序章:Ex Vivo ―「生体の外」で生命の営みを保つ技術
現代の医学研究や先端医療の現場では、「ex vivo(エクスビボ)」という言葉が、かつてないほど重要な役割を担うようになっています。進行がん患者の治療法を決定するための精密医療 1、白血病などを治療する革新的な遺伝子治療 2、あるいは移植可能な臓器を増やし、多くの命を救う技術 3 など、最先端の医療は、この ex vivo という概念抜きには語れません。
しかし、この用語は一般の方には馴染みが薄く、多くの混乱を招きがちです。ご質問にあったように、「ex vivo とは細胞のことなのか?」「それとも試験管のような環境を指すのか?」という疑問は、非常に的を射ています。実際、この混乱は一般の方に限ったことではなく、再生医療や生物医学の研究コミュニティ内部でさえ、関連用語の定義が混同されたり、一貫性なく使用されたりしていることが問題視されるほどです 4。
この混乱の主な原因は、ex vivo が、しばしば in vivo(インビボ)や in vitro(インビトロ)といった、他の一見似たようなラテン語の科学用語とひとまとめにされがちな点にあります 5。
これらの用語の正確な意味を、まずはその語源から確認することが、理解への第一歩となります。
- In Vivo (インビボ): ラテン語で「生体内で (within the living)」を意味します。これは、マウスやヒトといった、生きている生物(個体)の体内で直接行われる実験や治療を指します 6。
- In Vitro (インビトロ): ラテン語で「ガラス内で (in glass)」を意味します。歴史的に、実験がガラス製の試験管やペトリ皿で行われていたことに由来します 7。これは、生物から細胞などを「単離」し、管理された人工的な環境下で行う実験を指します 8。
- Ex Vivo (エクスビボ): ラテン語で「生きたものから外へ (out of the living)」を意味します。これは、生きた生物から組織、臓器、または細胞を「取り出し」、体外の人工的な環境下で、その生体本来の状態を「最小限の変更」で維持しながら行う実験や処置を指します 5。
海外の文献では、この違いを「パズル」に例えて分かりやすく説明しているものがあります 5。In vivo がパズル全体(つまり生体)の複雑な相互作用をそのまま観察することだとすれば、in vitro はパズルのピースを作る素材(個々の細胞)の特性を調べることに似ています。
そして ex vivo は、「パズルの一片(つまり組織)」をそっくりそのまま取り出して、その精巧な構造や、隣り合うピースとの接続部分(細胞同士のつながり)を、体外で詳細に観察するようなイメージです 5。
本レポートでは、この ex vivo という重要な概念について、海外の最新文献に基づき、医学研究者およびサイエンスコミュニケーターの視点から、その本質を徹底的に解き明かします。
- 第1部では、ex vivo の核となる定義を、in vitro との決定的な違い(「細胞」か「試験管」か、という疑問への回答)に焦点を当てて解説します。
- 第2部では、ご質問にあった「分野によって異なるのか?」という点について、遺伝子治療、臓器移植、創薬、がん研究の各分野で、ex vivo という言葉が具体的に何を意味し、どう応用されているかを掘り下げます。
- 第3部では、この用語がどのような歴史的経緯で生まれ、科学の世界でその地位を確立してきたのかを解説します。


第1部:Ex Vivo とは「細胞」か「試験管」か? ― In Vitro との決定的な違い
ご質問にあった「ex vivo は細胞を指すのか、試験管を指すのか」という疑問に答えるならば、その本質は「細胞」でも「試験管(環境)」でもありません。Ex vivo の本質は、**「生きた組織の『構造』そのもの」と、その構造が持つ「機能」**を扱う点にあります。
In vitro(試験管内)も ex vivo も、体外の人工的な環境で実験が行われる点は共通しています。両者を分ける決定的な境界線は、生体サンプルの「扱い方」にあります。
1-1. 核心的定義:Ex Vivo 対 In Vitro の境界線
Ex vivo と in vitro の最大の違いは、**「生物学的な複雑さ」**にあります 5。
Ex Vivo:組織構造の「維持」
Ex vivo アプローチの最大の特徴は、生体から取り出した組織や臓器の構造的完全性(architectural integrity)を維持する点にあります 5。
これは、単に細胞が生きているだけでなく、細胞同士が物理的にどうつながっているか(cell-cell connections)、そして細胞がどのような「土台(環境)」に支えられているか(細胞外マトリックス、ECM)といった、生体組織本来の3次元構造がそのまま保たれていることを意味します 5。
この「構造」が維持されているからこそ、そこでの代謝活動や生物学的プロセスは、in vivo(生体内)の状態に極めて近くなります。そのため、ex vivo モデルは**「生理的関連性が高い(physiologically relevant)」**、つまり「より本物の生体に近い」モデルと見なされます 5。
例えば、皮膚科学の研究では、手術で得られたヒトの「皮膚摘出片(skin explant)」が ex vivo モデルとして広く使われます 9。この皮膚片は、表皮、真皮、さらには毛包や皮脂腺といった皮膚の付属器官まで含んだ「本物の皮膚の断片」であり、ex vivo モデルの典型例です 9。
In Vitro:細胞の「単離」
一方、in vitro 実験は、対照的に、生物から特定の**細胞を「単離(isolate)」**し、それらを意図的に本来の生物学的環境から切り離して行うことが一般的です 5。
ペトリ皿の上で均一に培養された細胞(2D培養)は、特定の分子メカニズムを解明したり、多数の化合物の効果を一度に高速でスクリーニング(ハイスループットスクリーニング)したりする上では非常に強力なツールです。なぜなら、生体内の複雑な変数(免疫、血流、他臓器の影響など)を排除し、外部からの変数を厳密に制御できるからです 5。
このように、ex vivo は「複雑な構造を維持すること」で生体への近さを追求し、in vitro は「構造を単純化(単離)すること」で実験の制御性を追求する、という根本的な違いがあります。
1-2. よくある誤解と現代の混乱①:「24時間ルール」の真相
Ex vivo と in vitro の区別に関して、しばしば見られる一般的な説明の一つに「培養時間」で区別する、というものがあります。
一部の文献では、「生体から取り出した細胞や組織を、24時間以内に(大きな変更を加えず)使用するものを ex vivo と呼び、それ以上の長期培養を行うものは in vitro とみなす」という定義が紹介されています 7。この定義の背景には、ex vivo(生体から取り出した直後の、自然に近い状態)と in vitro(人工的な培養環境に長期間適応した状態)を区別しようという意図があったと考えられます。例えば、ニワトリの胚の膜(CAM)を使った短期の血管新生アッセイなどが、この文脈で ex vivo の例として挙げられることがあります 7。
しかしながら、この「24時間ルール」は、現代の生物医学研究の実態を反映していない、古い、あるいは過度に単純化された定義であると言わざるを得ません。
なぜなら、現代の培養技術や灌流(かんりゅう:液体を循環させること)システムの進歩により、生体組織の「生きた状態」を体外で長期間維持することが可能になっているからです。
- 例えば、ex vivo の皮膚摘出片モデルは、10日~14日間の期間で使用されることが一般的です 9。
- ある研究では、工学的に作製された骨髄(eBM)を動物から摘出し(ex vivo)、最大8週間にわたって体外で培養し、その安定性を評価しています 14。
- 消化管の組織片(explants)を用いて、薬剤の吸収などを「長期間」スクリーニングする ex vivo システムも開発されています 15。
これらの実例は、「24時間以内」という定義と明確に矛盾します。したがって、現代の科学において ex vivo と in vitro を区別する上で重要なのは、「培養時間」という便宜的な区切りではなく、**「実験開始時に、生体組織のネイティブな(本来の)構造が維持されているか」という、「構造的な定義」**なのです。
1-3. よくある誤解と現代の混乱②:オルガノイドや3D培養はどっち?
Ex vivo を巡る混乱が近年さらに深まっている最大の理由は、in vitro の技術が劇的に進化したことにあります。
現代の in vitro モデルは、もはやペトリ皿の底に広がる2次元(2D)の単層培養だけではありません 16。複数の種類の細胞を組み合わせて培養する「共培養(co-culture)」や、幹細胞などが自己組織化して立体的なミニ臓器(オルガノイド)を形成する「3D培養」が、研究の主流となりつつあります 9。
この「オルガノイド(高度な in vitro)」と、第1部で述べた「組織摘出片(ex vivo)」は、どちらも生体組織に似た3D構造を持つため、非常に混同されやすいのです 4。実際、研究論文においてさえ、これらの用語が曖昧に使われている例が散見されます 4。
しかし、両者にはその「作られ方」において、決定的な違いがあります。
- Ex Vivo(組織摘出片):トップダウン・アプローチ
すでに完成している生体組織の一部を、メスやパンチなどで「切り出し(explant)」、その複雑な構造(多様な細胞種、細胞外マトリックス、神経、血管網の痕跡など)を丸ごと維持しながら体外で培養するものです 9。これは、完成品(生体組織)から入る「トップダウン」的なアプローチです。 - In Vitro(オルガノイド):ボトムアップ・アプローチ
幹細胞や単離した前駆細胞を「種」として、マトリゲルなどの3Dの足場の中で培養し、細胞に自己組織化させることで、ゼロからミニ臓器を「再構築(reconstruct)」したものです 17。これは、部品(細胞)から組み上げる「ボトムアップ」的なアプローチです。
この違いは、皮膚科学の分野における2つの主要な3Dモデルを比較すると、非常に明確に理解できます 9。
- 「皮膚摘出片 (Skin Explant)」 (Ex Vivo):外科手術(例:美容整形)で得られたヒトの「本物の皮膚」そのもの。
- 「再構成ヒト表皮 (Reconstructed Human Epidermis)」 (In Vitro):ケラチノサイト(表皮細胞)などを培養し、人工的に「作り上げた皮膚」。
Ex vivo の皮膚摘出片は、毛包、皮脂腺、神経、免疫細胞、コラーゲンやエラスチンといった細胞外マトリックスなど、生体の複雑な構成要素を最初から「全て含んでいる」点で、「ヒト皮膚の最も代表的なモデル」と見なされています 9。
一方で、in vitro のオルガノイドや再構成モデルは、含まれる細胞種が限定的で、血管や免疫細胞のネットワークを欠いていることが多いという限界があります 9。しかし、均質で再現性が高く、大量生産が可能であり、遺伝子操作(CRISPRなど)が容易であるという強力な利点も持っています 9。
どちらが優れているかではなく、研究の目的に応じて使い分けられているのです。
1-4. 混乱のまとめ:Organ-on-a-Chip (OOC) の位置づけ
近年の混乱をさらに加速させているのが、**Organ-on-a-Chip (OOC)(生体模倣システム)**という技術です 23。これは、マイクロメートルサイズの微細な流路を持つチップ上で細胞を培養し、血流による動的な刺激(灌流)や、臓器の物理的な伸縮運動(例:肺の呼吸)までも模倣できる技術です 23。
OOCは、オルガノイドと同様に、細胞から機能を「再構築」するものであるため、**「高度な in vitro モデル」**に分類されます 23。
ただし、技術の融合は進んでおり、ex vivo の組織片(explant)をチップに乗せて灌流する「Explant-on-a-Chip」というハイブリッド技術も登場しており 15、in vitro と ex vivo の境界線は、技術革新によってますます複雑化しています。
この第1部で解説した複雑な用語の定義を、以下の表にまとめます。
表1:研究モデルの比較早見表
| 比較項目 | In Vivo (インビボ) | Ex Vivo (エクスビボ) | In Vitro (インビトロ) – 従来型 2D | In Vitro (インビトロ) – 高度 3D (オルガノイド等) |
| ラテン語 | 「生体内で」 | 「生きたものから外へ」 | 「ガラス内で」 | 「ガラス内で」 |
| 主な対象 | 個体(動物、ヒト)全体 7 | 組織片、臓器 5 | 単離された細胞 5 | 細胞の3D集合体、ミニ臓器 9 |
| 環境 | 生体内 7 | 体外の人工環境 7 | 体外の人工環境(ペトリ皿など)9 | 体外の人工環境(マトリゲルなど)20 |
| 構造 | [トップダウン] 完全な生体構造 8 | [トップダウン] 組織のネイティブな3D構造を維持 5 | [ボトムアップ] 2Dの単層構造(非生理的) 16 | [ボトムアップ] 細胞から3D構造を再構築 17 |
| 複雑性 | 極めて高い 27 | 高い(生体由来の多様な細胞・ECMを含む)5 | 低い(単一細胞種)5 | 中~高い(複数細胞種、自己組織化)9 |
| 制御性 | 非常に困難 7 | 中程度(in vivo よりは制御可能)7 | 高い(変数を管理しやすい)5 | 高い 9 |
| 生理的関連性 | 基準 | 高い(生体に近い)5 | 低い 16 | 中程度(生体を模倣)22 |
| 例 | 動物への薬剤投与 8 | 皮膚摘出片 9、腫瘍スライス 28 | HeLa細胞の培養 29 | 腸管オルガノイド 22、再構成皮膚 9 |
第2部:分野によって異なる Ex Vivo の「意味」と「応用」
第1部で「生きた組織構造を体外で維持する」という ex vivo の核心的な定義を確立しました。しかし、ご質問にあった「分野によって定義が異なるのか?」という点は、ex vivo を理解する上で最も重要なポイントの一つです。
その答えは「イエス」です。核となる定義は共通していますが、ex vivo という言葉が使われる「文脈」と「目的」によって、そのニュアンスと指し示す対象が大きく異なります。
Ex vivo という用語は、大きく分けて以下の2つの異なる用法で使われています。
**(A) 研究・試験のための「モデル」**を指す場合
**(B) 治療行為そのものの「プロセス」**を指す場合
この違いを理解することが、分野ごとの定義の違いを解明する鍵となります。
2-1. 【治療プロセスとして】遺伝子治療・再生医療の分野
遺伝子治療や再生医療の分野において、ex vivo は最も明確な定義を持つ言葉の一つです。この分野での ex vivo は、実験モデルではなく、治療プロセス全体を指す言葉として使われます 2。
この「Ex Vivo 遺伝子治療」は、以下の明確な3つのステップで構成されます。
- 取り出し (Remove): 患者の体内から特定の細胞(血液や皮膚、一般的には血液幹細胞や免疫細胞であるT細胞)を採取します 2。
- 体外で改変 (Modify): 採取した細胞を研究室(体外)に送り、そこでウイルスベクター(遺伝子の運び屋)やCRISPR-Cas9(遺伝子編集技術)などを用いて、細胞の遺伝情報を「編集」または「修復」します 2。
- 体内へ返却 (Return): 遺伝子改変によって「治療された」細胞を、研究室で安全に培養・増殖させた後、再び患者の体内に点滴などで戻します(移植します) 30。
この定義は、米国国立がん研究所(NCI)などが採用する公式なものであり 34、ex vivo が単なる実験室の用語ではなく、**「医療処置(a medical procedure)」**そのものであることを示しています。当然、これらの治療法は、米食品医薬品局(FDA)などの規制当局による厳格な審査と承認の対象となります 31。
この ex vivo アプローチは、in vivo(生体内)遺伝子治療とは明確に対比されます。In vivo 治療では、遺伝子を運ぶベクターを患者に「直接」注射(点滴など)し、遺伝子改変が「患者の体内で」行われることを期待します 2。一方で ex vivo は、一度「体外」に取り出すことで、意図した遺伝子改変が正確に行われたことを確認し、安全な細胞だけを選別して戻せるという、安全・確実性の面での大きな利点があります 2。
代表事例①:CAR-T細胞療法
Ex vivo 治療の最も劇的な成功例が、CAR-T細胞療法です 2。これは、患者自身のT細胞(免疫細胞)を ex vivo で取り出し、がん細胞を特異的に認識・攻撃できるようにする「キメラ抗原受容体(CAR)」と呼ばれる遺伝子を導入するものです。いわば、体外で免疫細胞を「がん攻撃のエリート兵士」に再教育し、体内に戻してがんを攻撃させる治療法であり、一部の血液がんなどで劇的な治療効果を上げています 35。
代表事例②:Casgevy(キャスジェビー)
2023年に英国などで世界で初めて承認された、CRISPR-Cas9(ゲノム編集)を用いた治療薬「Casgevy」も、ex vivo 遺伝子治療の代表例です 2。これは、鎌状赤血球症やβサラセミアといった遺伝性の血液疾患の患者から血液幹細胞を採取し、ex vivo でCRISPR-Cas9を用いて遺伝子を編集します。具体的には、成人型ヘモグロビンの異常を補うために、胎児型ヘモグロビンの産生を抑制する遺伝子(BCL11A)を働かなくさせます 35。この「修復された」幹細胞を体内に戻すことで、患者は正常なヘモグロビンを産生できるようになることが期待されます 2。
2-2. 【治療プロセスとして】臓器移植の分野
臓器移植の分野でも、ex vivo は「治療プロセス」の一部として、非常に具体的な技術を指す言葉として使われています。それが、**「Ex Vivo Organ Perfusion (EVLP)=生体外臓器灌流」**です 3。
ドナーから臓器が摘出されてから、レシピエント(移植を受ける患者)に移植されるまでの間、臓器の品質をいかに維持するかは、移植医療における最大の課題の一つです。
従来は、摘出された臓器(肺、肝臓、心臓など)は、氷の詰まったクーラーボックスに入れられ、「低温保存(Cold Storage)」されていました 3。これは、臓器の代謝を強制的に停止させて「仮死状態」にし、ダメージの進行を遅らせる方法です。しかし、この状態では時間が経つにつれて臓器は虚血(血が通わないことによる)ダメージから免れられません。
EVLPは、この常識を根本から覆す技術です。
EVLPのプロセスでは、摘出された臓器は、体外で専用の機械(灌流システム)に接続されます 40。この機械は、ポンプを使って、酸素や栄養素、時には血液そのものを含む「灌流液」を臓器の血管に送り込み、循環させます 38。これにより、臓器は**体外にありながら、まるで体内にいるかのように「生きた状態」(温かい状態)**で維持されます 3。
この ex vivo 灌流の真の価値は、単なる「保存」にとどまりません。それは、**「評価」と「蘇生(リハビリ)」**を可能にする点にあります。
- 評価 (Assessment): 灌流中、医師は臓器の機能をリアルタイムでテストできます。例えば、肺なら酸素化能力を、肝臓なら胆汁の産生能力や乳酸の除去能力を ex vivo で確認できます 3。これにより、「この臓器は本当に移植に適しているか」を移植手術の前に正確に評価できます。
- 蘇生 (Resuscitation): これが最も革新的な点です。従来は、ドナーの高齢化や虚血ダメージの蓄積などにより、「品質が不十分」と判断され「廃棄」されていた「境界領域(Marginal)」の臓器が数多くありました。EVLPは、そのような臓器に栄養と酸素を送り、体外で「リハビリ」を施すことで、臓器の機能を回復させ、移植可能な状態に「蘇生」させることができます 3。
EVLP技術は、深刻なドナー不足問題に直面する現代の移植医療において、利用可能な臓器のプールを劇的に拡大する(より多くの命を救う)ための、ゲームチェンジャーとなっているのです 38。
2-3. 【研究モデルとして】創薬・薬理学の分野
創薬や薬理学の分野では、ex vivo は治療法ではなく、新薬開発(Drug Discovery)における**「研究モデル」**を指します 5。
新薬の開発プロセスは、通常、in vitro(細胞)での大規模なスクリーニングから始まり、in vivo(動物実験)での有効性・安全性の検証を経て、最終的にヒトでの臨床試験へと進みます 5。
しかし、このプロセスには大きな「壁」が存在します。in vitro の細胞実験は、生体の複雑さを反映するにはあまりにも「単純すぎ」ます 43。一方で、in vivo の動物実験は、ヒトと動物の種差という根本的な問題を抱えており、動物でうまくいった薬がヒトで失敗するケース(偽陽性)や、その逆(偽陰性)が後を絶ちません 1。
Ex vivo モデルは、この in vitro(単純すぎる)と in vivo(種差がある)の間の**「ギャップを埋める」**ための、極めて重要な架け橋として機能します 5。
この分野での ex vivo モデルとは、ヒト(または動物)から摘出された「組織片(スライス)」や「臓器全体」を指します 5。これらのモデルは、in vitro の細胞培養よりもはるかに生体に近い複雑な構造(細胞同士の相互作用やECM)を保持しており 5、in vivo の動物モデルよりも当然ながらヒトへの関連性が高い(ヒト由来の組織を使えば)データを提供します 44。
例えば、「Ex Vivo Metrics™」と呼ばれる技術プラットフォームでは、研究用に倫理的に寄付された「ヒトの臓器全体(例:肝臓、肺、腸)」を、EVLPと同様の技術で体外で生きたまま灌流させます 44。この「生きているヒトの臓器」に対して、開発中の新薬を投与し、その吸収、分布、代謝、毒性(Pharmacokinetics/Pharmacodynamics)を調べることは、ヒト臨床試験に最も近い、精度の高い前臨床データとされています 44。
Ex vivo モデルを開発の早期段階で活用することで、有望な候補薬をより正確に絞り込み、莫大なコストと時間がかかる臨床試験での失敗リスクを低減できます 5。また、動物実験の数を大幅に削減すること(3Rの原則:Replacement, Reduction, Refinement)にも貢献するため、倫理的な観点からも強く推進されています 5。
2-4. 【研究モデルとして】がん研究・個別化医療の分野
Ex vivo の「研究モデル」としての応用の中で、現在最も急速に進展し、患者の治療に直結しているのが、がん研究、特に**「個別化医療(Personalized Medicine)」**の分野です 1。
この分野において、ex vivo は、患者個人の腫瘍組織を用いた「薬剤感受性試験」モデルを指します。これは、近年「機能的精密医療(Functional Precision Medicine)」と呼ばれる新しいがん治療戦略の中核をなす技術です 1。
従来の「精密医療(ゲノム医療)」は、患者のがん組織のDNAを次世代シーケンサーで解析し、「どの遺伝子に変異があるか」を特定し、その変異に対応する分子標的薬を選ぶ、というものでした 1。しかし、たとえ標的となる遺伝子変異が見つかったとしても、その薬が実際にその患者のがんに効くとは限らない、という問題がありました。
「機能的精密医療」は、この問題を解決するために、ex vivo モデルを活用します。これは、遺伝子情報という「理論」に頼るのではなく、「実際にどの薬が、この患者の、この腫瘍を殺すか」という「機能(実際の結果)」を、体外で直接テストするアプローチです 1。
米国の著名な医療機関メイヨー・クリニックなどで行われている「Ex Vivo Study」は、このアプローチを具体的に示しています 45。
- まず、患者の進行がんから生検(バイオプシー)で腫瘍組織のごく一部を採取します 45。
- 研究室で、その腫瘍組織を生きたまま ex vivo で培養し、多数の「3Dミニ腫瘍レプリカ(アバター)」を作成します 45。これらは、患者の体内にあった時のがんの構造や性質を色濃く反映したものです。
- この「患者のがんアバター」に対し、既存の数十種類以上の抗がん剤や開発中の治験薬をスクリーニング(一斉テスト)します 45。
- その結果、「どの薬がこの患者のがんを最も効果的に殺したか」という実測データが得られます。
この ex vivo スクリーニングの最大の目的は、患者が、効果のない(そしてしばしば有毒な)抗がん剤治療を「試してみる」という、従来の**「トライアル・アンド・エラー」のプロセスを回避する**ことです 45。Ex vivo の薬剤感受性試験の結果が、実際の患者の生存率と相関していたという研究報告も出ており 28、ex vivo モデルが「研究モデル」から「診断ツール」へと進化していることを示しています。
この第2部で解説した、分野ごとに異なる ex vivo の多様な定義と応用例を、以下の表にまとめます。
表2:分野別 Ex Vivo の定義と応用例
| 分野 | Ex Vivo が指すもの | 主な目的 | 具体的な技術・事例 |
| 遺伝子治療・再生医療 | 治療プロセス | 患者の細胞を体外で遺伝的に改変し、体内に戻して病気を治療する。 | CAR-T細胞療法 2 Casgevy (CRISPR遺伝子編集) 2 |
| 臓器移植 | 治療・保存プロセス | 摘出した臓器を体外で「生きた状態」で維持・評価・修復する。 | Ex Vivo Organ Perfusion (EVLP) 3 (例:XPS™, Organ Care System™) 40 |
| 創薬・薬理学 | 研究モデル | In vitro と in vivo のギャップを埋め、薬剤の有効性や毒性をヒト組織で予測する。 | Ex Vivo Metrics™ 44 皮膚摘出片による化粧品・薬剤テスト 9 |
| がん研究・個別化医療 | 研究・診断モデル | 患者由来の腫瘍組織を用い、体外で薬剤の効果をテストし、最適な治療法を選定する。 | 患者由来摘出片 (PDE) 28 3Dミニ腫瘍レプリカ 45 |
第3部:Ex Vivo という言葉の歴史 ― なぜ In Vitro よりも50年遅く生まれたのか?
Ex vivo という言葉の定義と応用を理解した上で、最後に「この用語は歴史的にどのように確立されてきたのか」という、ご質問の核心の一つに迫ります。
この言葉の歴史を紐解くと、科学技術の進歩が、いかにして新しい「言葉(概念)」を必要とするようになるか、という興味深い事実が浮かび上がってきます。
3-1. 用語の誕生年表:PubMed(医学文献データベース)における初登場
医学・生物学分野の世界最大の文献データベースである「PubMed」において、これらのラテン語の用語が文献のキーワードやタイトルとして初めて登場したとされる年(First use, PubMed)は、ある研究報告 46 によると以下のようになっています。
- In Vitro (インビトロ): 1911年
- In Vivo (インビボ): 1918年
- Ex Vivo (エクスビボ): 1964年
- In Silico (インシリコ): 1991年(コンピュータシミュレーションを指すラテン語風の造語 46)
この年表が示す最も際立った事実は、in vivo と in vitro が1910年代にほぼ同時に登場しているのに対し、ex vivo が登場するまでには、そこから**約50年もの「空白」**があった、という点です。
3-2. 歴史的考察:なぜ50年間の「空白」があったのか?
Ex vivo という用語が、in vivo や in vitro よりも半世紀も遅れて登場した 46 のは、単なる偶然ではありません。これは、1960年代に起こった「技術的特異点」、すなわち、それまでの科学の常識を覆すような新しい技術の勃興を、明確に反映していると考えられます。
1910年代の状況(In Vivo / In Vitro の二項対立)
1910年代、科学実験の分類は非常にシンプルでした。ロス・ハリソンによる組織培養技術(in vitro の基礎)が確立され、動物実験(in vivo)も広く行われていました。科学者にとって、実験とは「生体(動物)の中でやる」(in vivo) か、「ガラス(ペトリ皿)の中でやる」(in vitro / 細胞培養) か、の明確な二択でした。
この「in vivo 対 in vitro」という二項対立の枠組みは、その後の約50年間、生物医学研究を分類する上で、ほとんどの場合において十分なものでした。
1960年代の激動(新しい技術の胎動)
しかし、1960年代に入ると、この伝統的な枠組みでは分類できない、全く新しい「何か」が、医学と生物学の分野で同時に胎動し始めます。
(A) 遺伝子治療という概念の誕生
1960年代には、遺伝子治療の概念が初めて導入されました 47。特に、「細胞を一度体外に取り出し、そこで遺伝物質を操作(改変)し、再び体内に戻す」というアイデア(第2部で述べた ex vivo 遺伝子治療の原型)が、真剣に議論され始めたのです 49。この革新的なプロセスは、in vivo(体内で)でも in vitro(培養して終わり)でもありませんでした。
(B) 臓器移植と灌流技術の夜明け
時を同じくして、臓器移植が夢物語から現実の医療へと移行しつつありました 51。最大の課題は、摘出した臓器をいかにして「生かす」か、でした。1960年代後半には、アレクシス・カレルやチャールズ・リンドバーグによる初期の試み(1930年代)を発展させ、摘出した腎臓などをポンプで灌流して保存する技術(後のEVLPの原型)が開発され、その有効性が示されました 51。
結論:新しい言葉「Ex Vivo」の必要性
これらの1960年代に台頭した新しい技術群、すなわち「生体から取り出された、構造と機能を持つ『臓器』や『治療用細胞群』」を扱うアプローチ 47 は、既存のどの言葉にも当てはまりませんでした。
- それは in vivo ではありません。なぜなら、操作は「体外」で行われるからです。
- しかし、それは従来の in vitro でもありません。なぜなら、扱う対象は「単離された細胞」ではなく、「臓器」や「組織」という、生きた構造そのものだったからです。
この、in vivo と in vitro のどちらにも分類できない、医学と工学が融合した新しい領域を記述するために、科学界は新しい言葉を必要としました。そして、1964年に「Ex Vivo」という用語が文献に登場した 46 のは、まさにこの歴史的な必然性を反映していると強く推察されます。
(なお、細胞を体外で培養するという概念自体は、1897年にLeo Loebによって示唆されていた可能性も指摘されていますが 52、ex vivo という言葉が科学界の共通言語として(PubMedに記録される形で)定着したのは、それを必要とする技術が確立された1960年代だったのです。)
3-3. 現代の課題と未来:再びの混乱と再定義の必要性
歴史は繰り返します。1960年代に ex vivo という言葉が必要とされたように、21世紀の現代は、第1部で述べたオルガノイド、Organ-on-a-Chip、そして組織工学(Tissue Engineering)といった、さらに新しい技術 4 が登場し、再び用語の混乱を招いています 4。
多くの研究者が、高度な3D培養(in vitro)と組織摘出片(ex vivo)を同義語のように使ったり、オルガノイドを ex vivo と呼んだりするなど、用語の不一致が常態化しています 4。
このような用語の乱用は、単なる言葉の問題ではなく、研究結果の解釈を妨げ、異なる研究間の比較を困難にし、最終的には科学の進歩そのものを阻害する可能性があると、専門家から強い懸念が示されています 4。
現在、科学界は、これらの用語(特に ex vivo)が、現代の技術(オルガノイド、OOCなど)との関係性において何を指すのかを、厳密に再評価し、定義し直す責任がある、という議論の渦中にあります 4。
結論:Ex Vivo が拓く未来 ―「生体の外」が「生体内」の医療を変革する
本レポートでは、「ex vivo とは何か」というご質問に対し、その定義、分野別の応用、そして歴史的背景に至るまで、海外の文献を基に多角的に解説してきました。
最後に、ご質問いただいた核心的な疑問に、改めて明確にお答えします。
1. Ex Vivo とは「細胞」か「試験管」か?
Ex vivo は「細胞」でも「試験管」でもありません。それは、**「生体から摘出された組織や臓器が、本来持つ『複雑な構造と機能』を維持したまま、体外の人工環境で扱われる状態」**を指す、きわめて重要な科学的「概念」です 5。
In vitro(単離された細胞)と in vivo(生体全体)の中間に位置し、冒頭の比喩で言えば、「精巧なパズルの一片」をそのままの形で取り出して、その作りを詳細に調べる行為に例えられます 5。
2. 分野によって定義は異なるのか?
はい、異なります。より正確には、核となる概念(構造の維持)は共通ですが、その「目的」に応じて、ex vivo が指し示す対象が変わります。
- 遺伝子治療や臓器移植の分野では、ex vivo は**「治療プロセス」**そのものを指します。すなわち、細胞や臓器を「取り出し、体外で操作・蘇生させ、体内に戻す」という一連の医療行為です 2。
- 創薬やがん研究の分野では、ex vivo は**「研究・診断モデル」**を指します。すなわち、ヒトの生体反応を最も正確に予測するための「高精度なヒト組織のレプリカ」であり、動物実験の代替や、患者ごとの最適な治療薬を選ぶための「アバター」として機能します 1。
Ex vivo という概念は、in vitro の単純さと in vivo の複雑さという、長年のジレンマの間に「ギャップを埋める」不可欠な存在です 5。
この技術と思想が、動物実験の数を減らし 5、より安全で効果的な新薬の開発を加速させ 5、廃棄されるはずだった臓器で移植を待ちわびる命を救い 42、そして「あなただけ」に最適化された、がんの個別化医療を実現する 1 ことを可能にしつつあります。
「生体の外(Ex Vivo)」で得られた知見と、そこで磨かれた技術が、「生体内(In Vivo)」の私たちの健康と未来を、今まさに、そして劇的に変革しているのです。
引用文献
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