ATPとは-生物が活動するエネルギー源の秘密に迫る-

生命科学を勉強すると必ず目にするATP(アデノシン三リン酸)。私たち生物が生きていく上では欠かせないものですが、私たちはどのようにATPを得ているのでしょうか。そもそもATPとは何でしょうか。

本記事ではATPについて解説していきます。ATPについて興味がある方、そういえばATPって耳にしたことがあるけどよくわからないという方、ぜひ一度読んでみてください。

本記事は以下の情報も参考に執筆しています。
・https://earnest.fit/three-of-metabolism/#creatinePhosphate
アデノシン三リン酸 / ATP | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

目次

ATPとは

 ATPは「アデノシン三リン酸(Adenosine Triphosphate)」の英語の頭文字をとった略語です。ATPは「アデノシン」と「リン酸」が結合して出来ています。主な役割としては、人間の体を動かすために必要な筋の収縮や、イオンの輸送など生命活動に用いられるエネルギーの貯蔵や利用に関与しています。

つまり、人間を含めた生命が生活をしていく上で必要なエネルギー源の役割として機能を果たしているのです。

ATPの化学式

 ATPは「リボソース」「アデニン」「リン酸」の三つの物から構成されています。このうちリボソースとアデニンが結合することで出来た物が「アデノシン」です。このアデノシンに3つのリン酸基が結合して出来た物が「アデノシン三リン酸」です。

ATPによるエネルギー生成

 ATPによるエネルギー生成は、ATPの分解酵素の働きでATPが加水分解することで、ATPの構成物質であるリン酸基が外れ、ATPからADP(アデノシン二リン酸)に変化します。物質が変化している時にエネルギー放出が起き、このエネルギーを利用して筋肉が収縮します。

 なお、筋肉(筋線維)の中に蓄えられているATPの量はとても少ないため、激しい運動や運動強度が強い運動をすると短時間でATPを使い切ってしまいます。そのため長時間運動をし続ける時には、ADPからATPを再度合成し、全身の筋肉に対してATPの供給を続けなければなりません。

ATPの供給には色々な生成経路があるため、短時間の運動や長時間の運動を続けるためのエネルギーの生成経路は後から紹介しますので確認してください。

ATP生成経路

 先ほども紹介しましたが、ATPは筋肉の中に含まれていますがわずかな量しかありません。そのため、運動をする時には、ATPが分解される速さと同じくらいの速さでATPが作られ続けなければなりません。ここでは、ATPの生成経路について解説していきます。

クレアチンリン酸系

 クレアチンリン酸の特徴は、筋肉の細胞の中でATPを生成するのが非常に速いです。そのため、短い時間で多くのエネルギーを作り出すことは得意です。例えば短距離走やウエイトトレーニングで一気に力を入れる時などにクレアチンリン酸系が使われます。

しかし、運動強度が強い運動になると、筋肉内にあるATPは直ぐに枯渇し、非常に短い時間でエネルギーの供給が終わってしまいます。そのため、マラソンなどの長時間の運動ができません。長時間の運動となるとクレアチンリン酸系以外の経路での生成が必要です。

解糖系

 解糖系は、炭水化物(グリコーゲン)がビルビン酸に体内で分解されて乳酸に変換する流れをいいます。この解糖系で発生したエネルギーをATPの産生に使われています。

 解糖系で発生したエネルギーは、30秒~60秒程度の強度が高い運動を実施するために筋肉へエネルギーの供給を続けます。

解糖系の代謝は主に筋力増強トレーニングを行うときに使われていますので、筋トレ好きな人は解糖系の作用を理解しておくと良いでしょう。

TCA回路

 TCA回路は別名「クエン酸回路」などと表現されることがありますが、ここでは「TCA回路」で説明をしていきます。

 TCA回路は、糖質の代謝である解糖系で発生したビルピン酸のみならず、脂肪酸やアミノ酸(たんぱく質の元の形)の代謝にも関わっています。つまり、三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)をTCA回路に合体させてエネルギーを発生させています。

酸化的リン酸化

 酸化的リン酸化は、今まで紹介をした他の生成回路よりもATPを作り出すのが遅い代謝システムとなっているのが特徴です。

ATPを作り出すのが遅い一方で、エネルギー供給に時間を要するため、長い時間体内の筋肉にATPを供給し続けることができる回路です。そのため、持久力が必要となるマラソンなどの競技にこの経路は使われています。

 酸化的リン酸化では、酸素だけ消費するのではなく、脂肪もエネルギー源として利用されるため、体脂肪を消費する効果もあります。ダイエットにジョギングが良い理由は、この経路を利用して体内の脂肪からも運動のエネルギーを作り出しているためです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ATPは私たち生命が活動するにあたって無くてはならない化学物質であり、それゆえ供給源もシンプルではなく複数の経路を持っています。それぞれ経路によって特性もあり、生化学的にも細胞生物学的にも非常に興味深い分野です。

本記事でATPについて興味を持たれた方はぜひ他の記事もご一読ください。皆様の生命科学に対する理解を深める一助となることを願います。

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