1. はじめに
本記事の目的と対象読者
本記事は、IT現場で働く技術者やマネージャー、特にISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)について学び始めた初学者を対象としています。ISMSの基本的な概念から、IT現場での実践方法、そしてビジネスにおける重要性までを、国内外の情報を参照しつつ、わかりやすく解説することを目的とします。読者がISMSの知識を深め、日々の業務に活かせるようになることを目指します。
現代のIT環境における情報セキュリティの重要性概観
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展、クラウドサービスの普及、リモートワークの常態化など、IT利用環境は急速に変化しています。これに伴い、サイバー攻撃の巧妙化・高度化、内部不正のリスク増大など、情報セキュリティの脅威はますます多様化・深刻化しています 1。情報漏洩やシステムダウンは、企業の経済的損失だけでなく、社会的信用の失墜、法的責任の追及、事業継続の危機に直結します 3。このような背景から、組織的な情報セキュリティ対策の確立と運用が、あらゆる企業にとって喫緊の課題となっています。
現代のIT環境は、相互に接続されたデジタルシステムへの依存度が高まっているという特徴があります。クラウドサービス、IoTデバイス、リモートアクセスソリューションなどが複雑に連携し、ビジネスプロセスを支えています。このような環境では、一部分野でのセキュリティ障害が、組織全体、さらにはサプライチェーン全体に連鎖的な悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ある取引先企業がサイバー攻撃を受け、その影響で自社の生産ラインが停止するといった事態も現実に発生しています 4。これは、個別の技術的対策だけでは不十分であり、組織全体を網羅する包括的なセキュリティフレームワークの戦略的重要性が高まっていることを示しています。ISMSは、まさにこのようなシステム全体の視点からリスクを管理するための仕組みを提供するものです 1。
2. ISMSとは何か?基本を理解する
ISMSの定義と目的
ISMS (Information Security Management System) の略称と基本的な意味
ISMSは「Information Security Management System」の略称です 1。日本語では「情報セキュリティマネジメントシステム」と訳されます。これは、組織が保有する情報資産のセキュリティを管理し、維持するための体系的な仕組み(フレームワーク)やアプローチ全体を指します 1。具体的には、情報セキュリティに関する方針、プロセス、手順、組織構造、さらには関連するソフトウェアやハードウェアまでを含む概念です。ISMSの目的は、単に技術的な対策を導入することに留まらず、組織の目標達成のために情報セキュリティに関するリスクを適切に管理することにあります 1。
ISMSは、インシデント発生後に対応するという受動的なアプローチではなく、基本的にリスクを未然に防ぐための能動的なリスクマネジメントの考え方に基づいています。もちろん、インシデント対応もISMSの重要な構成要素の一つですが、その中核となる哲学は、インシデントが発生する前に潜在的なリスクを予測し、評価し、軽減することにあります。ISMSの構築プロセスにはリスクアセスメントが不可欠であり 5、これはインシデント発生前に脅威や脆弱性を特定する活動です 7。また、ISMSの中心的な考え方であるPDCAサイクルも、計画と継続的な改善を重視しており、これらはすべて能動的な姿勢を示すものです 6。
組織の情報を守るためのルールや仕組み
ISMSは、顧客情報、技術情報、財務情報、個人情報など、組織にとって価値のある様々な情報資産を、漏洩、改ざん、破壊、利用不能といった脅威から保護するための社内ルールや管理体制、運用手順を整備し、継続的に改善していく活動です 5。ここで言う「情報を守る」とは、具体的には後述する情報セキュリティの3要素(機密性、完全性、可用性)を維持することを意味します。
情報セキュリティの基本原則:CIAトライアドと7要素
機密性 (Confidentiality)、完全性 (Integrity)、可用性 (Availability) の解説
情報セキュリティを考える上で最も基本的な原則として、「機密性」「完全性」「可用性」の3つの要素があり、これらの頭文字を取って「CIAトライアド」と呼ばれます。
- 機密性 (Confidentiality): 認可された者だけが情報にアクセスできることを確実にすることです。「見てはいけない人に見られない状態」と言い換えられます 2。具体的な対策例としては、アクセス権限の適切な設定や管理、データの暗号化などが挙げられます 11。
- 完全性 (Integrity): 情報が正確かつ完全であり、改ざん・破壊されていない状態を維持することです。「情報が正確でちゃんとした状態」と表現できます 2。対策例としては、変更履歴の管理、定期的なバックアップ、改ざん検知システムの導入などがあります 11。
- 可用性 (Availability): 認可された者が必要な時に情報や情報システムにアクセスし、利用できることを確実にすることです。「見ても良い人が見られる状態」を指します 2。システムの冗長化、災害対策、定期的なバックアップなどが対策として考えられます 2。
ISMSでは、これら3つの要素をバランス良く維持・管理することが求められます 2。
真正性、責任追跡性、否認防止、信頼性 (Authenticity, Accountability, Non-repudiation, Reliability)
CIAの3要素に加え、近年のIT環境の複雑化に伴い、以下の4つの要素も情報セキュリティを確保する上で重要視されています 2。
- 真正性 (Authenticity): 情報の利用者や情報源が主張通りであることを確実にすることです。なりすましを防止し、情報が正当なものであることを保証します 2。
- 責任追跡性 (Accountability): ある操作や事象が誰によって(または何によって)行われたのかを追跡できることです。ログの記録などがこれにあたります 2。
- 否認防止 (Non-repudiation): ある操作を行った者が、後になってその事実を否認できないように証明できることです。電子署名などが活用されます 2。
- 信頼性 (Reliability): 情報システムが意図した通りに一貫して動作し、期待される結果を提供することです。システムの安定稼働が求められます 2。
CIAトライアドから7要素への拡張は、ITシステムの複雑化と脅威の性質の変化を反映しています。CIAがデータ自体の基本的な状態をカバーするのに対し、追加された4要素は、システム内およびシステム間の相互作用、トランザクション、運用上の完全性といった側面に対応します。これらは、現代のITで一般的な分散型アーキテクチャやサービス指向アーキテクチャにおいて極めて重要です。IT専門家にとって、これはセキュリティの考慮事項が、保存データや転送中のデータだけでなく、ユーザーIDの正当性、システムの挙動、トランザクションの証拠保全にまで及ぶ必要があることを意味しています。この7要素への拡張は、IT専門家が今日直面している複雑な相互作用を安全に管理するという課題に、ISMSがより適切に対応できるようになったことを示しています。
ISMSと関連規格:ISO/IEC 27001とJIS Q 27001
国際規格ISO/IEC 27001の概要と役割
ISO/IEC 27001は、ISMSを構築・運用し、認証を取得するための要求事項を定めた国際規格です 1。この規格は、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)によって策定されました。組織が情報セキュリティリスクを特定し、適切な管理策を導入・維持し、継続的に改善していくための枠組みを提供します。特定の技術や製品を推奨するものではなく、どのような業種・規模の組織にも適用可能なマネジメントシステム規格である点が特徴です 9。最新版はISO/IEC 27001:2022であり、認証を取得している組織は新しい規格への移行が求められています(移行期限は2025年10月31日)9。
国内規格JIS Q 27001との関係
JIS Q 27001は、国際規格であるISO/IEC 27001を日本語に翻訳し、日本の国家規格(日本産業規格)としたものです 1。その内容はISO/IEC 27001と基本的に同一であり、日本国内でISMS認証を取得する際には、このJIS Q 27001が認証基準として用いられます 12。最新版はJIS Q 27001:2023であり、これはISO/IEC 27001:2022に対応しています 9。
JIS Q 27001がISO/IEC 27001の直接的な翻訳として存在することは、日本が情報セキュリティ分野においてグローバルスタンダードを重視していることの現れです。IT専門家にとって、これはISMSに関連するスキルや認証が国際的に認知され、通用することを意味し、キャリアの流動性を高めます。また、日本企業にとっては、国際規格への準拠が海外の取引先や顧客との信頼関係構築を容易にし、国際的なビジネス展開を後押しする要因となります 3。したがって、JIS Q 27001とISO/IEC 27001の関係は、単なる技術的な整合性の問題ではなく、日本の情報セキュリティ実務とビジネスを世界に繋ぐ架け橋としての意味合いを持っています。
ISMS適合性評価制度と認証取得の意義
第三者認証制度の概要
ISMS適合性評価制度は、組織が構築・運用しているISMSが、JIS Q 27001(ISO/IEC 27001)の要求事項に適合していることを、公平な第三者である認証機関が審査し、証明する制度です 1。認証を取得することで、組織は自社の情報セキュリティ対策が国際的な基準を満たしていることを客観的に示すことができます 1。この認証は一度取得すれば永続するものではなく、その有効性を維持するためには、定期的な維持審査と数年ごとの更新審査を受ける必要があります 5。
JIPDECの役割
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、日本国内におけるISMS適合性評価制度の運営において中心的な役割を果たしてきました。制度開始当初より、認定機関としての機能を担い、制度の普及と信頼性確保に貢献しています 12。現在は、JIPDECから独立した情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)が認定業務を行っていますが、JIPDECはプライバシーマーク制度との連携や、情報セキュリティに関する啓発活動などを通じて、引き続き日本の情報社会の健全な発展に寄与しています。認定機関は、認証機関が審査を行う能力があるかを認定し、制度全体の信頼性を維持する重要な役割を担っています 6。
ISMS適合性評価制度は、認定機関が認証機関を認定し、その認証機関が組織のISMSを審査・認証するという多層的な構造になっています。さらに、審査員の能力を認証する要員認証機関も存在します 6。このような階層構造は、認証プロセスの客観性、審査員の力量、そして発行される認証の国際的な通用性を担保するために設計されています。この厳格なプロセスは、組織にとっては負担となる側面もありますが、同時に認証そのものに高い価値と信頼性を与え、ステークホルダーからの評価を高める要因となっています。つまり、制度の複雑さは、認証の信頼性を支えるための意図的な設計と言えます。
Pマーク(プライバシーマーク)との違い
ISMSとPマーク(プライバシーマーク制度)は、どちらも情報管理に関する認証制度ですが、その保護対象、準拠規格、主な目的、国際通用性において明確な違いがあります 1。
- 保護対象:
- ISMS:組織が保有する全ての情報資産(個人情報、企業秘密、技術情報、財務情報など)が対象です 1。
- Pマーク:個人情報の保護に特化しています 1。
- 準拠規格:
- ISMS:国際規格であるISO/IEC 27001(及びその国内規格であるJIS Q 27001)に準拠します 1。
- Pマーク:日本のJIS Q 15001(個人情報保護マネジメントシステム-要求事項)に準拠します 17。
- 主な目的:
- ISMS:情報セキュリティ全般のリスクマネジメント体制を構築・運用し、情報の機密性・完全性・可用性を維持することを目的とします。
- Pマーク:個人情報保護法への準拠を確実にし、個人情報の適切な取り扱い体制を確立・運用していることを証明することを目的とします。
- 国際通用性:
- ISMS:国際規格に基づいているため、認証は国際的に通用します 10。
- Pマーク:日本国内の制度であり、国際的な通用性は限定的です 10。
これらの違いを明確に理解することは、特にIT専門家にとって重要です。多くの組織、特に大量の個人データとその他の機密情報を扱う組織は、両方の認証を取得することを選択する場合があります。それぞれの認証の焦点を理解することは、認証取得に関する戦略的な意思決定に不可欠です。
表1: ISMSとPマークの比較
比較項目 | ISMS (ISO/IEC 27001) | Pマーク (JIS Q 15001) |
保護対象 | 組織の全ての情報資産(個人情報を含む)1 | 個人情報 1 |
準拠規格 | ISO/IEC 27001 (JIS Q 27001) 1 | JIS Q 15001 17 |
主な目的 | 情報セキュリティ全般のリスクマネジメント体制の構築・運用 | 個人情報保護法への準拠と適切な個人情報取り扱い体制の証明 |
国際通用性 | あり 10 | 日本国内のみ 10 |
審査機関の種類 | 認定された認証機関 | 指定された審査機関 |
3. なぜIT現場でISMSが必須なのか?ビジネス上の重要性
情報セキュリティリスクの低減とインシデント発生時の被害最小化
ISMSの導入・運用は、組織的なリスクアセスメントに基づき、技術的・物理的・人的・組織的な管理策をバランスよく講じることを意味します 2。これにより、不正アクセス、マルウェア感染、情報漏洩、サービス停止といった様々な情報セキュリティインシデントの発生確率を効果的に低減させることが期待できます 1。万が一、インシデントが発生した場合でも、事前に準備された対応計画や体制により、被害を最小限に抑え、迅速な復旧を可能にします 3。実際に、ランサムウェア攻撃による工場停止 4 や、USBメモリの紛失による大規模な個人情報漏洩 4 など、対策の不備が甚大な被害に繋がるケースが後を絶ちません。ISMSは、これらのリスクに対する組織的な対応能力を強化します。
ISMSを導入し運用する過程で、セキュリティが単なる後付けの機能や特定の技術チームだけの責任ではなく、全てのITプロセスと事業運営に不可欠な要素として組み込まれるようになります。これは「セキュリティバイデザイン」や「セキュリティバイデフォルト」といった考え方を組織文化として育むことに繋がります。ISMSは組織全体にわたる方針、手順、責任体制の明確化を求め 1、様々な資産やプロセスに対するリスクアセスメントを要求します 7。ISO/IEC 27001の附属書Aの管理策は、システム開発(例:A.8.25 セキュリティに配慮した開発のライフサイクル 19)、資産管理、アクセス制御など、多岐にわたる領域をカバーしています 20。このように、セキュリティに関する考慮事項を関連する全てのプロセスに体系的に統合することで、より能動的なセキュリティ意識が醸成され、結果としてより強靭なシステムと実践が実現されるのです。
顧客・取引先からの信頼獲得とブランドイメージ向上
ISMS認証は、組織が情報セキュリティに対して真摯に取り組み、国際基準を満たした管理体制を構築・運用していることの客観的な証明となります 1。顧客や取引先は、自社の重要な情報を預ける相手として、セキュリティレベルの高い企業を選定する傾向が強まっています。実際に、多くの企業が顧客からの要求や信頼獲得を目的としてISMS認証を取得しています 1。認証取得を公表することで、企業の信頼性やブランドイメージが向上し、市場における競争優位性を確立することにも繋がります 1。例えば、ある情報通信業の企業は、ISMS認証取得が顧客からの信頼に直結し、新たな案件獲得に繋がったと報告しています 21。
特にITセクターのような、企業間でのデータ交換やシステム連携が頻繁に行われるB2Bの関係においては、ISMS認証がセキュリティ保証に関する「共通言語」あるいは「信頼の基盤」として機能します。これは、取引先や顧客にとって、相手企業のセキュリティ体制を評価する際のデューデリジェンス(適正評価手続き)を簡素化する効果があります。個々の潜在的なパートナー企業に対して詳細なセキュリティ監査を実施するのは時間とコストがかかりますが、ISMS認証があれば、多くの一般的なセキュリティ懸念事項が既に国際基準に基づいて対処されているという、第三者によって検証された保証が得られます。これにより、ビジネス関係の構築における摩擦が軽減され、協力関係の迅速な開始が可能となり、単なるブランドイメージの向上を超えた競争上の差別化要因となり得ます。
法令遵守(コンプライアンス)体制の強化
ISMSは、個人情報保護法、サイバーセキュリティ基本法、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)など、情報セキュリティに関連する様々な法規制や契約上の要求事項を網羅的に把握し、それらを遵守するための体系的な管理の枠組みを提供します 6。JIS Q 27001の要求事項には、法的及び契約上の要求事項を特定し、それらを遵守することが明確に含まれています(例:附属書A A.5.31 法令、規制及び契約上の要求事項 19)。ISMSの運用を通じて、関連法規の変更にも継続的に対応し、コンプライアンス違反のリスクを低減することができます 16。これは、罰則を回避するという側面だけでなく、企業が社会的責任を果たす上でも極めて重要です。
ISMSの導入・運用は、法的および規制上のコンプライアンスに関するデューデリジェンス(相当な注意)の監査可能な証跡を提供します。方針書、リスクアセスメント報告書、内部監査報告書といった一連の文書は 5、認証監査に合格するためだけでなく、万が一の調査や法的紛争の際に当局に対してコンプライアンスを実証する上で非常に価値があります。これにより、罰則の軽減や風評被害の抑制に繋がる可能性があります 16。ISMSによって整備されるこれらの記録は、組織がセキュリティとコンプライアンスに対して体系的に取り組んできたことの具体的な証拠となり、単に法律の条文を満たす以上の意味を持ちます。
事業継続性の確保(BCP/DRへの貢献)
ISMSは、情報システムの障害、自然災害、サイバー攻撃など、事業継続を脅かす様々なリスクを考慮し、それらに対する対策を講じることを要求します。特に情報セキュリティの三要素の一つである「可用性」の確保は、BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)と密接に関連しています 2。ISO/IEC 27001の管理策には、情報セキュリティインシデント管理の計画と準備(A.5.24 19)や、情報通信技術の事業継続のための計画、導入、維持及び試験(旧管理策A.17、新規格では組織的管理策や技術的管理策に統合・関連)などが含まれており、これらはBCP/DRの取り組みを直接的に支援します。例えば、データセンターの冗長化やDRサイトの構築により、自然災害時にもサービス停止を最小限に抑え、ISMSの可用性要件を満たしたIT企業の事例があります 23。ISMSの枠組みの中でBCP/DRを整備・運用することで、インシデント発生時の迅速な事業復旧とサービス継続が可能となり、結果として財務的損失や顧客離れを防ぐことに貢献します 23。
BCP/DRをISMSフレームワーク内に統合し、個別の取り組みとしてではなく一体的に管理することは、効率性と実効性の向上に繋がります。ISMSに固有のリスクアセスメント、管理策の導入、監視、レビューといったプロセスは、BCP/DRにも活用できます。これにより、事業継続が単なる机上の計画に終わらず、組織全体のセキュリティ目標と整合性のとれた、テストされ継続的に改善される能力となることが保証されます。例えば、ISMSのリスクアセスメントで「地震によるデータセンターの機能停止」が可用性への脅威として特定されれば、それはBCP/DRの主要な検討事項ともなります。これらを別々に管理すると、作業の重複、リスク評価の不整合、場合によっては矛盾する管理策が生じる可能性があります。BCP/DRをISMSに統合することで(例:可用性管理やインシデント対応の一部として 23)、既存のISMSフレームワーク(PDCAサイクル、監査、マネジメントレビュー)をBCP/DRにも適用でき、より堅牢で継続的に改善される体制が構築されます。このような包括的なアプローチは、組織のレジリエンス(回復力)をより効果的に強化します。
ビジネスチャンスの拡大(入札条件、グローバル展開)
官公庁や大手企業の入札案件では、ISMS認証の取得が参加条件とされたり、評価における加点要素となったりするケースが増えています 3。特にIT関連業務の委託においては、委託先のセキュリティ体制が厳しく評価されるため、ISMS認証は自社の信頼性を示す重要なアピールポイントとなります。実際に、公共工事の入札条件としてISMS認証が求められ、認証取得によって受注機会が大幅に拡大した建設業の事例も報告されています 21。また、国際規格であるISO/IEC 27001に基づくISMS認証は、海外企業との取引やグローバル市場への展開においても、情報セキュリティ管理体制の信頼性を示す上で有効な手段となります 3。
従業員のセキュリティ意識向上
ISMSの構築・運用プロセスには、全従業員に対する情報セキュリティ教育・訓練の実施が不可欠な要素として含まれています(例:附属書A A.6.3 情報セキュリティの意識向上、教育及び訓練 20)5。従業員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解し、自らの役割と責任を認識することで、ヒューマンエラーや内部不正によるインシデントのリスクを低減することに繋がります 6。また、セキュリティポリシーや関連規程が明確化され、それらが組織全体で遵守される文化が醸成されることも期待できます 27。
ISMSにおける継続的な教育と意識向上の要求は、一度きりの研修に頼るのではなく、進化する脅威に適応する持続可能なセキュリティ文化を創り出すのに役立ちます。この継続的な学習のループは、依然として重大な脆弱性であり続ける人的要因への対策として極めて重要です。ISMSはPDCAサイクルによる継続的改善を基本としているため 6、教育・啓発プログラムも静的なものではなく、レビューと改善の対象となるべきです。脅威は進化し続けるため、従業員の知識と警戒心も同様に進化しなければなりません。したがって、ISMSは継続的な学習を通じて動的かつ適応性のあるセキュリティ文化を促進し、「人的ファイアウォール」を時間とともに強化していくのです。
4. IT現場におけるISMSの実践
ISMS構築・運用のステップ(PDCAサイクル)
ISMSの構築と運用は、継続的な改善を目指すPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)に基づいて進められます。これは、情報セキュリティマネジメントシステムを効果的に確立し、維持するための普遍的なアプローチです 6。
- 計画(Plan):ISMSの確立 5
- 情報セキュリティ方針の策定: 組織のトップマネジメントが、情報セキュリティに関する基本的な考え方や方向性を示す「情報セキュリティ方針」を策定し、文書化し、組織内外に周知します 5。この方針は、組織の目的や事業戦略と整合している必要があります。
- 適用範囲の決定: ISMSを適用する組織、拠点、業務、情報資産の範囲を明確に定義します 9。
- 情報資産の洗い出しと分類: 保護すべき情報資産(書類、データ、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク機器、外部サービス等)を特定し、その重要度に応じて分類・整理します 5。
- リスクアセスメントの実施: 洗い出した情報資産に対する脅威(例:マルウェア、不正アクセス、自然災害、人的ミス)と脆弱性(例:ソフトウェアのバグ、設定ミス、管理体制の不備)を特定・分析・評価し、リスクのレベルを決定します。詳細は次項で解説します 5。
- 管理策の選択と適用宣言書の作成: リスクアセスメントの結果に基づき、ISO/IEC 27001 附属書Aの管理策などを参考に、導入する具体的なセキュリティ対策(管理策)を選択します。そして、選択した管理策とその適用理由、適用しない管理策とその理由を明記した「適用宣言書(SoA: Statement of Applicability)」を作成します 29。
- リスク対応計画の策定: 選択した管理策を実施するための具体的な計画(担当者、期限、手順など)を策定します 5。
- 実行(Do):ISMSの導入および運用 5
- 管理策の導入・運用: リスク対応計画に基づき、選択した管理策(技術的対策、物理的対策、人的対策、組織的対策)を導入し、日々の業務の中で確実に運用します。
- 教育・訓練の実施: 従業員に対して、情報セキュリティ方針や関連規程、各自の役割と責任に関する教育・訓練を実施し、情報セキュリティに対する意識と知識の向上を図ります 5。
- 評価(Check):ISMSの監視およびレビュー 5
- 監視・測定: ISMSのパフォーマンスや導入した管理策の有効性を継続的に監視・測定し、その結果を記録します。
- 内部監査の実施: ISMSが規格要求事項や組織の定めたルールに適合し、効果的に実施され維持されているかを検証するため、計画的に内部監査を実施します 9。内部監査は、客観性を保つため、監査対象の業務から独立した担当者によって行われます。
- マネジメントレビューの実施: トップマネジメントが、内部監査の結果、監視・測定データ、利害関係者からのフィードバックなどを基に、ISMS全体の適切性、妥当性、有効性を定期的に評価し、必要な改善指示を出します 9。
- 改善(Act):ISMSの維持および改善 5
- 是正処置の実施: 内部監査やマネジメントレビューで見つかった不適合や課題に対して、その根本原因を究明し、再発を防止するための是正処置を実施します 9。
- 継続的改善: ISMSのパフォーマンスを継続的に改善するための活動を行います。これには、新たな脅威への対応、技術の進展に合わせた管理策の見直し、従業員の意識向上のための取り組みなどが含まれます。
表2: ISMS構築・運用の主要ステップ(PDCAサイクル対応)
PDCAフェーズ | 主要活動 | 関連するISO/IEC 27001要求事項 (例) | IT現場でのポイント |
Plan (計画) | 情報セキュリティ方針策定、適用範囲決定、情報資産洗い出し、リスクアセスメント、管理策選択、適用宣言書作成、リスク対応計画策定 5 | 4. 組織の状況, 5. リーダーシップ, 6. 計画 6 | システム構成やデータフローを正確に把握。クラウドサービス利用時の責任範囲明確化。開発プロジェクト初期からのセキュリティ要件定義。 |
Do (実行) | 管理策の導入・運用、教育・訓練の実施 5 | 7. 支援, 8. 運用 6 | 定期的なパッチ適用、アクセス権限の適切な管理、セキュアコーディングの実践、インシデント発生時の報告・連絡体制の周知徹底。 |
Check (評価) | 監視・測定、内部監査の実施、マネジメントレビューの実施 9 | 9. パフォーマンス評価 6 | ログの定期的なレビュー、脆弱性診断の実施、内部監査員への専門教育、経営層への分かりやすい報告。 |
Act (改善) | 是正処置の実施、継続的改善活動 9 | 10. 改善 6 | インシデントの原因分析と対策の水平展開、新たな脅威情報に基づくリスクアセスメントの見直し、セキュリティツールの評価と更新。 |
リスクアセスメントの進め方
リスクアセスメントは、ISMSの中核をなすプロセスであり、「組織が保有する情報資産に対するリスクを特定し、分析・評価し、そのリスクが許容できるレベルにあるかどうかを判断する一連のプロセス」と定義できます 7。具体的には以下のステップで進められます。
- リスク特定 (Risk Identification):
- まず、保護すべき情報資産(例:サーバー、PC、ネットワーク機器、ソフトウェア、顧客データ、設計書、業務ノウハウ、紙媒体の重要書類など)を網羅的に洗い出し、情報資産台帳などに整理します 5。
- 次に、それぞれの情報資産に対して、どのような脅威(例:マルウェア感染、不正アクセス、自然災害、従業員の操作ミス、内部関係者による不正行為など)が存在し、どのような脆弱性(例:ソフトウェアのバグ、セキュリティ設定の不備、管理体制の欠陥、従業員の知識不足など)があるかを特定します 2。脅威は、意図的なもの(サイバー攻撃など)、偶発的なもの(ヒューマンエラーなど)、環境的なもの(災害など)に分類して考えると整理しやすくなります 2。
- リスクを洗い出す方法としては、情報資産ごとにリスクを検討する方法や、業務フローに沿ってリスクを洗い出す方法などがあります 7。
- リスク分析 (Risk Analysis):
- 特定した個々のリスクに対して、その「発生可能性(どのくらいの頻度で起こりそうか)」と、実際に発生した場合の「影響度(どの程度の損害や被害が出るか)」を評価軸として設定し、それぞれの評価値を決定します 7。
- 例えば、発生可能性と影響度をそれぞれ3段階(高・中・低)や5段階(1~5点)などで評価し、それらを掛け合わせるなどしてリスクの相対的な大きさ(リスク値)を算出します 8。
- リスク評価 (Risk Evaluation):
- リスク分析で算出されたリスク値に基づき、あらかじめ組織として定めた「リスク受容基準(どのレベルのリスクまでなら許容できるか、あるいは対策を講じずに受け入れるか)」と比較します。そして、その結果に基づいて、どのリスクに優先的に対応すべきかを決定します 7。
- 一般的には、リスク値が高いものから優先的に対策を検討します。
- リスク対応(Risk Treatment): 7
- 評価されたリスクに対し、組織の方針や状況に応じて、以下のいずれかの対応策を選択し、実施します。
- リスク低減 (Risk Reduction/Mitigation): 最も一般的な対応策で、適切な管理策(セキュリティ対策)を導入・実施することで、リスクの発生可能性や影響度を許容可能なレベルまで下げることを目指します。例:セキュリティソフトウェアの導入、アクセス権限の見直し、従業員へのセキュリティ教育の実施など 7。
- リスク回避 (Risk Avoidance): リスクの原因となる活動や資産そのものを中止したり、排除したりすることで、リスクの発生そのものをなくします。例:非常に脆弱なシステムの利用停止、特定の高リスク業務からの撤退など 7。
- リスク移転 (Risk Transfer/Sharing): リスクによる潜在的な損失の一部または全部を、保険会社や業務委託先などの第三者に移管します。例:サイバー保険への加入、セキュリティ監視業務のアウトソーシングなど 7。
- リスク保有 (Risk Retention/Acceptance): リスクアセスメントの結果、リスクが組織の受容基準内にあると判断された場合、または対策コストがリスクによる潜在的損失を上回る場合などに、特段の対策を講じずにそのリスクを受け入れます。ただし、この判断は意識的に行われる必要があり、その根拠も明確にしておくべきです 7。
- リスクアセスメントのプロセス全体(特定、分析、評価)と、その結果に基づくリスク対応の計画および実施状況は、適切に文書化し、組織の状況変化や新たな脅威の出現に応じて定期的に見直す必要があります 7。
表3: リスク対応の4つの基本戦略
戦略名 | 内容 | IT現場での具体例 |
リスク低減 | 管理策を導入し、リスクの発生可能性や影響度を下げる 7 | ファイアウォール導入、ウイルス対策ソフト更新、アクセス権限設定、従業員教育、脆弱性パッチ適用、データの暗号化、多要素認証の導入 |
リスク回避 | リスクの原因となる活動や資産を中止・排除する 7 | サポート切れOSの使用禁止、セキュリティ上問題のあるフリーソフトの利用禁止、危険性の高いWebサイトへのアクセス遮断、個人所有デバイスの業務利用禁止(BYOD禁止) |
リスク移転 | リスクの一部または全部を第三者に移す 7 | サイバー保険加入、データセンターのアウトソーシング、セキュリティ監視サービス(SOC)の利用、クラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)の利用 |
リスク保有 | リスクが受容可能と判断し、特に対策を講じずに受け入れる 7 | 影響の軽微な事務用品の盗難リスク、発生確率が極めて低く対策費用が高額すぎる特定のリスク(ただし経営判断が必要) |
ITにおける効果的なリスクアセスメントは、一度実施すれば終わりというものではなく、急速に変化する脅威の状況と進化するビジネス環境に適応するための継続的なプロセスです。IT専門家にとって、これは進行中の脅威インテリジェンスの収集、脆弱性管理、動的なリスクモデリングにおけるスキルが、初期評価そのものと同じくらい重要になっていることを意味します。ISMSフレームワークはPDCAサイクルを通じてこれをサポートしますが、継続的なリスク管理の実行はITの専門知識に大きく依存します。脅威の状況は非常に動的であり(新しいマルウェア、新しい攻撃ベクトル、ゼロデイ脆弱性など 14)、ビジネス環境も変化します(新しいシステム、新しいサービス、合併/買収など)。静的なリスクアセスメントはすぐに時代遅れになり、効果がなくなります。ISMSは定期的なレビューと継続的な改善(PDCA)を義務付けているため 9、リスクアセスメントがISMSの下で関連性と有効性を維持するためには、IT専門家が脅威と脆弱性の継続的な監視に従事し、それに応じてリスクアセスメントを更新する必要があります。これは、ITの役割を単なる実施者から、進行中のリスクインテリジェンスへの積極的な参加者へと高めるものです。
具体的な管理策の例(ISO/IEC 27001 附属書Aより)
ISO/IEC 27001:2022の附属書Aには、情報セキュリティリスクを低減するための具体的な参照管理策が93項目リストアップされています。組織は、自ら実施したリスクアセスメントの結果に基づいて、これらの管理策の中から適切なものを選択し、適用します 9。なお、旧版のISO/IEC 27001:2013では114項目の管理策が規定されていました 9。
これらの管理策は、より理解しやすくするために、以下の4つのテーマ(カテゴリ)に分類されています 9。
- A.5 組織的管理策 (Organizational controls) (37項目): 情報セキュリティのための方針群の策定、情報セキュリティにおける役割と責任の割り当て、資産の管理、アクセス制御に関する方針、供給者(委託先など)との関係における情報セキュリティなどが含まれます 19。
- A.6 人的管理策 (People controls) (8項目): 従業員の雇用前スクリーニング、雇用条件、雇用終了時の手続き、情報セキュリティに関する意識向上、教育及び訓練、懲戒手続などが含まれます 19。
- A.7 物理的管理策 (Physical controls) (14項目): 物理的なセキュリティ境界の設置、物理的な入退管理、オフィスや部屋のセキュリティ、クリアデスク・クリアスクリーンポリシー、機器の安全な配置と保護、記録媒体の安全な処分または再利用などが含まれます 20。
- A.8 技術的管理策 (Technological controls) (34項目): 利用者エンドポイント機器(PC、スマートフォンなど)のセキュリティ、特権的アクセス権の管理、情報へのアクセス制限、データの暗号化、バックアップ、ログの取得と監視、技術的脆弱性の管理、ネットワークのセキュリティ、セキュリティに配慮した開発などが含まれます 20。
IT業務への適用例:
以下に、これらの管理策がITの現場業務にどのように適用されるかの具体例を挙げます。
- セキュアなソフトウェア開発ライフサイクル (Secure software development lifecycle):
- 関連する管理策には、A.8.25「セキュリティに配慮した開発のライフサイクル」19、A.8.26「セキュリティに配慮した開発のための方針」、A.8.28「システム開発及び受入れにおけるセキュリティ試験」などがあります。
- 開発プロジェクトの初期段階からセキュリティ要件を明確に定義し、セキュアコーディングの原則を開発者全員に周知・適用します。開発環境、テスト環境、本番環境を論理的・物理的に分離し、それぞれの環境を適切に保護します。リリース前には、脆弱性検査やセキュリティテスト(例:ペネトレーションテスト)を実施し、発見された脆弱性には適切に対処することが求められます 33。
- 変更管理プロセス(A.8.32「変更管理」19)を確立し、システムやソフトウェアへの変更がセキュリティに与える影響を事前に評価し、承認を得る手順を定めます。
- テストデータに実データを使用する際には、個人情報や機密情報が漏洩しないよう、データマスキングや匿名化といった技術を活用してリスクを低減します 34。
- データ管理と保護(アクセス制御、暗号化、バックアップ等)(Data management and protection – access control, encryption, backup):
- 関連する管理策には、A.5.9「情報及びその他の関連資産の目録」、A.5.10「情報及びその他の関連資産の許容される利用」、A.5.13「情報のラベル付け」、A.5.15「アクセス制御」、A.8.3「情報へのアクセス制限」、A.8.13「情報のバックアップ」、A.8.24「暗号の利用」、A.8.12「データ漏えいの防止」などがあります 32。
- まず、組織が保有する情報資産を重要度や機密性に応じて分類し、ラベル付けを行います。その分類に基づいて、各情報資産へのアクセス権限を「知る必要性(Need-to-know)」と「最小権限(Least privilege)」の原則に従って設定・管理します 35。
- 顧客データや技術情報などの機密性の高いデータは、保管時(例:データベース、ファイルサーバー)および転送時(例:メール、ファイル転送)に暗号化技術を用いて保護します 11。
- データの損失や破損に備え、定期的なバックアップを取得し、そのバックアップデータからのリストア(復元)テストを定期的に実施することで、データの可用性と完全性を確保します 11。
- 不要になったデータや、廃棄する記憶媒体(HDD、SSD、USBメモリなど)は、情報が復元できないように安全な方法で消去または物理的に破壊します(関連管理策:A.7.14「装置のセキュリティを保った処分又は再利用」19)。
- 情報セキュリティインシデント対応と管理 (Information security incident response and management):
- 関連する管理策には、A.5.24「情報セキュリティインシデント管理の計画策定及び準備」、A.5.25「情報セキュリティ事象の評価及び決定」、A.5.26「情報セキュリティインシデントへの対応」、A.5.27「情報セキュリティインシデントから学ぶ」、A.5.28「証拠の収集」などがあります 19。これらは旧版の管理策A.16群に相当する内容を含んでいます。
- セキュリティインシデント(例:マルウェア感染、不正アクセス、情報漏洩、DDoS攻撃、サービス妨害)の発生を迅速に検知し、報告を受け付け、影響を分析し、封じ込め、根本原因を根絶し、システムを復旧させ、インシデント後の対応(再発防止策の検討、教訓の活用)を行うための一連のプロセスと、それを実行するための体制(例:CSIRT – Computer Security Incident Response Team)を確立します 37。
- 具体的なインシデント対応計画を策定し、その計画に基づいて定期的な訓練(例:机上訓練、実地訓練)を実施することで、関係者の対応能力向上と計画の実効性検証を行います 39。
- 米国のNIST(国立標準技術研究所)が発行しているCSF(Cybersecurity Framework)などのフレームワークも、インシデント対応体制を構築する上で非常に参考になります 41。
表4: ISO/IEC 27001:2022 附属書A 管理策カテゴリとIT現場での具体例
管理策カテゴリ | 主要な管理策の例 (附属書A番号) | IT現場での具体的な適用例 |
A.5 組織的管理策 | A.5.1 情報セキュリティのための方針群<br>A.5.9 情報及びその他の関連資産の目録<br>A.5.15 アクセス制御<br>A.5.19 供給者関係における情報セキュリティ<br>A.5.23 クラウドサービスの利用における情報セキュリティ<br>A.5.30 情報通信技術(ICT)の継続性に対する計画策定、導入、維持及び試験 | 社内情報セキュリティ規程の策定・周知<br>ハードウェア・ソフトウェア台帳の整備と管理責任者の任命<br>職務に応じたアクセス権限ポリシーの定義<br>委託先選定時のセキュリティ評価基準設定、契約時のセキュリティ条項明記<br>クラウドサービス利用時のリスク評価と契約内容確認<br>システム障害や災害時のITサービス復旧手順の策定と訓練 |
A.6 人的管理策 | A.6.3 情報セキュリティの意識向上、教育及び訓練<br>A.6.7 遠隔作業<br>A.6.8 情報セキュリティ事象の報告 | 定期的なセキュリティ研修の実施(標的型メール訓練など)<br>リモートアクセス時のセキュリティルール策定(VPN利用必須、会社支給端末利用など)<br>インシデント発見時の報告手順の明確化と周知 |
A.7 物理的管理策 | A.7.2 物理的入退<br>A.7.4 物理的セキュリティの監視<br>A.7.6 執務室、部屋及び施設のセキュリティ<br>A.7.10 記憶媒体の管理<br>A.7.14 装置のセキュリティを保った処分又は再利用 | サーバールームへの入退室記録と制限(ICカード認証、生体認証など)<br>監視カメラの設置<br>クリアデスク・クリアスクリーンポリシーの実施<br>USBメモリ等の外部記憶媒体の利用制限・管理<br>廃棄PCのHDDデータ完全消去または物理破壊 |
A.8 技術的管理策 | A.8.1 利用者エンドポイント機器<br>A.8.5 安全な認証<br>A.8.9 情報に対するアクセス制限<br>A.8.12 データ漏えいの防止<br>A.8.13 情報のバックアップ<br>A.8.16 監視活動<br>A.8.23 ウェブフィルタリング<br>A.8.25 セキュリティに配慮した開発のライフサイクル<br>A.8.28 システム開発及び受入れにおけるセキュリティ試験 | PCへのセキュリティソフト導入、OS・ソフトウェアの最新化<br>パスワードポリシー強化、多要素認証の導入<br>ファイル・フォルダへのアクセス権限の最小化<br>DLP(Data Loss Prevention)ツールの導入、メール誤送信対策<br>重要データの定期的なバックアップとリストアテスト<br>サーバー・ネットワーク機器のログ取得と監視<br>業務外サイトへのアクセス制限<br>開発標準へのセキュアコーディング規約の導入<br>開発・テスト環境での脆弱性診断の実施 |
ISO/IEC 27001の附属書Aは、2013年版から2022年版への改訂に伴い、管理策の内容にも変化が見られました。例えば、脅威インテリジェンスの活用(A.5.7)、クラウドサービスの利用における情報セキュリティ(A.5.23)、データ漏えいの防止(A.8.12 32)といった、現代のIT環境と脅威動向を反映した新たな管理策が追加・強化されています 9。これは、ISMSが静的な規則の集合ではなく、変化し続ける脅威や技術動向に対応していく生きたフレームワークであることを示しています。IT専門家にとっては、これらの変化に追随し、自組織の管理策が常に効果的かつ今日的なものであるよう、継続的な学習と適応が求められることを意味します。このことは、ISMSの基本理念である継続的改善の精神とも合致しています。
5. ISMS認証取得の動向と今後の展望
国内外のISMS認証取得企業数の推移と業種別状況
日本国内におけるISMS認証の取得企業数は、年々着実な増加傾向を示しています。例えば、2005年には全国で約556社程度であった認証取得企業数は、2015年には3,530社程度にまで増加し、さらに2024年6月1日現在では7,400社(認証登録数は7,803社)に達しています 43。この10年余りで取得企業数が倍以上に増えていることからも、ISMS認証への関心の高さが伺えます。
業種別に見ると、特に情報技術(IT)関連の業種が取得企業の過半数(約58.2%)を占めており、IT業界におけるISMSの重要性が際立っています 43。これは、IT企業が顧客の機密情報や個人情報を大量に取り扱う機会が多いこと、また、社会の基盤となるシステムやサービスを開発・提供していることから、情報セキュリティに対する要求水準が高いことの現れと言えるでしょう。IT業種に次いで、その他サービス業(約16.8%)、建設業(約4.2%)、卸売・小売業(約3.8%)などが続いています 43。
このような認証取得企業数の増加の背景には、情報セキュリティに対する社会全体の意識の高まり、顧客や取引先からのセキュリティ要求の増大、個人情報保護法をはじめとする法規制の強化などが複合的に影響していると考えられます 1。国際的にもISMS認証(ISO/IEC 27001認証)は広く普及しており、情報セキュリティ管理におけるグローバルスタンダードとしての地位を確立しています。
IT業界におけるISMSの役割と期待される変化
IT業界は、その業務特性上、機密性の高い情報や大量の個人情報を取り扱い、また、社会の重要インフラを支えるシステムやサービスを開発・運用する役割を担っています。そのため、ISMSの導入と実践は、他の業種にも増して特に重要であると言えます。
今後、IT業界におけるISMSの役割はさらに拡大し、その内容も変化していくことが予想されます。具体的には、以下のような点が注目されます。
- 新たな技術領域への対応: クラウドコンピューティングのさらなる普及(ISO/IEC 27017などの関連規格の活用)、IoT(モノのインターネット)デバイスのセキュリティ確保、AI(人工知能)の利用における倫理的配慮やプライバシー保護など、新たな技術領域に対応したISMSの運用や、より高度な管理策の導入が求められるようになるでしょう。
- サプライチェーン全体のセキュリティ強化: 近年、サプライチェーンの脆弱性を狙った攻撃が増加しており、IT企業は自社のセキュリティ対策だけでなく、業務委託先や関連会社のセキュリティ体制にも目を向ける必要性が高まっています 45。ISMSの枠組みの中で、サプライチェーンリスク管理を強化する動きが加速すると考えられます。
- 新しいセキュリティモデルとの融合: ゼロトラストアーキテクチャのような、「何も信頼しない」ことを前提とした新しいセキュリティモデルの考え方を、既存のISMSの枠組みの中でどのように取り入れ、効果的に運用していくかが今後の課題であり、注目点です 14。
認証取得企業数、特にIT分野での増加は、ISMSが単なる「あれば望ましい」差別化要因から、デジタル経済でビジネスを行う上での「必須の」基本要件へと移行しつつあることを示唆しています。データ侵害やサイバー脅威が増加し続ける中でこの傾向は加速する可能性が高く、未認証のIT企業への圧力はさらに強まるでしょう。顧客や取引先がISMS認証を標準的な期待値として捉えるようになるにつれ 1、認証を持たない企業はセキュリティ成熟度が低いと見なされ、認証を持つ競合他社にビジネスチャンスを奪われる可能性も否定できません 3。このように、ISMS認証は多くのIT関連ビジネス活動への参加における事実上の業界標準、あるいは最低要件へと進化しつつあります。
6. まとめ
ISMSの重要性の再確認
本記事を通じて見てきたように、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、単に国際規格の要求事項を満たすための形式的な取り組みではありません。それは、組織が保有する貴重な情報資産を様々な脅威から保護し、事業の継続性を確保し、そして何よりも顧客や社会からの信頼を獲得・維持するための、経営戦略上不可欠な活動です。
特にITの現場においては、日々進化し巧妙化するサイバー攻撃や内部リスクに対応し、安全で信頼性の高いサービスを提供し続けるための羅針盤とも言える存在です。ISMSを適切に構築し、PDCAサイクルを通じて継続的に運用・改善していくことは、IT企業が持続的に成長し、社会に貢献していくための強固な基盤となります。
IT技術者としての心構えと継続的な学習の奨励
IT技術者は、ISMSの基本的な概念や自社で定められた情報セキュリティ方針・関連ルールを深く理解し、日々の業務において常にセキュリティを意識した行動を実践することが求められます。それは、セキュアなシステム設計やコーディング、適切なアクセス管理、インシデント発生時の迅速な報告といった具体的な行動に現れます。
情報セキュリティを取り巻く脅威の状況や関連技術は絶えず変化しています。そのため、ISMSに関する知識を常に最新の状態にアップデートし、必要に応じて関連資格の取得を目指すなど、継続的な学習と自己研鑽の姿勢が極めて重要です。JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)やIPA(独立行政法人情報処理推進機構)などが提供するガイドラインや解説資料も、最新情報を得るための貴重なリソースとなりますので、積極的に活用することが望まれます 46。
IT専門家にとって、ISMSに関する知識は、もはや特定の専門職だけのものではなく、核となる能力(コアコンピテンシー)の一つになりつつあります。ISMSの原則を理解することは、開発者、システム管理者、サポート担当者といった個々の役割に関わらず、組織のセキュリティ体制へより効果的に貢献することを可能にし、専門家としての市場価値を高めることにも繋がります。ISMSがIT業務の様々な側面に影響を与えること [本レポート 第4章3節参照]、そして効果的なISMS運用にはセキュリティ専門チームだけでなく組織の多くの部門からの参加が必要であること 5 を踏まえれば、全てのITスタッフがISMSの基礎を理解し、自らの業務をセキュリティ目標に沿って遂行できるようになることの重要性は明らかです。ISMSの普及が進むにつれて 43、この知識はIT専門家にとってますます不可欠なスキルとなるでしょう。
引用文献
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