減するための現実的かつ効果的なアプローチと言えるでしょう。特に、疾患が進行する前にBDNFレベルを高く保つことは、神経細胞の抵抗力を高め、病理変化の進行を遅らせる上で、より大きな意味を持つと考えられます。
4. 運動だけじゃない!日常生活でBDNFを高める賢い習慣
BDNFレベルを高める方法は運動だけに限られません。私たちの日常生活における様々な習慣、特に食事、睡眠、ストレス管理、そして知的な活動や社会との関わりも、BDNFに大きな影響を与えることが分かってきました。これらの要素を意識的に取り入れることで、より総合的に脳の健康をサポートすることができます。
4.1. 食事の魔法:BDNFを増やす食べ物と栄養戦略
「何を食べるか」は、私たちの脳の健康、そしてBDNFレベルに直接的な影響を与えます。特定の食品や栄養素、食事パターンがBDNFの産生を促進したり、その働きをサポートしたりすることが研究で示されています。
オメガ3脂肪酸 (Omega-3 Fatty Acids):
青魚(サケ、サバ、イワシなど)、亜麻仁油、チアシード、くるみ、そして藻類由来の油などに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、特にDHA(ドコサヘキサエン酸)は、BDNFレベルの維持や向上に深く関与していると考えられています 17。オメガ3脂肪酸は神経細胞膜の構成成分であり、脳機能全般をサポートしますが、脳損傷後のBDNFレベル維持にも役立つ可能性が示唆されています 37。
ポリフェノールと抗酸化食品 (Polyphenols and Antioxidant Foods):
植物に含まれるポリフェノールや抗酸化物質は、BDNF産生を促し、脳を酸化ストレスから保護する働きがあります。
- クルクミン: ウコン(ターメリック)の主成分であるクルクミンは、BDNFレベルを高め、脳の炎症を抑える効果が報告されています 17。吸収率を高めるために、黒コショウや脂肪分と一緒に摂取すると良いとされています 34。
- ブルーベリー: アントシアニンなどのポリフェノールが豊富で、BDNFの活性化を助けます 17。特に野生種や有機栽培のものが推奨されます 34。
- 緑茶: カテキン(特にEGCG)が豊富で、BDNF産生を促進する効果が期待されます 17。
- 赤ブドウ・レスベラトロール: 赤ブドウの皮や赤ワインに含まれるレスベラトロールは、神経保護作用があり、BDNFレベルを高める可能性が示されています 27。
- ダークチョコレート: カカオ含有率の高いダークチョコレートに含まれるフラボノイドなどの植物栄養素が、BDNFを増加させると言われています 27。
- コーヒー: カフェインがBDNFレベルを増加させる可能性が指摘されています 17。ただし、品質の良いものを選ぶことが推奨されます 34。
断続的ファスティングとケトジェニックダイエット (Intermittent Fasting and Ketogenic Diet):
一定時間食事を摂らない断続的ファスティングや、炭水化物を極力制限し脂質を主なエネルギー源とするケトジェニックダイエットは、体内でケトン体(特にβ-ヒドロキシ酪酸、BHB)の産生を促します 27。このBHBは、前述の通り運動によっても産生され、BDNF遺伝子の発現を誘導する働きがあります 11。つまり、これらの食事法は運動と同様のメカニズムでBDNFレベルを高める可能性があり、代謝状態が脳のBDNF産生に重要なシグナルとなることを示しています。カロリー制限全般もBDNF増加と関連付けられています 27。
その他 (Others):
- 食物繊維と腸内環境: 野菜、果物、全粒穀物などに豊富な食物繊維は、健康な腸内マイクロバイオーム(腸内細菌叢)を育みます。この健康な腸内環境が、BDNFの産生を間接的に促進することが示唆されています 38。これは「腸脳相関」の一環であり、腸の健康が脳の健康に直結することを示しています。
- 大豆製品: 有機栽培の全粒大豆や発酵大豆製品(納豆、味噌など)もBDNFに良い影響を与える可能性があります 34。
- 卵: 特に放し飼いの鶏の卵に含まれるDHAがBDNFレベル向上に貢献すると考えられます 34。
- オリーブオイル: コールドプレス製法のエキストラバージンオリーブオイルは、ポリフェノールを豊富に含み、BDNFに良い影響を与える可能性があります 34。
- マグネシウム: 緑黄色野菜、ナッツ類、種実類に多く含まれるマグネシウムは、シナプス可塑性を高め、BDNFを増強する働きがあるとされています 27。
これらの食品や食事戦略をバランス良く取り入れることで、BDNFレベルの向上と脳の健康維持に貢献することが期待できます。
4.2. 睡眠、日光、リラックス:見過ごせないBDNFアップの秘訣
食事や運動と並んで、睡眠、日光への曝露、そしてストレス管理といった生活習慣もBDNFレベルに影響を与える重要な要素です。これらはしばしば見過ごされがちですが、脳の健康を維持するためには欠かせません。
質の高い睡眠 (Quality Sleep):
質の高い、十分な睡眠はBDNF産生に不可欠です。睡眠不足、不規則な睡眠スケジュール、睡眠の質の低下は、BDNFレベルを減少させ、認知機能の低下や精神的な不調のリスクを高める可能性があります 27。興味深いことに、BDNFと睡眠の関係は双方向的である可能性が示唆されています。つまり、睡眠がBDNFレベルに影響を与えるだけでなく、BDNF自体も睡眠パターン、特にノンレム睡眠(NREM)とレム睡眠(REM)のバランスや、徐波睡眠(デルタ波)の調節に関与している可能性があるのです 28。この複雑な相互作用は、質の高い睡眠を確保することが、BDNFを介した脳機能の最適化にいかに重要であるかを物語っています。
日光浴とビタミンD (Sun Exposure and Vitamin D):
適度な日光浴は、体内でビタミンDの合成を促します。このビタミンDがBDNFレベルと関連している可能性が指摘されています 27。いくつかの研究では、血中のビタミンD濃度が高いほどBDNFレベルも高いという正の相関が報告されています 39。太陽光自体がBDNF放出を刺激するという説もあり、ビタミンDを介した間接的な効果と直接的な効果の両方が考えられます 27。ただし、この関連性については、研究対象の年齢層や健康状態によって結果が一貫しない場合もあります。例えば、特定の小児集団を対象とした研究では、ビタミンDとBDNFの直接的な関連は見られなかったという報告もあります 41。それでも、全体的な傾向としては、適度な日光浴と十分なビタミンDレベルの維持が、BDNF産生に好影響を与える可能性が高いと言えるでしょう。
ストレス管理 (Stress Management):
慢性的なストレスは、BDNFレベルを著しく低下させることが知られています 27。ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な分泌などが、BDNFの産生を抑制し、神経細胞の萎縮や機能低下を引き起こす可能性があります。したがって、日常生活において効果的にストレスを管理することは、BDNFレベルを維持し、脳の健康を守る上で非常に重要です。瞑想、マインドフルネス、ヨガ、深呼吸、自然の中で過ごすこと、趣味に没頭すること、笑うことなどは、ストレスを軽減し、BDNFレベルを健全に保つのに役立つとされています 27。
寒冷暴露 (Cold Exposure):
短時間の寒冷暴露、例えば冷水シャワーやアイスバスなどが、BDNF産生を刺激する可能性が示唆されています 27。これは、寒冷刺激が体にとって一種の軽度なストレスとなり、それに対する適応反応として神経経路が強化され、BDNFが放出されるというメカニズムが考えられています。
これらの生活習慣は、それぞれが独立してBDNFに影響を与えるだけでなく、相互に連携し合って脳の健康をサポートします。例えば、質の高い睡眠はストレス耐性を高め、日中の活動性を向上させることで、運動や知的な活動への意欲を高めることにも繋がります。
4.3. 脳を刺激する!知的活動と社会とのつながり
脳は、使えば使うほどその機能が維持・向上する器官です。知的な活動や他者との豊かな関わりは、脳に良い刺激を与え、BDNFの産生を促す上で重要な役割を果たします。
知的活動 (Intellectual Activity/Mental Stimulation):
新しいことを学ぶ、パズルを解く、読書をする、楽器を演奏する、新しい言語を習得するといった知的な活動は、脳の神経回路を活発化させ、BDNFの発現を上方制御します 27。BDNFの分泌自体が神経活動に依存しているため(「活動依存性分泌」と呼ばれる)24、脳を積極的に使うことは、BDNFを介した神経可塑性やネットワークの維持・成長を促す直接的な手段となります。この「活動依存性」という原則は、身体活動だけでなく、精神活動や豊かな感覚入力、さらには社会的な相互作用によっても神経細胞が刺激され、BDNFの必要性が高まることを意味しています 17。
社会的なつながり (Social Interaction):
他者との良好な社会的関係や、情緒的なサポートを受けることは、BDNFレベルを高め、精神的な安定や認知機能の維持に貢献する可能性が示されています 27。特に、家族からの機能的なサポート、つまり人間関係の質(愛情、共感、励ましなど)が、単に交流の頻度や人数といった構造的なサポートよりも、認知機能やBDNFレベルにとって重要である可能性が示唆されています 43。ある研究では、情緒的なサポートを常に得られると感じている人は、BDNFレベルが高く、認知症発症リスクが低いことが報告されています 42。
これは、表面的に多くの人と繋がっていることよりも、少数でも心から信頼し合える、質の高い人間関係を持つことが、脳の健康にとってはより有益であることを示唆しています。温かく、支援的な人間関係は、ストレスを軽減し、安心感をもたらすことで、BDNFが産生されやすい脳内環境を作り出すのに役立つと考えられます。
このように、知的好奇心を満たし、社会との繋がりを大切にすることもまた、BDNFレベルを高め、生涯にわたる脳の健康を育むための重要な生活習慣と言えるでしょう。
5. まとめ:BDNFを賢く活用し、生涯にわたる脳の健康を育む
これまで見てきたように、BDNF(脳由来神経栄養因子)は、私たちの脳の健康と機能にとって極めて重要な役割を担う「奇跡の物質」です。学習能力や記憶力の向上、精神的な安定、そして神経変性疾患の予防に至るまで、その恩恵は多岐にわたります。そして何よりも心強いのは、このBDNFのレベルが、私たちの日常的な努力、つまり運動、食事、睡眠、ストレス管理、知的活動、社会との関わりといった生活習慣によって、積極的に高められる可能性があるという事実です。
5.1. BDNFサイクルの好循環:今日からできる実践アドバイス
BDNFを高めるための様々な方法は、それぞれが独立して効果を発揮するだけでなく、相互に影響し合い、好循環を生み出す可能性があります。例えば、定期的な運動はBDNFを直接的に増やすだけでなく、睡眠の質を改善し、ストレスを軽減する効果も期待できます 27。質の高い睡眠は、それ自体がBDNF産生をサポートし、日中の集中力や活動意欲を高めます。バランスの取れた食事は、BDNF産生に必要な栄養素を供給し、腸内環境を整えることで間接的にもBDNFに好影響を与えます 38。
知的な活動や社会との良好なつながりは、脳を活性化させ、BDNFの「活動依存性」分泌を促します 17。そして、これらの活動によって気分が向上し、BDNFレベルが上昇すると、さらに新しいことに挑戦したり、他者と積極的に関わったりする意欲が湧き、さらなるBDNF増加へと繋がるというポジティブなフィードバックループが形成されることも考えられます 17。
今日からできる実践アドバイスとしては、以下の点を意識することが挙げられます。
- 運動の習慣化: 有酸素運動、筋力トレーニング、HIITなど、自分に合った運動を無理なく継続する。特に、少し息が上がる程度の中~高強度の運動を週に数回、合計で150分以上(METsで言えば週600 METs-分程度)を目指すのが良いでしょう 20。
- BDNFを意識した食事: 青魚、緑黄色野菜、果物、ナッツ類、全粒穀物、良質な油(オリーブオイルなど)、発酵食品などを積極的に摂取する。特にオメガ3脂肪酸、ポリフェノール、食物繊維を意識しましょう 34。
- 質の高い睡眠の確保: 毎日同じ時間に寝起きするなど規則正しい生活を送り、7~9時間の十分な睡眠時間を確保する 27。
- ストレスマネジメント: 瞑想、ヨガ、趣味、自然とのふれあいなど、自分に合った方法でストレスを効果的に解消する 27。
- 脳への刺激: 新しいことを学ぶ、読書をする、パズルを解くなど、知的好奇心を満たす活動を日常に取り入れる。また、家族や友人との温かいコミュニケーションを大切にする 27。
これらの習慣を一つひとつ丁寧に見直し、生活に取り入れていくことが、BDNFレベルを高め、生涯にわたる脳の健康を育むための賢明なアプローチと言えるでしょう。
5.2. BDNF研究の未来と、個別化された脳の健康戦略への展望
BDNFに関する研究は日進月歩で進んでおり、その治療応用の可能性も探求されています 16。しかし同時に、BDNFの作用は非常に複雑であり、その効果には個人差が大きいことも明らかになってきました。
例えば、BDNF遺伝子にはVal66Metと呼ばれる一般的な遺伝子多型(個人差)が存在し、この多型を持つ人はBDNFの分泌や機能が影響を受け、特定の精神疾患のリスクや認知機能に違いが見られることが報告されています 1。また、運動に対するBDNFの反応も、性別や年齢によって異なる可能性が示唆されています 6。さらに、うつ病にはBDNF増加が有益である一方、双極性障害ではBDNFの過剰な上昇が問題となる可能性も指摘されており 29、疾患によって最適なBDNFレベルが異なることも考えられます。
これらの事実は、「誰にとっても同じ方法でBDNFを増やせば良い」という単純な話ではないことを示しています。将来的には、個人の遺伝的背景、年齢、性別、健康状態、さらには生活習慣などを総合的に考慮し、その人に最も適したBDNF最適化戦略、つまり「個別化された脳の健康戦略」が提案されるようになるかもしれません 29。
BDNFの全貌解明と、それを活用した脳の健康増進法の確立には、まだ多くの研究が必要です。しかし、現時点で分かっている情報を基に、日々の生活習慣を見直し、BDNFを意識した生活を送ることは、間違いなく私たちの脳にとって大きな財産となるでしょう。この記事が、読者の皆様が自らの脳の可能性を最大限に引き出すための一助となれば幸いです。
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