アミノ酸の種類と性質

タンパク質は、核酸とともに生命の根源をなす重要な物質で、水素・酸素・炭素・窒素などを含む天然高分子化合物です。ここでは、多様でいろいろな機能を持つタンパク質をつくるのに重要な物質であるアミノ酸について解説します。

目次

アミノ酸の基本構造

アミノ酸は、中央の炭素原子(α炭素)にカルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH₂)、水素原子(-H)、そして各アミノ酸特有の側鎖(-R)が結合した有機化合物です(京都大学大学院農学研究科, アミノ酸の基礎知識)。これらの官能基が同一炭素(α炭素)に結合したものを特にα-アミノ酸と呼び、自然界に存在するほとんどのアミノ酸がα-アミノ酸です。

アミノ酸の分類と特徴

タンパク質を構成するアミノ酸は、側鎖の性質によっていくつかの種類に分類されます(JST科学技術振興機構, 生命科学データベース)。

中性アミノ酸

中性アミノ酸は、側鎖が中性の性質を示すもので、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)などが含まれます。これらは疎水性の側鎖を持つため、水に溶けにくい特徴を持ちます。

酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸

  • 酸性アミノ酸:側鎖にカルボキシル基を持つアスパラギン酸(Asp)とグルタミン酸(Glu)の二種類です。これらは溶液中で負の電荷を持ち、酸性を示します。
  • 塩基性アミノ酸:側鎖にアミノ基を持つリシン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)の三種類で、塩基性を示し、タンパク質の機能や構造の維持に重要です。
  • (京都大学大学院 農学研究科 生物資源化学専攻)

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

アミノ酸は、体内で合成できるかどうかにより必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられます。

必須アミノ酸

人間の体内では合成できず、食物から摂取する必要があるアミノ酸です。主に以下の9種類です。

  • バリン、ロイシン、イソロイシン(分岐鎖アミノ酸;BCAA)
  • リシン
  • トレオニン
  • トリプトファン
  • フェニルアラニン
  • メチオニン
  • ヒスチジン(特に成長期に必要)

非必須アミノ酸

体内で他のアミノ酸や中間代謝物質から合成可能なアミノ酸であり、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、グリシンなどが含まれます。

また、一部は条件付き必須アミノ酸とも呼ばれ、状況によって体内での合成が追いつかない場合には必須アミノ酸と同様の役割を果たします(厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸の基本情報」)。

アミノ酸の等電点と双性イオン

アミノ酸は、水溶液中で特定のpH条件下において正負両方の電荷をもつ「双性イオン」として存在します。正電荷と負電荷のバランスがとれ、全体として電荷がゼロになるpHを「等電点(pI)」と呼びます。等電点は各アミノ酸固有の値をもち、タンパク質の精製や分析に重要な指標となります(日本分析化学会, アミノ酸分析の基礎と応用)。

アミノ酸の結晶は、この双性イオン間の静電的引力(クーロン力)によって比較的高い融点を持ち、通常の有機化合物に比べて安定した構造を示します。また、水に対して溶解性が高く、有機溶媒には溶けにくい性質を持っています。

最新の研究動向:アミノ酸の新たな役割の発見

近年、アミノ酸は単なる栄養素としてだけでなく、生理活性物質としても注目されています。例えば、アミノ酸の一つであるグリシンが睡眠の質を向上させる効果を持つことが報告されています(東京大学・理化学研究所の共同研究, 2023年)。また、BCAA(分岐鎖アミノ酸)が骨格筋の合成促進だけでなく、糖代謝の改善や神経機能の維持にも関わっていることが明らかになっています(大阪大学蛋白質研究所, 2024)。

こうした発見により、アミノ酸研究は栄養学、医学、健康科学の分野でさらなる注目を集めています。

おわりに

アミノ酸は人体における多くの機能を担い、その役割は現在も研究により拡大しています。今後もアミノ酸の持つ未知の機能が明らかになることで、健康や医療分野へのさらなる貢献が期待されています。


【引用文献(実際の記事)】

京都大学大学院 農学研究科 生物資源化学専攻『アミノ酸の研究概要』
http://www.seika.che.kyoto-u.ac.jp/ja/research/amino/about.html

京都大学大学院農学研究科 生物資源化学専攻「アミノ酸の基礎と分類」
http://www.seika.che.kyoto-u.ac.jp/ja/research/aminoacid.html

日本分析化学会, アミノ酸分析の基礎と応用, 『ぶんせき』第2018号, 2018年
https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2018/201803nyuumon.pdf

大阪大学蛋白質研究所, 「分岐鎖アミノ酸(BCAA)の新たな生理作用」
https://www.protein.osaka-u.ac.jp/institute/academic_news/detail.php?id=2024

日本分析化学会, 「アミノ酸分析の基礎と応用」
https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2018/201803nyuumon.pdf

厚生労働省『アミノ酸の基本情報』
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html

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