ソフトウェア工学(Software Engineering)は、現代社会を動かすデジタル・インフラストラクチャの設計、開発、運用、保守に関わる包括的な学術分野です。しかし、多くのビジネスリーダーにとって、その本質は「プログラミング」という言葉の影に隠れがちです。
本レポートは、国外の文献や標準を基に、ソフトウェア工学の真の定義、その歴史的背景、そしてビジネス価値について、豊富な事例を交えながら解説します。特に、生成AIが開発プロセスを根本から変えようとしている現代において、ソフトウェア工学がなぜ、そしてどのように重要なのかを、経営的視点から解き明かします。


第1部 ソフトウェア工学の「正体」 — その定義と原則
ソフトウェア工学の本質を理解することは、テクノロジーへの投資を「コスト」から「戦略的資産」へと転換させる第一歩です。
1.1 ソフトウェア工学とは何か?:プログラミングとの決定的違い
ソフトウェア工学とプログラミングは、しばしば混同されますが、両者には明確な違いがあります。
国際的な専門家組織であるIEEE(米国電気電子学会)は、ソフトウェア工学を「ソフトウェアの開発、運用、および保守に対する**体系的(systematic)、専門的(disciplined)、定量可能(quantifiable)**なアプローチの適用」と定義しています 1。これは、ソフトウェア開発が個人の技能に依存する「アート(芸術)」ではなく、測定可能で反復可能な「工学(Engineering)」であることを意味します。
ビジネスリーダーにとって最も重要な点は、「ソフトウェア工学はプログラミングではない」という事実です 2。
- プログラミングは、ソフトウェア工学のプロセスにおける「構築(construction)」の段階に過ぎません 2。これは、建築における「設計図に基づいてレンガを積む作業」に例えられます。
- ソフトウェア工学は、プロジェクトの全ライフサイクルを管理する巨大な枠組みです。IEEEがSWEBOK(Software Engineering Body of Knowledge:ソフトウェア工学知識体系)として標準化している知識分野には、「ソフトウェア要求」(Requirements)、「ソフトウェア設計」(Design)、「ソフトウェアテスト」(Testing)、「ソフトウェア保守」(Maintenance)、「ソフトウェア品質」(Quality)、「ソフトウェア工学管理」(Management)などが含まれます 3。
多くの「プログラマー」は構築段階には熟練していますが、これらの他の重要な工学プロセス、特にプロジェクトの成否を左右する「要求工学」(顧客のニーズを正確に定義する技術)や工学管理については認識していない場合があります 2。
また、「コンピュータサイエンス(計算機科学)」が計算の理論的基礎やアルゴリズムを探求する「科学(Science)」であるのに対し、ソフトウェア工学は、それらの科学的知見を応用し、現実世界の制約(コスト、納期、品質)の中で有用な製品を作り出す「工学(Engineering)」です 2。
ここから導かれる結論は、多くのビジネスリーダーが直感的に考える「優れたプログラマーを雇えば、良いソフトウェアができる」という期待が、必ずしも正しくないということです。プロジェクトの失敗は、多くの場合「プログラミング」の失敗ではなく、「工学」の失敗、すなわち要求の誤解、設計の欠陥、テスト不足、管理の失敗によって引き起こされます。
1.2 ソフトウェアエンジニアの倫理的羅針盤
ソフトウェアが社会インフラ(金融、医療、交通など)としての役割を強めるにつれ、その開発者には医師や建築家と同様の厳格な倫理規定が求められます。
ACM(国際計算機学会)とIEEEは共同で、ソフトウェアエンジニアが遵守すべき8つの倫理原則を定めています 5。
- 公共(PUBLIC): ソフトウェアエンジニアは、公共の利益と一致するように行動しなければならない。
- クライアントと雇用主(CLIENT AND EMPLOYER): ソフトウェアエンジニアは、公共の利益と一致することを条件として、クライアントと雇用主の最善の利益のために行動しなければならない。
- 製品(PRODUCT): ソフトウェアエンジニアは、その製品および関連する修正が、可能な限り最高の専門的水準を満たすことを保証しなければならない。
- 判断(JUDGMENT): ソフトウェアエンジニアは、専門家としての判断において、誠実さと独立性を維持しなければならない。
- 管理(MANAGEMENT): ソフトウェア工学の管理者およびリーダーは、開発と保守の管理において、倫理的なアプローチを支持し、推進しなければならない。
- 職業(PROFESSION): ソフトウェアエンジニアは、公共の利益と一致するように、職業の誠実さと評判を高めなければならない。
- 同僚(COLLEAGUES): ソフトウェアエンジニアは、同僚に対して公正であり、協力的でなければならない。
- 自己(SELF): ソフトウェアエンジニアは、その専門的実践に関する生涯学習に参加し、専門職の実践における倫理的なアプローチを推進しなければならない。
これらの原則は、単なる道徳的な指針ではなく、ビジネスにおける「リスク管理」のフレームワークです。特に注目すべきは、第2原則において、「クライアント(=金銭の支払主)」の利益よりも「公共」の利益が明確に優先されている点です 5。
なぜなら、ソフトウェアの欠陥が公共の安全、プライバシー、財産に甚大な被害を及ぼす可能性があるためです。エンジニアが「公共の利益」(=安全性やセキュリティ)を最優先することは、結果としてクライアントと雇用主を「大規模な訴訟、リコール、ブランドイメージの失墜」といった壊滅的なビジネスリスクから守ることに直結します。
したがって、経営者は、エンジニアがスケジュールやコストを理由に品質やセキュリティに関する懸念(社会的問題の提起 7)を表明した際、それを単なる「抵抗」ではなく、この「公共」の原則に基づく専門家としての重要なリスク警告として受け取る必要があります。

第2部 誕生の背景 — 「ソフトウェア危機」と歴史的発展
ソフトウェア工学は、その誕生からして「失敗」と「危機」への対策として生まれました。
2.1 1960年代の「ソフトウェア危機(Software Crisis)」
1960年代、コンピュータのハードウェア性能は飛躍的に向上しました。しかし、それに伴いソフトウェアが解決すべき問題も爆発的に複雑化しました 8。それまでの場当たり的で個人的なスキルに依存した開発手法では、この複雑性に対応できなくなりました。
その結果、以下のような問題が常態化し、「ソフトウェア危機」と呼ばれるようになりました 8:
- プロジェクトが深刻な「予算超過」に陥り、「納期」を大幅に超過する。
- 開発されたソフトウェアの「品質が低く」、非効率である。
- ソフトウェアが「ユーザーの要求」を全く満たしていない。
- ソフトウェアが複雑すぎて「保守」や「デバッグ」が極めて困難である。
- 最悪の場合、プロジェクトが途中で頓挫し、ソフトウェアが「決して提供されない」。
この危機の本質は、「大規模で信頼性の高いソフトウェアシステムを、信頼できるコスト効率の高い方法で構築する」ことができない、という問題でした 11。
2.2 1968年 NATO会議:ソフトウェア工学の誕生
この「危機」を解決するため、1968年と1969年にNATO(北大西洋条約機構)の科学委員会が国際会議を主催しました 12。この会議には、世界トップクラスのコンピュータ科学者や専門家が集結しました。
彼らは、ソフトウェア開発の場当たり的な現状を脱し、他の伝統的な工学分野(建築工学や土木工学など)と同様の厳格な「工学(Engineering)」の規律を適用する必要があるという点で合意しました 12。
この1968年のNATO会議こそが、「ソフトウェア工学(Software Engineering)」という学問分野が公式に誕生した瞬間とされています。当時の議論では、すでに「大規模システム」特有の困難さや 14、開発を支援する「適切なツール」(デバッガやファイルシステムなど)の必要性が提唱されていました 14。
2.3 方法論の進化:いかにして「危機」を乗り越えようとしたか
NATO会議以降、増大するソフトウェアの複雑性と戦うため、開発「方法論」が進化を遂げてきました。
1. ウォーターフォール(Waterfall Model)
1970年代に主流となった最初期の構造化アプローチです 15。製造業や建設業の手法を借用し、「要求定義」→「設計」→「実装」→「テスト」→「保守」という各工程(フェーズ)を、滝の水が落ちるように後戻りせず一方通行で進めます 15。
- 長所: 各フェーズが明確で、計画と管理がしやすい 17。
- 短所: 柔軟性が皆無であること。プロジェクトの初期段階で全ての要求を完璧に定義する必要があり、「仕様変更」に一切対応できません 15。顧客が実際に動くソフトウェアを目にするのはプロジェクトの最終段階になるため、もし要求の解釈にズレがあれば、手戻りのコストは甚大になります 17。
2. アジャイル革命(Agile Revolution)
ウォーターフォールモデルの硬直性への強い反動として、1990年代に反復型アプローチが登場し、2001年の「アジャイルソフトウェア開発宣言(Agile Manifesto)」で頂点に達しました 16。
- 中核思想: 厳格な計画よりも「変化への対応」を、網羅的なドキュメントよりも「動くソフトウェア」を重視します 16。
- 特徴: 「スプリント」と呼ばれる短い期間(例:1〜4週間)で「動く」機能の一部を開発・リリースし、顧客からのフィードバックを即座に次のスプリントに取り込みます 17。
- 短所: リアルタイムのコミュニケーションに大きく依存するため、大規模な組織での調整が難しく、ドキュメントが不足しがちになる可能性があります 17。
3. DevOps(デブオプス)
アジャイルの次なる進化形です 15。アジャイルが「開発(Development)」チーム内の柔軟性を高めたのに対し、DevOpsは「開発(Dev)」と「運用(Operations)」の間の伝統的な壁(サイロ)を取り払うことを目指します 19。
- 中核思想: CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)と呼ばれる自動化パイプラインを用い、開発者がコードを変更してから、自動テストを経て、本番環境のユーザーに届けるまでの時間を劇的に短縮します 15。
- 特徴: 文化(Culture)、自動化(Automation)、リーン(Lean)、測定(Measurement)、共有(Sharing)といった原則(CALMS)に基づいています 18。
興味深いことに、1960年代に指摘された「ソフトウェア危機」は、実は一度も根本的に解決されていません 9。当時指摘された問題(信頼性がない、保守が難しい、納期に遅れる、予算を超える)は、「すべて現代でも一般的なソフトウェアの問題である」と指摘されています 9。ある調査(Standish Group)によれば、2015年時点でのプロジェクト成功率はわずか29%であり、1994年からほぼ横ばいでした 9。
これは、ソフトウェア工学の歴史が「完璧な予測」を目指したウォーターフォールが失敗し、「不確実性の管理」を受け入れたアジャイルと、「変化の速度」を自動化したDevOpsへと進化するプロセスであることを示しています。危機が解決しないのは、ハードウェアの能力向上と問題の複雑化が、我々の管理能力を常に上回り続けるためです 8。
ソフトウェア工学とは「危機を根絶する」学問ではなく、「絶えず増大する複雑性と戦い続ける」ための規律である、とビジネスリーダーは理解する必要があります。
表1:ソフトウェア開発方法論の進化(Waterfall vs. Agile vs. DevOps)
| 特徴 | ウォーターフォール (1970年代〜) [15, 17] | アジャイル (2000年代〜) [16, 17] | DevOps (2010年代〜) |
| 基本思想 | 線形(リニア)な計画主義 | 反復的な適応主義 | 継続的な自動化によるフローの最適化 |
| リリースの頻度 | プロジェクト終了時に1回 18 | 頻繁な増分リリース(週〜月単位) 18 | 継続的デプロイメント(日〜時間単位) 18 |
| 変化への対応 | 非常に困難(スコープの固定が前提) 17 | 非常に柔軟(変化を歓迎する) 16 | 非常に高速(自動化されたパイプラインで対応) |
| 主な文化 | 厳格な階層とフェーズ分離 18 | 協調とフィードバック 18 | 開発と運用の垣根を超えた共有責任 (CALMS) 18 |
| 最適な適用先 | 要件が完全に固定された規制産業(例:初期の建設) 18 | 要件が不確実な高速な環境(例:Webサービス) 18 | 大規模なスケールと自動化が必須のシステム 18 |


第3部 ビジネスとしてのソフトウェア工学 — 成功と失敗の分水嶺
ソフトウェア工学は、技術的な実践であると同時に、ビジネスの成功を左右する経営活動そのものです。
3.1 ソフトウェアは「コスト」か「投資」か?
ソフトウェア工学のリーダーは、技術的な成果をビジネスの成果に結びつけて説明する責任があります 20。経営陣は「何を作ったか」だけでなく、「なぜ(Why)それを作ったのか」「それが期待されるビジネス成果(Business Outcome)を生み出しているのか」を知る必要があります 20。
現代のビジネスにおいて、ソフトウェア工学が提供する最大の価値の一つが、「市場投入までの時間(Time to Market, TTM)」の短縮です 21。
競合他社よりも先に製品を市場に投入する「先行者利益(First Mover Advantage)」は、市場シェアの獲得、ブランドの確立、そして収益化の早期化において決定的な優位性をもたらします 21。ある調査によれば、ソフトウェアプロジェクトの実に16.2%しか時間通りに完了しません 23。
したがって、アジャイルやDevOpsといった規律を用いてTTMを短縮すること自体が、強力な競争戦略となります。
3.2 [ケーススタディ] 失敗が教える教訓:数分で失われる数十億ドル
ソフトウェア工学の規律を軽視した結果、企業が破滅的な損害を被った事例は数多く存在します。
1. Ariane 5(1996年)
欧州宇宙機関(ESA)の新型ロケット「アリアン5」は、処女飛行の打ち上げからわずか36秒後に制御不能となり、自己破壊しました 24。
- 技術的な原因: 旧型の「アリアン4」から「再利用されたコード」のバグでした 24。具体的には、慣性航法システムが、64ビットの浮動小数点数を16ビットの符号付き整数に変換しようとしてオーバーフロー(数値が大きすぎて扱えないエラー)を発生させ、システムが停止しました 24。
- 工学的な失敗(真の原因): 単なる「バグ」ではなく、「コードの再利用」に関する工学的な過ちです。アリアン5はアリアン4よりもはるかに高速であり、64ビットの数値が取り得る値の範囲が旧型とは異なっていました。この「要求の変化」がコードの検証プロセス(テスト)から漏れていました 24。
- ビジネスインパクト: 損失額 3億7000万ドル(約500億円以上) 24。
2. Knight Capital(2012年)
米国の証券大手ナイト・キャピタルは、新しい高頻度取引ソフトウェアを本番環境にデプロイしました 25。
- 技術的な原因: 8台のサーバーのうち1台に、手動でのデプロイ(配備)作業ミスにより、テスト用の古いコードが残存してしまいました 25。このコードが起動し、意図しない大量の「ゾンビ注文」を市場に発注し続けました 25。
- 工学的な失敗(真の原因): 「デプロイメント(配備)プロセス」と「本番環境での検証(Verification)」の完全な失敗です 25。自動化されたデプロイプロセスが確立されておらず、手動作業によるミスが防げませんでした 25。
- ビジネスインパクト: わずか30〜45分で4億4000万ドル(約550億円以上)の損失が発生 25。同社の株価は2日間で75%下落し 25、事実上倒産、他社による救済買収に至りました。
3. Lidl(2018年)
ドイツのスーパーマーケット大手Lidlは、7年間にわたりSAPベースの在庫管理システムの刷新プロジェクトを進めていましたが、これを完全に中止しました 26。
- 工学的な失敗(真の原因): 巨大な「モノリシック(一枚岩)」なシステム導入の複雑性を見誤った典型例です。Lidlは、自社の非常に効率的な既存プロセスをSAPの標準プロセスに合わせることを拒否し、逆にSAP側を自社プロセスに合わせて大規模にカスタマイズしようとしました。その結果、システムの複雑性が爆発し、プロジェクトが管理不能になりました。
- ビジネスインパクト: 7年間と推定5億ユーロ(約650億円)を費やしたプロジェクトが、完全に白紙に戻りました 26。
表2:ソフトウェアプロジェクトの失敗:教訓とビジネスインパクト
| プロジェクト(年代) | 技術的な失敗(何が起きたか) | 工学的な失敗(真の原因) | ビジネスインパクト(結果) |
| Ariane 5 (1996) 24 | 64bitから16bitへの数値変換エラー(オーバーフロー) | 要求の変わったコード(高速化)をテスト不足のまま再利用した。 | 3億7000万ドルのロケットと衛星が爆発・損失。 |
| Knight Capital (2012) 25 | 1台のサーバーに古いコードが残存し、誤った注文を大量発注。 | 手動のデプロイプロセスと本番環境の検証プロセスが欠如していた。 | わずか30分で4億4000万ドルの損失。会社が事実上破綻。 |
| Lidl (2018) 26 | SAPベースの在庫管理システム導入プロジェクト。 | 標準に合わせず過度なカスタマイズを選択した結果、複雑性が爆発し管理不能に。 | 7年間と5億ユーロ(約650億円)を投じたプロジェクトが白紙化。 |

3.3 [ケーススタディ] 成功の戦略:ソフトウェアが築く巨大帝国
失敗例とは対照的に、ソフトウェア工学を「経営戦略」として活用した企業が巨大な成功を収めています。
1. Alibaba(アリババ)
創業者のジャック・マーは、1999年の創業当初、米国にいるソフトウェア開発者をアウトソーシング(外部委託)しました 27。
- 戦略: 目的は単なるコスト削減ではありませんでした。第一に、中国国内では見つけることが困難だった「特定の技術的専門知識」を確保すること。第二に、最初から中国市場だけでなく「世界中の人々」に使ってもらうためのグローバルな視点を取り入れることでした 27。
- 成果: この戦略的アウトソーシングが、アリババを世界的なeコマース企業(現在、年間アクティブユーザー6億7400万人)へと押し上げる初期の原動力の一つとなりました 27。
2. WhatsApp(ワッツアップ)
世界最大のメッセージングアプリの一つであるWhatsAppも、初期のコアな開発をアウトソーシングに依存していました 27。
- 戦略: 共同創業者は、高価なシリコンバレーのエンジニアを雇う代わりに、ロシアの経験豊富な開発者を「コスト効率よく」活用しました 27。
- 成果: これにより、ベンチャーキャピタルからの資金調達を最小限に抑えながらも、高品質でスケーラブルな(拡張性の高い)製品を迅速に開発することに成功しました 27。
これらの成功事例が示すのは、「誰が、どこで」ソフトウェアを開発するかという決定が、単なる技術的な問題やコストの問題ではなく、「専門知識の獲得」「グローバルな視点」「資本効率」といった高度な「戦略的ビジネス上の決定」であるという事実です。
3.4 見えざる時限爆弾:「技術的負債(Technical Debt)」
ソフトウェア工学をビジネス視点で語る上で、最も重要な概念の一つが「技術的負債」です。
これは、ソフトウェア開発において、長期的な品質や堅牢な設計よりも「短期的な開発速度」を優先した結果(例:「その場しのぎの回避策(quick workarounds)」 28)、将来の機能追加や修正が指数関数的に困難になるという「見えざる負債」です 29。
この負債がビジネスにどれほど深刻な影響を与えるかを示す、マッキンゼーによる衝撃的な事例があります 28:
ある大企業(B2B)の経営陣が、20億ドルの利益改善をもたらす可能性のある大規模な「事業変革(Modernization)」を計画しました。
- 判明した事実: 必要な施策の70%がテクノロジーに依存していましたが、そのITコストが見積もり段階で想定外の4億ドルにまで跳ね上がりました 28。
- 原因: 長年にわたり、短期的なスピードを優先し、優れた設計を後回しにしてきた結果、技術スタックが「非常に複雑化(massively complex)」していました 28。
- ビジネスインパクト: 同社は投資額を3億ドルに減額せざるを得ず、その結果、「20億ドルの潜在的利益の25%(=5億ドル、約750億円)を放棄」することになりました 28。さらに、残ったプロジェクトも既存の技術的問題が足かせとなり、2年半後、計画の半分しか完了できませんでした 28。
この事例は、「技術的負債」がエンジニアリングチームの「内部的な問題」ではなく、企業の「機会損失」を直接的に生み出す「経営・財務上の問題」であることを完璧に示しています。
金融上の負債が「利息」を生むように、技術的負債も「利息」を生みます 29。ソフトウェアにおける「利息」とは、「新しい機能を追加しようとするたびに、余計にかかる開発時間」や「頻発するシステム障害の対応コスト」です 30。マッキンゼーの事例の企業は、この「利息」が膨らみすぎた結果、新しい投資(事業変革)のROIが著しく悪化し、5億ドルものビジネスチャンスを諦めざるを得なくなったのです。
3.5 ソフトウェア工学の「価値」を測定する
ソフトウェア工学の価値を測定することは、その「複雑」で「創造的」な性質ゆえに、長らく「ブラックボックス」とされてきました 31。工場のライン作業のように、「書いたコードの行数」といった単純な指標では、その価値も生産性も測れません。
現代のソフトウェア工学では、「個人のパフォーマンス」ではなく、「チームのパフォーマンス」や「システムの健全性」を測定します 32。特に重視されるのが、アイデアが顧客に届くまでの「流れ(Flow)」を測定する「フロー・メトリクス(Flow Metrics)」です 32:
- サイクルタイム(Cycle Time): 開発者が作業を開始してから完了するまでの時間 32。
- リードタイム(Lead Time): アイデアが生まれてから本番環境の顧客に届くまでの総時間 32。
- デプロイ頻度(Deployment Frequency): どれだけ頻繁に新機能や修正をリリースできるか 32。
- 変更失敗率(Change Failure Rate): リリース(デプロイ)が原因で本番環境に障害が発生する割合 33。
優れたソフトウェア工学チームは、エンジニアの「忙しさ(Activity)」ではなく、ビジネスの「成果(Outcome)」を測定します。
「デプロイ頻度」が高く「変更失敗率」が低いチームは、ビジネスが求める新しいアイデアを、低リスクで迅速に市場に投入できることを意味します 32。これは、3.1節で述べた「TTM短縮による競争優位性」 21 と直接結びつきます。
経営者は、エンジニアリング部門に「この機能は何人月かかったか?」と問う(=コストの視点)だけでなく、「今月のデプロイ頻度と変更失敗率はどうだったか?」と問う(=ビジネスの俊敏性、価値の視点)べきです。
第4部 ソフトウェア工学の「未来」 — 生成AI、そして次なるフロンティア
ソフトウェア工学は今、生成AIの登場によって、その歴史上最大の変革期を迎えています。

4.1 生成AIが塗り替えるソフトウェア開発の風景
私たちは今、AIが人間の「アシスタント」 34 であるに留まらず、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の全工程を実行する「エンジン」そのものになる、「AI-First SDLC」の時代に入りつつあります 35。
生成AIは、SDLCのあらゆる段階を根本から変革します 36:
- 分析(要求): AIがステークホルダーとの会議(テキスト、音声)を分析し、仕様書や「ユーザー・ストーリー」を自動生成します 35。
- 設計: AIが要求仕様に基づき、アーキテクチャ図、データモデル、シーケンス図、さらにはUXのワイヤーフレーム案を生成します 35。
- 開発(コーディング): AIがコードスニペットや関数全体を生成し 38、レガシーコードの翻訳(例:COBOLからJavaへ) 38、デバッグ支援を行います 36。
- テスト: AIが要求仕様やコードから「テストケース」を自動生成し 39、テスト用データ 41 やテスト用スクリプト 37 も生成します。
- デプロイ・保守: AIがIaC(Infrastructure as Code)スクリプト 36 やドキュメント 37 を自動生成し、本番環境のログを監視して異常を検知・修正提案します 36。
AWSとIBMが共同開発したソリューションの顧客データによれば、開発時間「最大30%削減」、テスト生成時間「最大25%改善」、コード品質「最大25%向上」といった具体的な効果が報告されています 43。PwCはさらに踏み込み、「現在2週間かかるスプリントが2日になる」と予測しています 37。
表3:生成AIによるSDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)の変革
| SDLCフェーズ | 従来のタスク(人間 + ツール) | AI-First SDLC(AIエージェントのタスク) |
| 分析・要求 | 人間がインタビューし、仕様書を手動で作成。 | AIが会議録を分析し、要求仕様とユーザー・ストーリーを自動生成 37。 |
| 設計 | アーキテクトが図を手描き、またはツールで作成。 | AIが要求に基づき、アーキテクチャ図、データモデル、シーケンス図を生成 36。 |
| 開発 | 人間がコードエディタでコードを記述。 | AIがコード全体を生成 38。人間はレビューと修正、指示に集中 44。 |
| テスト | 人間がテストケースを手動で設計・作成。 | AIが要求仕様やコードから網羅的なテストケース、テストデータ、テストコードを自動生成 [39, 40, 41]。 |
| 保守 | 人間が本番ログを読み、デバッグを行う。 | AIが本番ログを監視し、異常を検知、修正案を提示し、ドキュメントを自動更新 [36, 37]。 |
4.2 [事例] GitHub Copilot:生産性55%向上の衝撃
生成AIによる変革を象徴するのが、AIコーディングアシスタント「GitHub Copilot」です。
GitHubが実施した制御実験(95人の開発者を2グループに分けて比較)において、Copilotを使用したグループは、使用しなかったグループと比較して、タスク(JavaScriptでのサーバー作成)の完了速度が「55%速い」という衝撃的な結果が出ました 45。
しかし、この調査の最も重要な発見は「速度」だけではありません。Copilotがもたらす真の価値は、開発者の「幸福度」の向上にありました 45:
- 満足度の向上: Copilotを使用した開発者の60〜75%が、「仕事への満足度が向上した」「コーディング中のフラストレーションが減った」と回答しました 45。
- 精神的エネルギーの温存: 73%が「フロー状態(集中・没入)を維持しやすくなった」、87%が「反復的なタスクでの精神的エネルギーを温存できた」と回答しました 45。
これは単に「気持ちが良い」という話ではありません。フラストレーションが減り、満足度が上がることは、エンジニアの「燃え尽き症候群の防止」と「離職率の低下」に直結します 46。優秀なエンジニアの採用と維持にかかる莫大なコストを考えれば、この「幸福度」への投資は、速度向上と同じか、それ以上に高いROI(投資収益率)を持つ可能性があります。
AIは「退屈な反復作業」 45 を自動化し、エンジニアが「より満足度の高い」 45 仕事、すなわち「複雑な問題解決」や「創造的なアーキテクチャ設計」 47 により多くの時間を割くことを可能にします。
4.3 生成AIの光と影:新たなリスクへの備え
生成AIは万能の解決策ではなく、強力な「光」の裏には深刻な「影」も存在します。
リスク1:「技術的負債」の爆発的増殖
48と48は、生成AIがもたらす最大の危険性について警告しています。それは、「開発者が自分でも理解できない複雑なコード」をAIが容易に生成できてしまうことです 48。
ソフトウェアの総所有コスト(TCO)の90%は、開発後の「保守」で発生すると言われています 48。もしAIが「開発コストゼロ」でコードを生成したとしても、そのコードが複雑すぎて誰も保守できない「ブラックボックス」であった場合、将来の「メンテナンスコスト」は天文学的な額に跳ね上がります 48。
このリスクは、AIによる「生産性向上」という短期的な利益をすべて吹き飛ばし、数年後に組織を保守不能な負債で破綻させる可能性があります。
リスク2:ハルシネーション(幻覚)と品質低下
AIが生成するコードは完璧ではなく、「バグ、セキュリティ問題、非効率なコード」を含む可能性があります 36。AIが生成したコードであっても(あるいは、そうであるからこそ)、人間による厳格な「コードレビュー」がこれまで以上に不可欠です 44。
リスク3:バイアスと倫理的問題
AIモデルは学習データに含まれる「バイアス」を再現する可能性があり、差別的なコードや不公平な意思決定を生み出すリスクがあります 49。
結論として、生成AIはソフトウェア工学における「レバレッジ(てこ)」として機能します。優れたエンジニアリング・プロセス(厳格なコードレビュー、テスト、負債管理)を持つ組織では、AIは生産性を爆発的に向上させます。しかし、プロセスのない組織では、AIは「技術的負債」を爆発的に増殖させます 48。経営者は、AI導入による「開発者の生産性向上」 45 という指標だけに目を奪われず、「AIが生成したコードの保守性」や「技術的負債の増加率」といった裏側のリスク指標も同時に管理する必要があります。
4.4 ポストAI時代のソフトウェアエンジニアの役割
AIがコーディングを自動化しても、ソフトウェアエンジニアの仕事はなくなりません。その役割が「増強」され、変化するだけです 50。
キャリア34年のベテランエンジニアは、自身のキャリアにおいて「コーディング」に費やした時間は全体の25〜40%に過ぎず、残りの時間は要求の理解、設計、他者とのコミュニケーションなど、AIには代替できないタスクに費やしてきたと述べています 51。
AIには(現在のところ)「人間の創造性」や「直感」はありません 47。また、AIには、ビジネスの複雑な「コンテキスト(文脈)」を理解し、「ステークホルダー(利害関係者)」と要件を調整することはできません 47。
エンジニアのスキルは、コードを「書く(Write)」能力から、AIに「指示する(Prompt)」能力、AIの生成物を「レビューする(Review)」能力、そしてシステム全体を「設計する(Architect)」能力へと、その重点が移行します。エンジニアは、雑務である「どうやって(How)」から解放され、本質的な「なぜ(Why)」に集中できるようになります 52。
4.5 フロンティア1:DevSecOps — セキュリティは「後付け」しない
未来のソフトウェア工学における重要なトレンドの一つが「DevSecOps」です。これは、高速なDevOps(開発と運用)のライフサイクルに、「セキュリティ(Security)」を最初から組み込む(Embed)考え方です 53。
その中核概念が「シフトレフト(Shift-Left)」です 53。これは、従来、開発プロセスの「最後(右側)」で行われていたセキュリティチェックを、「最初(左側)」(つまり開発の早期段階)に組み込むことを意味します 54。
この背景には、切実なビジネス上の理由があります。
セキュリティチェックが手動プロセスの場合、それがボトルネックとなりコードのリリースが遅れます(73%の組織が手動セキュリティプロセスによって遅延を経験) 55。その結果、リリースの速度を優先するために、調査によれば「半数近くの組織が、時間的プレッシャーから脆弱性があることを知りながら、意図的にコードをデプロイしている」という極めて危険な実態があります 55。
DevSecOpsは、SAST(静的解析)、DAST(動的解析)といったセキュリティスキャンをCI/CDパイプラインに「自動化」して組み込むことで 54、この「速度 vs. 安全性」という最悪のトレードオフを解消しようとします。
「シフトレフト」は、単なるセキュリティ強化策ではなく、本質的には「コスト削減」戦略です。バグや脆弱性は、発見が「後(右)」になるほど(=本番環境に近くなるほど)、その修正コストが指数関数的に増大します。「シフトレフト」は、最もコストが安い「開発中(左)」のうちに自動で問題を発見・修正することで、将来の「高額な」修正コスト(障害対応、ブランド毀損、顧客からの訴訟)を未然に防ぐ、合理的な投資戦略なのです。

4.6 フロンティア2:クラウドネイティブ — 真の俊敏性を手に入れる
クラウドネイティブは、単に「既存のアプリをクラウドに移行する(リフト&シフト)」ことではありません。Amazon Web Services (AWS) や Microsoft Azure のようなクラウド環境の能力を最大限に活用するために、ゼロから設計されたアプリケーションの構築・運用アプローチです 56。
これは、コンテナ(Dockerなど)、マイクロサービス(小さな機能ごとのサービス分割)、サーバーレス(サーバー管理不要の実行環境)、DevOpsといった技術や手法を前提とします 58。
クラウドネイティブがもたらす最大のビジネスメリットは、「TTM(市場投入までの時間)の劇的な短縮」 61、「スケーラビリティ」、そして「レジリエンス(回復性)」です 56。
- スケーラビリティ: SNSでのバズなど、予測不可能なトラフィックの急増に自動的かつ瞬時に対応できます 56。
- レジリエンス: マイクロサービス 62 のようにシステムが疎結合に分割されているため、一部のサービスが故障してもシステム全体がダウンせず、「自己修復(Self-Healing)」します 56。
これは、ITインフラを「固定費(将来需要を予測してサーバーを購入する投資)」から「変動費(需要が急増した時だけリソースを使い、使った分だけ支払う)」 56 へと変える、経営モデルの変革です。
ただし、この「俊敏性」にはトレードオフが伴います。マイクロサービス 60 は、システム全体の「複雑性」を著しく増大させます 63。サービス間の通信管理、監視の複雑化 62、開発者の「認知負荷(cognitive load)」の増大 63 など、モノリシック(一枚岩)なシステムにはなかった新たな工学的課題が発生します。
4.7 フロンティア3:サステナブル・ソフトウェア工学(Green IT)
最後に、最も新しいフロンティアとして「持続可能なソフトウェア工学(Sustainable Software Engineering: SSE)」が登場しています。
IT分野が世界の温室効果ガス排出量に占める割合はすでに4%に達しており、航空業界を超えています 64。特に生成AIのトレーニングと運用には膨大な電力を消費するため、この数値は今後劇的に増加すると予測されています 64。
SSEは、気候科学、ソフトウェア、ハードウェア、電力市場、データセンター設計の交差点に位置する新しい規律です 65。その中核となる原則は以下の通りです 66:
- 炭素効率(Carbon Efficiency): 可能な限り少ない炭素排出でソフトウェアを実行する 69。
- エネルギー効率(Energy Efficiency): 可能な限り少ないエネルギー(電力)で実行する。
- 炭素認識(Carbon Awareness): 電力がクリーンな(再生可能エネルギー由来の)時間帯により多くの処理を行い、電力がダーティな(化石燃料由来の)時間帯は処理を減らす。
- ハードウェア効率(Hardware Efficiency): サーバー等のハードウェアを可能な限り効率的に、長く使用する。
- 測定(Measurement): 測定できないものは改善できない。
この分野を単なるCSR(企業の社会的責任)の問題として捉えるのは早計です。SSEの原則を適用した結果、「グリーン(Green)」なソフトウェアは、ほとんどの場合「チーパー(Cheaper)」(より安価な)ソフトウェアになります 64。
なぜなら、特にクラウド環境では、「リソース消費量(=エネルギー効率、ハードウェア効率)が正確に追跡され、そのまま請求書に反映される」ためです 64。ある事例では、持続可能性の原則を適用してアーキテクチャを見直した結果、不要なリソース(クラスター、ストレージ等)が削除され、結果として「クラウドコストが70%削減」されました 71。
サステナビリティ(持続可能性)は、「環境負荷低減」と「運用コスト削減」の両方を達成する、Win-Winの工学的手法なのです 65。
第5部 結論 — ビジネスリーダーのためのソフトウェア工学
本レポートで見てきたように、ソフトウェア工学は、もはやIT部門の「技術」ではなく、企業の生死を分ける「ビジネス戦略」そのものです。
ソフトウェア工学の規律は、「市場投入までの時間(TTM)」 21 を決定し、「技術的負債」 28 という形で未来のビジネス機会を奪い、「ナイト・キャピタル」 25 のように一瞬で企業を破綻させるリスクを内包しています。
経営者が管理すべきは、エンジニアが書く「コード」そのものではなく、1960年代の「ソフトウェア危機」 9 から一貫して我々を悩ませてきた「複雑性(Complexity)」です。経営者とエンジニアは、「複雑性」を管理し、「価値」を測定し(フロー・メトリクス 32)、「リスク」(セキュリティ 54、保守性 48)に備えるために、ソフトウェア工学という「共通言語」を持つ必要があります。
生成AI 35、クラウドネイティブ 58、DevSecOps 53、サステナビリティ 65 といった未来のトレンドは、すべて「より速く、より安全に、より効率的に」ビジネス価値を届けるための工学的手法です。
AI時代のビジネスリーダーに求められるのは、これらの手法を戦略的に導入し、特に生成AIがもたらす「生産性のレバレッジ」 45 と「技術的負債のリスク」 48 を賢く管理すること。それこそが、新しい時代の「ソフトウェア工学」の視点です。
引用文献
- Software Engineering (glossary) – SEBoK, 11月 8, 2025にアクセス、 https://sebokwiki.org/wiki/Software_Engineering_(glossary)
- Are you practicing software engineering (systematic, disciplined, quantifiable approaches)?, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.reddit.com/r/SoftwareEngineering/comments/11b8xju/are_you_practicing_software_engineering/
- Software Engineering Body of Knowledge – Wikipedia, 11月 8, 2025にアクセス、 https://en.wikipedia.org/wiki/Software_Engineering_Body_of_Knowledge
- Guide to the Software Engineering Body of Knowledge – IIS Windows Server, 11月 8, 2025にアクセス、 https://sceweb.sce.uhcl.edu/helm/SWEBOK_IEEE/SWEBOK_Guide_2004.pdf
- The Software Engineering Code of Ethics and Professional Practice – ACM, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.acm.org/code-of-ethics/software-engineering-code
- Understanding the eight principles of the ACM / IEEE Software Engineering Code of Practice, 11月 8, 2025にアクセス、 https://theteacher.info/index.php/programming-development-1/9-economic-moral-legal-ethical-and-cultural-issues/professional-standards/3642-understanding-the-eight-principles-of-the-acm-ieee-software-engineering-code-of-practice
- Software engineering code of ethics – Computer Science Department, 11月 8, 2025にアクセス、 https://cs.pomona.edu/~michael/courses/csci190f20/papers/ethics.pdf
- Software crisis – Wikipedia, 11月 8, 2025にアクセス、 https://en.wikipedia.org/wiki/Software_crisis
- Has the Software Crisis Passed?. In the 1960s, the computer science… | by Ryan Cohane | Medium, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@ryancohane/has-the-software-crisis-passed-d45ce975a1e7
- Software Crisis – Software Engineering – GeeksforGeeks, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.geeksforgeeks.org/software-engineering/software-engineering-software-crisis/
- 11月 8, 2025にアクセス、 https://taylorandfrancis.com/knowledge/Engineering_and_technology/Computer_science/Software_crisis/#:~:text=The%20term%20%E2%80%9Csoftware%20engineering%E2%80%9D%20came,.%E2%80%9D%20Previously%2C%20the%20industry%2C
- NATO Software Engineering Conferences – Wikipedia, 11月 8, 2025にアクセス、 https://en.wikipedia.org/wiki/NATO_Software_Engineering_Conferences
- NATO Software Engineering Conference. Garmisch, Germany, 7th to 11th October 1968 – Scrum Manager, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.scrummanager.com/files/nato1968e.pdf
- 1968 NATO Software Engineering Conference, 11月 8, 2025にアクセス、 https://isthisit.nz/posts/2022/1968-nato-software-engineering-conference/
- The Evolution of Software Development Methodologies – Xorbix Technologies, 11月 8, 2025にアクセス、 https://xorbix.com/insights/the-evolution-of-software-development-methodologies/
- The Evolution of Software Development Methodologies – DEV Community, 11月 8, 2025にアクセス、 https://dev.to/jottyjohn/the-evolution-of-software-development-methodologies-4652
- Top 4 Software Development Methodologies | Black Duck Blog, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.blackduck.com/blog/top-4-software-development-methodologies.html
- Waterfall vs Agile vs DevOps Methodologies Comparison for 2025 – Veritis, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.veritis.com/blog/waterfall-vs-agile-vs-devops-which-production-method-should-you-take/
- The evolution of development methodologies: from Waterfall to CD through DevOps, 11月 8, 2025にアクセス、 https://playsdev.com/blog/evolution-of-development-methodologies/
- Proving the Business Value of Software Engineering – Gartner, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.gartner.com/en/software-engineering/topics/software-engineering-business-value
- How to Reduce Time to Market in Software Development – Designli, 11月 8, 2025にアクセス、 https://designli.co/blog/how-to-reduce-time-to-market-in-software-development
- How to Improve Time-To-Market? 6 Proven Strategies – LeanCode, 11月 8, 2025にアクセス、 https://leancode.co/blog/faster-time-to-market
- Understanding Time to Market (TTM) in Software Development – Radixweb, 11月 8, 2025にアクセス、 https://radixweb.com/blog/improve-time-to-market-with-right-it-outsourcing-company
- 11 of the most costly software errors in history · Raygun Blog, 11月 8, 2025にアクセス、 https://raygun.com/blog/costly-software-errors-history/
- Famous Project Failures in the World | by Dinitha Santhupa | Medium, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@dinithapunchihewa/famous-project-failures-in-the-world-848132eb6def
- Project Failure Case Studies – Henrico Dolfing, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.henricodolfing.com/p/project-failure-case-studies.html
- Case Studies of Notable Successful Software Development … – CoDev, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.codev.com/article/case-studies-of-notable-successful-software-development-outsourcing-projects
- Tame tech debt to modernize your business | McKinsey, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.mckinsey.com/capabilities/mckinsey-digital/our-insights/breaking-technical-debts-vicious-cycle-to-modernize-your-business
- The Hidden Value of Test Data: A Case Study on Tech Debt & Business Value | Tonic.ai, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.tonic.ai/guides/test-data-tech-debt-business-value
- Transforming Technical Debt into Business Value – Axelerant, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.axelerant.com/blog/transforming-technical-debt
- Yes, you can measure software developer productivity – McKinsey, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.mckinsey.com/industries/technology-media-and-telecommunications/our-insights/yes-you-can-measure-software-developer-productivity
- Software engineering metrics: What to measure — and what to ignore – Appfire, 11月 8, 2025にアクセス、 https://appfire.com/resources/blog/software-engineering-metrics
- The Complete Guide to Engineering ROI (Maximize Returns on Your Technical Investments), 11月 8, 2025にアクセス、 https://fullscale.io/blog/measuring-engineering-roi-guide/
- Generative AI: Revolutionizing the Future of Software Development, 11月 8, 2025にアクセス、 https://ryanwilliamsonc.medium.com/generative-ai-revolutionizing-the-future-of-software-development-48e36d72e703
- AI-First SDLC: The Future of Software Development | by Tahir Saeed | Sep, 2025, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@tahir.saeed_46137/ai-first-sdlc-the-future-of-software-development-40e9e21e60e9
- How generative AI can revolutionize the software development …, 11月 8, 2025にアクセス、 https://kpmg.com/kpmg-us/content/dam/kpmg/pdf/2023/KPMG-GenAI-and-SDLC.pdf
- 10 ways GenAI improves software development – PwC, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.pwc.com/us/en/tech-effect/ai-analytics/generative-ai-for-software-development.html
- What is AI code-generation software? – IBM, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.ibm.com/think/topics/ai-code-generation
- Generative AI in Quality Assurance: Transforming QA Automation for the Future, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@einfochips/generative-ai-in-quality-assurance-transforming-qa-automation-for-the-future-ff4fcfa1c200
- Generative AI in Software Testing: Reshaping the QA Landscape – testRigor, 11月 8, 2025にアクセス、 https://testrigor.com/generative-ai-in-software-testing/
- How Does Gen AI Help in Improving Test Coverage?, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@amaralisa321/how-does-gen-ai-help-in-improving-test-coverage-c80042df4b11
- The Impact of Generative AI on Software Testing – ISG-One, 11月 8, 2025にアクセス、 https://isg-one.com/articles/the-impact-of-generative-ai-on-software-testing
- Transforming the Software Development Lifecycle (SDLC) with …, 11月 8, 2025にアクセス、 https://aws.amazon.com/blogs/apn/transforming-the-software-development-lifecycle-sdlc-with-generative-ai/
- How AI code generation works – The GitHub Blog, 11月 8, 2025にアクセス、 https://github.blog/ai-and-ml/generative-ai/how-ai-code-generation-works/
- Research: quantifying GitHub Copilot’s impact on developer …, 11月 8, 2025にアクセス、 https://github.blog/news-insights/research/research-quantifying-github-copilots-impact-on-developer-productivity-and-happiness/
- Is GitHub Copilot worth it? ROI & productivity data | LinearB Blog, 11月 8, 2025にアクセス、 https://linearb.io/blog/is-github-copilot-worth-it
- Is There a Future for Software Engineers? The Impact of AI [2025] – Brainhub, 11月 8, 2025にアクセス、 https://brainhub.eu/library/software-developer-age-of-ai
- Generative AI: get ready to multiply your Technical Debt | by Steve …, 11月 8, 2025にアクセス、 https://blog.metamirror.io/generative-ai-get-ready-to-multiply-your-technical-debt-fd60ee7d7f4e
- ソフトウェア開発における生成 AI のリスクとメリット – CircleCI, 11月 8, 2025にアクセス、 https://circleci.com/ja/blog/risks-rewards-generative-ai/
- Will AI Make Software Engineers Obsolete? Here’s the Reality, 11月 8, 2025にアクセス、 https://bootcamps.cs.cmu.edu/blog/will-ai-replace-software-engineers-reality-check
- AI Tools and the Future of Software Engineers | by Kumar Vembu – Medium, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@ukv2808/ai-tools-and-the-future-of-software-engineers-b981a4c03f06
- How AI Will Impact Software Development in 2025 and Beyond | Dice.com Career Advice, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.dice.com/career-advice/how-ai-will-impact-software-development-in-2025-and-beyond
- Emerging Trends of DevSecOps in 2025 | by InfosecTrain – Medium, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@Infosec-Train/emerging-trends-of-devsecops-in-2025-49b170ac47ef
- DevSecOps Automation Strategies for 2025’s DevSecOps Trends, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.puppet.com/blog/devsecops-automation
- 30+ DevSecOps Statistics You Should Know in 2025 – StrongDM, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.strongdm.com/blog/devsecops-statistics
- The Cloud-Native Revolution: A Beginner’s Guide to Building the Future in 2025, 11月 8, 2025にアクセス、 https://dev.to/vellanki/the-cloud-native-revolution-a-beginners-guide-to-building-the-future-in-2025-3hik
- Cloud-Native Development: The Future of Application Building – Softensity, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.softensity.com/blog/cloud-native-development-the-future-of-application-building/
- The Future of Cloud-Native Development: What’s Next – MultiQoS, 11月 8, 2025にアクセス、 https://multiqos.com/blogs/future-of-cloud-native-development/
- The Future of Cloud-Native DevOps, DataOps, FinOps and Beyond, 11月 8, 2025にアクセス、 https://cloudnativenow.com/contributed-content/the-future-of-cloud-native-devops-dataops-finops-and-beyond/
- Challenges of a Microservices Architecture – Apriorit, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.apriorit.com/dev-blog/building-microservices-architecture
- 8 Advantages of Cloud-Native Application Development – CoreSite, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.coresite.com/blog/8-advantages-of-cloud-native-application-development
- Understanding the Challenges of Microservices Adoption and How to Overcome Them, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.xcubelabs.com/blog/understanding-the-challenges-of-microservices-adoption-and-how-to-overcome-them/
- Overcoming the challenges of implementing microservice architecture – Port.io, 11月 8, 2025にアクセス、 https://www.port.io/blog/microservice-architecture
- Decarbonise your IT with sustainable software engineering – PlanA.Earth, 11月 8, 2025にアクセス、 https://plana.earth/academy/it-decarbonisation-sustainable-engineering
- Sustainable Software Engineering Practices | Brainboard Blog – Medium, 11月 8, 2025にアクセス、 https://medium.com/@mike_tyson_cloud/sustainable-software-engineering-e86d29f77d4e
- The Principles of Sustainable Software Engineering – Training | Microsoft Learn, 11月 8, 2025にアクセス、 https://learn.microsoft.com/en-us/training/modules/sustainable-software-engineering-overview/
- Introduction | Learn Green Software, 11月 8, 2025にアクセス、 https://learn.greensoftware.foundation/introduction/
- Sustainable software engineering in Azure Kubernetes Services (AKS) – Microsoft Learn, 11月 8, 2025にアクセス、 https://learn.microsoft.com/en-us/azure/aks/concepts-sustainable-software-engineering
- 11月 8, 2025にアクセス、 https://learn.greensoftware.foundation/carbon-efficiency/#:~:text=Being%20carbon%20efficient%20is%20about,but%20which%20emit%20less%20carbon.
- Carbon Efficiency | Learn Green Software, 11月 8, 2025にアクセス、 https://learn.greensoftware.foundation/carbon-efficiency/
- The eight principles of sustainable software engineering – Rabobank.jobs, 11月 8, 2025にアクセス、 https://rabobank.jobs/en/techblog/eight-principles-of-sustainable-software-engineering/
- Sustainable Software Development: What is It, Best Practices | Beetroot, 11月 8, 2025にアクセス、 https://beetroot.co/greentech/best-practices-of-sustainable-software-development/

