皮下脂肪と内臓脂肪のサイエンス

目次

はじめに

お腹のお肉が気になる方、健康診断で肥満について指摘された方。

日常で脂肪について気になる場面は色々あります。

しかしながら、脂肪組織がどのようなものか実際に理解されている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、脂肪組織の概要と脂肪細胞の種類について簡単にご説明いたします。

意外と脂肪組織は科学的にミステリアスで研究者の興味を惹く一領域なのです。

ぜひ本記事を読んでいただき、脂肪組織への理解を深めるとともに、科学の対象としても脂肪組織に興味を持っていただけると嬉しいです。

一般的な脂肪組織

まずは一般的な脂肪組織についてご紹介させていただきます。

脂肪組織は脂肪細胞を中心に、毛細血管やマクロファージをはじめとした免疫系の細胞が集まって構成されています。

脂肪細胞はその細胞のほとんどが脂肪滴です。

細胞内小器官も存在しますが、脂肪滴に追いやられて隅っこに詰められたような模式図で脂肪細胞はよく表現されます。

脂肪組織に含まれる脂肪細胞は蓄積箇所によって少々性質が異なることが知られています。

次の章で具体的に脂肪細胞の種類を見ていきましょう。

色んな脂肪組織 -内臓脂肪、皮下脂肪、褐色脂肪-

脂肪組織(脂肪細胞)には内臓脂肪組織、皮下脂肪組織、褐色脂肪組織の三種が知られています。

内臓脂肪細胞は内臓における脂肪で、炎症反応を伴うことが知られています。

一般に悪玉アディポカインと呼ばれる悪性因子を放出し、それらは高血圧や抗インスリンを引き起こすことが知られています。

一方、皮下脂肪は炎症反応を伴うことが少なく、「健康的な」脂肪と考えられています。

皮下脂肪細胞もアディポカインを出すことが知られていますが、これらは身体に良い善玉アディポカインと呼ばれています。

褐色脂肪組織は体温調節に貢献する脂肪組織です。

他の脂肪組織に比べてミトコンドリアの量が多く、非ふるえによる熱産生に貢献します。

↓体温調節に関しての話は以下の記事でもご紹介しています。

褐色脂肪細胞は他の脂肪組織と違って溜まる場所が非常に限局的で肩甲骨の周囲が主な溜まる場所として知られています。

論文を見たところ、肩甲骨以外でも褐色脂肪細胞が溜まる箇所が記載されています。褐色脂肪細胞に関してはまた別の記事でまとめたいと思います。

これらの違いは細胞生物学的にも発生学的にも知られていて、ただ違う場所についていることで名前が異なるだけではないのです。

アディポカイン

改めてアディポカインについて紹介します。

アディポカインとは、脂肪細胞から放出されるサイトカインの総称です。

アディポカインには善玉アディポカインと悪玉アディポカインの二種類存在することが知られていて、それぞれ多くのアディポカインが知られています。

主に皮下脂肪組織から放出される善玉アディポカインとして最も有名なアディポカインはアディポネクチンです。

アディポネクチンは〜年に発見された善玉のアディポカインで、インスリン抵抗性の改善や高血圧の予防などに効果があると言われています。

レプチンはアディポネクチンの次に有名なアディポカインです。

レプチンは食欲ホルモンとして知られていて、摂食を抑制します。

悪玉アディポカインとして知られる最も有名なものはTNF-αです。

TNF-αはアディポカインとしてだけではなく、炎症反応の際にマクロファージやリンパ球によっても産生されることが知られていて、炎症性サイトカインと呼ばれたりもします。

TNFαは悪玉アディポカインとしてはインスリン抵抗性の亢進や高血圧の誘因など、一般に肥満によってもたらされるとされる害悪を招く物質として知られています。

PAIやIL-6、MCP1もTNF-αと同様で、悪玉アディポカインとして知られている一方で炎症性サイトカインとしても知られています。

終わりに

皮下脂肪と内臓脂肪は一般の人にとっては溜まる場所が違うだけで同じ脂肪であると思われがちです。

しかしながら、少し解像度を上げると生成するアディポカインやミトコンドリアの量が違ったりそもそもの細胞の性質としてもそれぞれ異なることに気付かされます。

本記事で記載したことはまだ脂肪細胞のサイエンスのほんの入り口です。

また別の機会でより詳しい内容をまとめていきます。

引き続きよろしくどうぞお願いいたします。

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